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反体制勢力の動き
自由シリア軍(参謀委員会)アレッポ軍事評議会議長職を辞任したアレッポ革命軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐が、民主統一党を殲滅し、そのメンバーを「根絶」すべきだと主張する映像(http://www.youtube.com/watch?v=RuMVuuncwhI)がユーチューブ(8月2日付)にアップされた。
しかし、アカイディー大佐は一方で、クルド人が同胞であり、クルド・アーザーディー大隊は、一部のホットスポットで自分たちとともに戦っていると賞賛した。
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自由シリア軍国内合同司令部のファフド・ミスリー中央広報担当官はAKI(8月2日付)に「一部の国はこれらの過激派(サラフィー主義者)がシリアに入るのを支援したいと考えているようだが…、我々は彼らがとどまることを許さない…。我々はアル=カーイダ、ヌスラ戦線などの戦闘員にシリアを去るよう求める。いかなるテロ過激派であれ、彼らが自らの目標をシリアの将来に押し付けることを我々は認めない」と述べた。
しかしミスリー報道官は同時に「もちろん、シリアに入ったすべてのアラブ人・外国人戦闘員が過激派やテロリストである訳ではない。大部分は純粋に人道的な動機で来たのだ」とも述べた。
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シリア革命反体制勢力国民連立の広報局は声明を出し、シリア北部のすべての反体制武装集団に対して、民間人の安全を確保し、逮捕・拘束・拉致した民間人を釈放するよう呼びかけた。
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シリア革命反体制勢力国民連立の代表メンバー29人が共同声明を出し、7月8日のイスタンブールで選出された政治委員会メンバーが「正統でなく、我々を代表してない」と批判、選挙のやり直しを求めた。
7月8日の選挙に代表メンバー114人中30人が欠席、また多くの代表メンバーが選挙実施の連絡を受けていなかったことなどが主な理由。
共同声明に署名したのは、アフマド・アブー・ハイイル・シュクリー、アナス・アルヌート、バドル・ジャームース、ジャラールッディーン・ハーンジー、ジャマール・ワルド、ジャワード・アブー・ハトブ、フサイン・アブドゥッラー、ハーリド・ハーッジ・サーリフ、ハーリド・ハウジャ、ハーリド・マスブート、ダーウード・アール・スライマーン、リヤード・ハサン、ズィヤード・ライイス、ズィヤード・ハサン、サーリム・ムスラト、サリーム・ハティーブ、サフワーン・ジャンダリー、アブドゥルイラーフ・ファフド、アブドゥルカリーム・バッカール、アブドゥー・フサームッディーン、アドナーン・ラフムーーン、ファイサル・シャーミー、ムハンマド・フサイン・カッダーフ、ムハンマド・ハイイル・ワズィール、ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド、ムハンマド・ムスタファー・ムッラー、ムハンマド・ヤフヤー・マクタビー、ムスタファー・ナウワーフ・アリー、ナスル・ハリーリー。
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民主統一党渉外局のアフマド・シャンムー氏は『ハヤート』(8月4日付)に、党使節団が英国外務省を訪問し、「タッル・アブヤド、タッル・クージャラート、タッル・ハースィル、アフリーンのクルド人地域で(サラフィー主義者が行っている)野蛮な虐殺と民族浄化を非難し…、マイノリティおよびすべてのエスニック集団を保護するために行動する」よう求めた。
シリア政府の動き
カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣はシャーム放送(ラジオ、8月2日付)で「外国からやってくる過激派と戦うため、すべてのシリア人が一致団結するにふさわしい政治的雰囲気」が醸成されているとしたうえで、「一部の反体制武装集団さえもが過激派と戦っている、シリア人こそが危機を解決する。西側はいつか、シリアに過激派が潜入するのを阻止するために自らの国境を閉ざさざるを得なくなるだろう」と述べた。
国内の暴力
ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ジュワーディーヤ(ジル・アーガー)市とマアバダ(カルキールキー)市間に位置する村々を襲撃したイラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線と民主統一党人民防衛隊が交戦した。
この戦闘で、イラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員12人が死亡した。人民防衛隊側の死傷者は不明。
またハヴィダールを名のるクルド人活動家は、AFP(8月2日付)に、ラアス・アイン市が早朝激しい砲撃を受けたと述べた。
一方、SANA(8月2日付)によると、ハサカ市南部のミールビーヤ地区で軍と反体制武装集団が交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。
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アレッポ県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、アレッポ中央刑務所の外壁で自爆テロが発生、その後同刑務所周辺で、軍がイラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。
またラスム・アッブード村、マーリア市、ダイル・ハーフィル市、バーブ市周辺が軍の砲撃・空爆を受けた。
アレッポ市では、ラーシディーン地区、サラーフッディーン地区、ウマイヤ・モスク周辺、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区などで、軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(8月2日付)によると、マンスーラ村、ハーン・アサル村、ダイル・ハーフィル市、アターリブ市、ラスム・アッブード航空基地周辺、マンナグ航空基地周辺、アレッポ中央刑務所周辺、クワイリス市、ナイラブ航空基地周辺、ドゥワイリーナ市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、旧市街、スライマン・ハラビー地区入り口、ラーシディーン地区、サラーフッディーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、軍がハーッラ市を空爆した。
一方、SANA(8月2日付)によると、ダルアー市、ハーッラ市、サフム・ジャウラーン村、シャジャラ町、ハイト村、アービディーン市、ナーフィア村、ジャムラ村、スィースーン市、タファス市、ジッリーン村、タスィール町、ワーディー・ヤルムーク、バサーラ市、ハーヌート市、シャブラク村、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、ラッカ市のラシード広場、ダウワール・ナイーム地区、タブカ市などに軍が「樽爆弾」などを用いて空爆を行った。
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ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、ダイル・ザウル市のアルディー地区を軍が砲撃し、子供1人を含む2人が死亡した。
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タルトゥース県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、人民諸委員会と国防隊がバーニヤース市のラアス・ナブア地区に突入し、家宅捜索などを行った。
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ダマスカス県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、ヤルムーク区、ジャウバル区、カーブーン区、カダム区などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(8月2日付)によると、バルザ区、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、ドゥーマー市、スバイナ町、ハーン・シャイフ・キャンプ、フサイニーヤ・キャンプ、ハラスター市周辺、ラアス・アイン市などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(8月2日付)によると、ドゥーマー市郊外、ダイル・サルマーン市、ズィヤービーヤ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
またダイル・アティーヤ市では、反体制武装集団によって誘拐されていたアフマド・ムスタファー・マルマル市議会議員が遺体で発見された。
他方、シリア人権監視団によると、イスラーム旅団、カラムーン殉教者大隊、タウヒード大隊が、カルドゥーン市近郊(カラムーン地方)で、軍との交戦の末、の軍の武器庫3カ所を制圧し、対装甲ミサイル、地対地ミサイルなど「西側に供与を求めていた高性能兵器」(8月4日付『ハヤート』)を確保した。
この戦闘で、カラムーン地方での戦闘を指揮していた離反士官を含む2人が死亡した。
これに関して、ダマスカス軍事評議会は、「ダンダ404」の名で知られる巨大な武器を制圧したと発表、コンコルス、ミラン、コルネットといったミサイルを捕獲したと発表した。
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イドリブ県では、『ハヤート』(8月3日付)によると、ハーン・スブル村、タマーニア町、カフルナジュド市、ナフリヤー市などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃・空爆を加えた。
一方、SANA(8月2日付)によると、カストゥーン村、バズィート市、クーリーン市、ナージヤ村、サアディー・ガソリン・スタンド、マアッラトミスリーン市、ナフリヤー市、マアッラト・ヌウマーン市、ダイル・サンバル村、タマーニア町、サルジャ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(8月2日付)によると、スルターニーヤ村、サラーム・シャルキー村で軍が反体制武装集団の掃討を完了、両村の治安を回復した。
またヒムス市カラービース地区、バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ジュッブ・ジャンダリー地区、ワーディー・サーイフ地区、クスール地区、ワアル地区、ワルシャ地区、ハミーディーヤ地区、ラスタン市、ガントゥー市、タッルドゥー市、アクラブ町、カフルラーハー市、タルビーサ市、カルアト・ヒスン市、ハタムルー村、タイバ村、マヌーフ村、アブーリーヤ村、ハルダーナー村、シューハ村、カスル・ハイル村、で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
このほか、タッルカラフ市郊外のシュワイヒド村で反体制武装集団が住民6人を惨殺した。
レバノンの動き
ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はベイルート郊外のダーヒヤでの世界エルサレムの日祝典に姿を現し、参加者の前で演説を行った。
ナスルッラー書記長が公の場に姿を現したのは、昨年9月以来11ヶ月ぶり。
シリア状勢との関連で、ナスルッラー書記長は「我々ヒズブッラーはパレスチナを支持し続けるだろう。我々はシリアやパレスチナの問題をめぐってしばしばパレスチナの諸派と意見を異にするが、彼らとよい関係を望んでいる」と述べた。
諸外国の動き
国連のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官は声明を出し、アレッポ県ハーン・アサル村で7月22~23日に発生したとされる反体制武装集団による軍兵士の処刑に関して「戦争犯罪が行われたかどうかを知るため、独立した調査を行わねばならず、こうした犯罪の責任者は裁かれねばならない」と述べた。
ピレイ難民高等弁務官は、彼女の次官らがインターネットでハーン・アサル村での処刑に関するビデオを観たことを明らかにしたうえで「この映像が本当なら、ハーン・アサル村で処刑が行われたことになる…。科学チームが今日までに行った分析から、我々は反体制武装集団がビデオに撮影された事件を行い、少なくとも30人を処刑、そのほとんどが兵士だったと考えている」と述べた。
AFP, August 2, 2013、AKI, August 2, 2013、al-Hayat, August 3, 2013, August 4, 2013、Kull-na Shuraka’, August 2, 2013、Kurdonline,
August 2, 2013、Naharnet, August 2, 2013、Reuters, August 2, 2013、SANA, August
2, 2013、UPI, August 2, 2013などをもとに作成。
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