米国はシリアのアラブ連盟復帰後初となる追加制裁を発表(2023年5月30日)

米財務省外国資産管理室(OFAC)は、大統領令第13582号(2011年8月17日)とシーザー・シリア市民保護法(2019年12月20日)に基づき、アサド大統領が指導するシリアの体制、レバノンのヒズブッラーやイラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団による国際金融システムへのアクセスに支援してきたとして、シリア人が経営する金融企業2社と経営陣3名を、資産凍結や渡航制限などの制裁対象に追加したと発表した。

新たに制裁対象となった企業・個人は以下の通り:

  • ファーディル・マアルーフ・バルウィー
  • ムハンマド・マアルーフ・バルウィー
  • ムティーア・マアルーフ・バルウィー
  • アドハム両替社(ダマスカス県)
  • ファーディル両替送金社(ダマスカス県)

米国による追加制裁は、シリアがアラブ連盟に復帰して以降初めて。

AFP, May 31, 2023、ANHA, May 31, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2023、Reuters, May 31, 2023、SANA, May 31, 2023、SOHR, May 31, 2023などをもとに作成。

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ロシアの国連大使は、米国がラッカ県一帯でダーイシュなどからなる「シリア自由軍」を結成させ、テロを行おうとしていると非難(2023年5月30日)

国連安保理でシリア情勢への対応にかかる会合が開催され、ロシアのワシーリー・ネヴェンジャ国連大使は、米国がシリア北東部のラッカ県一帯で新たなテロ組織を結成させ、テロ行為を行わせようとする破壊的な計画があると述べた。

ネヴェンジャ国連大使は以下のように述べた。

我々は米国の破壊的な方法を改めて指摘したい。我々が得ている情報によると、(ヒムス県の)タンフ(国境通行所一帯地域)で違法に結成させた武装集団に武器を垂れ流すだけでは不充分なようで、ワシントンはラッカ県一帯で、テロ組織ダーイシュ(イスラーム国)などの組織の代表らからなるいわゆる「シリア自由軍」なる組織を結成し始めた。

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これに対して、リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国連大使は、アラブ連盟に復帰したシリアに関して、より具体的な措置が求められていると主張した。

グリーンフィールド大使は、サウジアラビアのジェッダで18日から19日にかけて開催された第32回アラブ連盟首脳会議の閉幕声明は、シリア政府が国連安保理決議第2254号に沿ってシリアでの紛争を解決するための具体的で実効的な措置を講じる必要を確認していると述べた。

また、シリア政府は、刑務所に収監中の13万人以上の釈放、失踪者や志望者の消息解明を通じて具体的な措置を講じることができると付言、難民の帰還については、帰還者へのいやがらせ、恣意的逮捕、拷問、虐待を行わないという決意を示す兆候がないと非難した。

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ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表は、5月1日にヨルダンの首都アンマンで開催されたシリア・サウジアラビア・エジプト・イラク・ヨルダンの5ヵ国外務大臣会合、18日から19日にかけてサウジアラビアのジェッダで開催された第32回アラブ連盟首脳会議、10日にロシアの首都モスクワで開催されたロシア・シリア・トルコ・イランの4ヵ国外務大臣会合について、シリアでの危機の政治的解決の重要性を確認するものだとして、制憲委員会の再開を主唱、「現地」での信頼醸成が火急となっていると強調した。

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RIAノーヴォスチ通信(5月30日付)、SANA(5月31日付)、イナブ・バラディー(5月31日付)などが伝えた。

AFP, May 31, 2023、ANHA, May 31, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 31, 2023、‘Inab Baladi, May 31, 2013、Reuters, May 31, 2023、RIA Novosti, May 30, 2023、SANA, May 31, 2023、SOHR, May 31, 2023などをもとに作成。

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シャーム解放機構支配地とトルコ占領地各所でシャーム解放機構による住民の恣意的逮捕に抗議するデモ(2023年5月30日)

シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の支配下にあるアレッポ県のサッハーラ村、イドリブ県のアティマ村の国内避難民(IDPs)キャンプ(アティマ・キャンプ)、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域内のアレッポ県スーラーン・アアザーズ町、カフラ村で、シャーム解放機構による住民の恣意的逮捕に抗議するデモが発生し、その釈放やアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者退任を求めた。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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ヨルダンの当局は難民キャンプで避難生活を送っていたシリア人3人をルクバーン・キャンプに追放(2023年5月30日)

シリア人権監視団によると、ヨルダンの当局は、同国内の難民キャンプで避難生活を送っていたシリア人3人を、米国が違法に駐留するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)内にあるルクバーン・キャンプに追放した。

追放の理由は不明。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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兵站物資や燃料などを積んだ米主導の有志連合の貨物車輌など約30輌からなる車列がイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入(2023年5月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、兵站物資や燃料などを積んだ米主導の有志連合の貨物車輌など約30輌からなる車列がイラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所(イラク側はスワイディーヤ国境通行所)からシリア領内に新たに進入し、県内各所の米軍基地に向かった。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域(アレッポ県)でメディア活動家や憲兵隊員の逮捕に抗議するデモ(2023年5月30日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域内のジャラーブルス市で、文民警察(いわゆる「自由警察」)が、トルコの大統領選挙でレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の勝利を揶揄する書き込みをフェイスブックでしたメディア活動家を逮捕した。

文民警察は逮捕した活動家の身柄をシリア国民軍の憲兵隊に引き渡したとしているが、憲兵隊は、文民警察がハワール・キリス村にあるトルコの諜報機関に引き渡したと主張している。

イナブ・バラディー(5月30日付)によると、この活動家は、クッル・ラジオ/テレビの記者で、その後釈放された。

また、トルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域内のアアザーズ市にある人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍憲兵隊支部の前でも、住民らが、路上でタイヤを燃やすなどして抗議デモを行い、密輸ルートを通じてトルコに入ろうとしたシリア軍兵士1人を逮捕直後に逃がしたとして逮捕されている憲兵隊員3人の釈放を求めた。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、‘Inab Baladi, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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ロシア軍戦闘機がシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県を爆撃し、若い男性1人が負傷(2023年5月30日)

イドリブ県では、シリア人権監視団、イナブ・バラディー(5月30日付)によると、ロシア軍戦闘機がシャーム解放機構の支配下にあるザーウィヤ山地方のバザーブール村一帯を爆撃し、若い男性1人が負傷した。

この男性は近くをオートバイで移動中、爆発の破片を受けて負傷したという。

ホワイト・ヘルメットはフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/SyrianCivilDefenceIdlibWhiteHelmets/)を通じて、ロシア軍戦闘機がバザーブール村近郊の民家を狙って行った爆撃で、近くをオートバイで移動中の青年1人が破片で負傷したと発表した。

https://www.facebook.com/SyrianCivilDefenceIdlibWhiteHelmets/posts/pfbid02HxvXgeDjgzf94SvSL4aBncMQ64SULbvPcwBDsDc2Eufqw1xDFh9WfeqAgqkowjMvl

また、シリア軍もザーウィヤ山地方のイフスィム町一帯を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がシリア政府の支配下にあるカッバーナ村一帯を砲撃し、シリア軍第45特殊任務中隊の兵士1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、キスワ市近郊で、軍事情報局に協力する地元民兵の司令官の車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、司令官が死亡した。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、‘Inab Baladi, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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シャーム解放機構がイドリブ県でダーイシュ・メンバーと見られる住民1人とトルコに内通しているとされるシャーム軍団メンバー2人を逮捕(2023年5月30日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の総合治安機関がザーウィヤ山地方のイフスィム町近郊で住民1人を、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーだとの容疑で逮捕した。

総合治安機関はまた、カフルタハーリーム町でも、トルコに内通しているとして、「決戦」作戦司令室を主導するシャーム軍団のメンバー2人を逮捕した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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【トルコ・シリア大地震】国立地震センターは過去24時間にマグニチュード1.9~3.4の地震が7回発生したと発表(2023年5月30日)

国立地震センターは声明を出し、過去24時間にイドリブ北西部、アレキサンドレッタ地方(ハタイ県)、トルコ国境近く、地中海を震源とするマグニチュード1.9~3.4の地震が7回発生したと発表した。

SANA(5月30日付)が伝えた。

AFP, May 30, 2023、ANHA, May 30, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 30, 2023、Reuters, May 30, 2023、SANA, May 30, 2023、SOHR, May 30, 2023などをもとに作成。

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ロシア対外情報局(SVR)は米国がダーイシュのメンバーらイスラーム過激派を利用して、シリア国内でテロ攻撃を準備していると主張(2023年5月30日)

ロシア対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシュキン長官は、米国が「穏健な反体制派」だとして支援を続けているイスラーム過激派を利用して、シリア国内でテロ攻撃を準備していると主張した。

ナルイシュキン長官によると、米国は、部隊を違法に駐留させ、事実上の占領下に置いているタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)において、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー数十人を教練するとともに、北・東シリア自治局の支配地にある刑務所から釈放したテロリストを定期的に補充し、シリア国内、具体的にはスワイダー県やダルアー県内の混乱した場所、店舗、政府関連機関、ヒムス県のタドムル市とダイル・ザウル県のダイル・ザウル市を結ぶ幹線道路などへの攻撃を行わせようとしているという。

RIAノーヴォスチ通信(5月30日付)が伝えた。

RIA Novosti, May 30, 2023をもとに作成。

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