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反体制勢力の動き
自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長はフェイスブックを通じて声明を出し、支援国の要請に基づき、「海岸解放作戦」から一部の反体制武装集団が撤退したとの情報に関して「前線司令部どうしに完全なる調整がなされている」と否定した。
声明でイドリース参謀長は「参謀本部がヒムス戦線、海岸戦線に武器を供与していないとの言説、参謀委員会が、自らの命令に服する軍を作ろうとしており、ヒムスを売り、海岸をシャッビーハと傭兵のために温存して欲しいとの東西の要求を実行しているとの言説があるが…、ヒムス戦線に武器を供与し、あらゆる物的…武器兵站支援を行っている。参謀委員会はヒムス戦線各所で成功裏に前進していることを知っている」と主張した。
また「海岸戦線に武器を供与し、そこでの戦闘に必要なすべてを支援している。我々は前線司令官と連絡を取り合っており、海岸であれどこであれ、シリアに犯罪者バッシャールのシャッビーハに安全な場所などない…。参謀本部はすべての前線司令官と完全なる合意・調整を行っている」と付言した。
さらにイドリース参謀長は「軍(「シリア国民軍中核」)が発足すれば、それはシリア人だけのものとなり、その命令のみを実行することになる。シリアを誰が分割しようとも認めない」と強調した。
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民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は『ハヤート』(8月11日付)に、イラン高官との最近の会談で、過激派に代表される「共通の敵と戦う」ことで合意するとともに、西クルディスタン人民議会による「移行期民政局」設置構想に関して「正当な権利」だとの支持を得たと述べた。
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シリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長は『ハヤート』(8月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と民主統一党を仲介し、反体制武装集団と人民防衛隊の戦闘停止に向けた交渉を行っていることを明らかにした。
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シリア・ムスリム同胞団の政治局(ハッサーン・ハーシミー局長)は声明を出し、数日前にアレッポ市を訪問し、同地に同胞団の最初の支部を開設したと発表した。
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シリア革命調整連合は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線やイラク・シャーム・イスラーム国によるとされる民間人、活動家の誘拐・拉致を強く非難した。
シリア政府の動き
クッルナー・シュラカー(8月10日付)は複数の消息筋の話として、共和国護衛隊の増援部隊がダマスカス県郊外のマッザ航空基地からラタキア県の殉教者バースィル・アサド国際空港に貨物機で派遣された、と報じた。
国内の暴力
ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区で、軍がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国と交戦、反体制武装集団がハウィーカ地区のバアス党ダイル・ザウル支部、ダイル・ザウル県庁公邸などを制圧、軍の士官1人と兵士5人を殺害する一方、軍がクスール地区などに砲撃を加えた。
一方、SANA(8月10日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、ウルフィー地区、工業地区で、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラッカ市を空爆し、子供7人を含む市民13人が死亡した。
また軍はハナースィル市南部のタバーラ・サハーニー村に突入し、女性1人を含む12人を「処刑」した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がクワイリス航空基地内の砲台を破壊した。
一方、SANA(8月10日付)によると、クワイリス村、ラスム・アッブード村、マーイル町、アターリブ市、カマーリー村、ハーン・アサル市、フライターン市、ハイヤーン町、マンナグ村、マンスーラ村で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、ブスターン・ザフラーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シャーグール区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数の市民が負傷した。
一方、SANA(8月10日付)によると、バルザ区、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またドゥッハーニーヤ地区の小学校近くに迫撃砲弾が着弾し、市民3人が死亡、複数が負傷した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、軍が山間部の反体制武装集団拠点などに空爆を行い、民間人10人を含む20人が死亡した。
一方、SANA(8月10日付)によると、軍がヒルバト・バーズ村で反体制武装集団の掃討を完了、同村の治安を回復した。
またシャイフ・ナッバハーン村、ウービーン村などに潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退、殲滅した。
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イドリブ県では、SANA(8月10日付)によると、カフルシャラーヤー市、ビダーマー町、アルナバ市、サラーキブ市、タフタナーズ市、シャイフ・ユースフ市、ビンニシュ市、マジュダリヤー村、カフルジャーリス市、タッル・サラムー市、ブワイティー市、バラーギースィー市、マアッラト・ヌウマーン市、カフルルーマー村、ダーナー市で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(8月10日付)によると、ダルアー市、ジュバイリーヤ村、タッル・シハーブ町、ジャムラ村、ナワー市、バサーラ市、タスィール町、アイン・ズィクル村、サイダー市、インヒル市、ハイト村、イズラア市で、軍が反体制武装集団と交戦、タウヒード旅団戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(8月10日付)によると、ヒムス市ジャウラ・シヤーフ地区、カラービース地区、ワルシャ地区、バーブ・フード地区、クスール地区、ハミーディーヤ地区、サアン村郊外、ダール・カビーラ市、ガントゥー市、タルビーサ市、カフルラーハー市郊外、キースィーン市、ラスタン市、ダイル・フール村、アイン・ダナーニール市で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(8月10日付)によると、アドラー市郊外、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ダイル・サルマーン市、フジャイラ村、リーマー農場、ラアス・アイン市で、軍が反体制武装集団と交戦、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(8月10日付)によると、ハマー市郊外のナークール・バフサ街道で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民4人がしぼう、複数が負傷した。
レバノンの動き
『ナハール』(8月11日付)は、ベカーア県バアルベック具アルサール村郊外で、レバノン軍がシリア領内から入国したシリア人、パレスチナ人、デンマーク人を拘束、所持していた武器弾薬を押収したと報じた。
このなかのパレスチナ人は、身柄拘束に際して、自爆ベルトを爆発させようとしたという。
諸外国の動き
イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領は、自らが呼びかけているクルド国民大会のための準備委員会設置を呼びかける声明を出し、そのなかで「生命の危険に曝されているシリアのクルド人を守るために介入する」用意があるとの意思を表明した。
AFP, August 10, 2013、al-Hayat, August 11, 2013、Kull-na Shuraka’, August 10, 2013、Kurdonline, August
10, 2013、al-Nahar, August 11, 2013、Naharnet, August 10, 2013、Reuters, August
10, 2013、SANA, August 10, 2013、UPI, August 10, 2013などをもとに作成。
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