【トルコ・シリア大地震】OCHAは地震発生1年に合わせてシリア北東部の惨状を訴える報告書を発表(2024年2月6日)

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、昨年2月6日のトルコ・シリア大地震発生から1年が経ったのに併せて北西シリアNGOフォーラム、シリア・ネットワーク連盟、シリアNGO連合による報告書(https://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/earthquakeone-year-and-conditions-are-worse-ever)を発表した。

2ページからなる報告書は、シリア北西部の被害状況について、4500人が死亡、1万400人が負傷(負傷者の半数あまりが女性)、450万人とされる住民のうち330~370万人が食料不安に直面しているなか、世界食糧計画(WFP)による食糧支援の激減により、飢餓のリスクが高まっていると指摘している。

また、約1000の学校が被害を受けるなどしたために、震災前より20万人多い100万人以上の児童が就学できていないほか、地震で失った被災者のうち3095人が国内避難民(IDPs)用のキャンプで、4万5000人が受け入れセンター(RC)での生活を余儀なくされている。

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なお、OCHAが2023年7月22日に発表したレポート(https://reports.unocha.org/en/country/syria/card/5SkOCnVLmV/)によると、トルコ・シリア大地震によるシリア北西部での死者は4500人、負傷者は1万400人、1万600棟(小中学校の校舎1,000棟を含む)の建物が損害を受け、601ある診療施設のうち70ヵ所が利用不能となった。

また被災者は85万5000人に上り、うち26万5000人が建物の崩壊などによって住居を失ったが、そのうち受け入れセンター(RC)に収容されたのは6万6000人にとどまっているという。

一方、児童190万人のうち、地震発生前に過去1年にわたって就学できなかった児童の数は80万人いたものが、100万人に増加した。

さらに、210万人がWASH(Water, Sanitation and Hygiene、水・トイレ・衛生)支援を必要としているという。

また、2023年12月21日付で発表した、シリア北西部の状況にかかる報告書(file:///C:/Users/aljab/Downloads/Situation%20Report%20-%20North-west%20Syria%20-%2021%20Dec%202023.pdf)によると、450万人に達しているとされる住民のうち、410万人が支援を必要としており、370万人が食料不安に直面、国内避難民(IDPs)290万人のうち200万人が、1500カ所に及ぶキャンプでの生活を、さらに80万人が仮設テントでの生活を余儀なくされている。

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シリア政府(高等救済委員会)の発表は、SANA(2023年3月2日付、https://www.sana.sy/?p=1851796)によると、ラタキア県、アレッポ県、イドリブ県、ハマー県内の政府支配地における死者は1,414人、9万1794世帯41万4304人が被災、全壊した建物と修復不能な建物は4444棟、補強が必要な建物は2万9751棟、修復が必要な建物は3万113棟、解体が必要な建物は292棟。

また、1553人が瓦礫の下から救出され、6人が行方不明のままだという。

AFP, February 6, 2024、ANHA, February 6, 2024、‘Inab Baladi, February 6, 2024、Reuters, February 6, 2024、SANA, March 2, 2023、February 6, 2024、SOHR, February 6, 2024などをもとに作成。

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