2013年6月6日のシリア情勢

国内の暴力

クナイトラ県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、反体制武装集団がゴラン高原の対イスラエル非武装地帯との境界にある国境通行所(クナイトラ検問所)を一時占拠したが、軍が戦車を用いて奪取した。

この戦闘にUNDOFフィリピン隊隊員のインド隊隊員の2人が巻き込まれて負傷した。

シリア人権監視団によると、反体制武装集団はクナイトラ検問所以外にも、クナイトラ市内およびバイト・ジン市の軍検問所を襲撃、カフターニーヤ市でも軍と交戦し、複数の兵士を殺害した。

これに対して、軍はジャバーター・ハシャブ村、タルナジャ市、クナイトラ市旧市街に対して砲撃を加えたという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市を完全制圧した軍が、東ブワイダ市、ダール・カビーラ村、ラスタン市に対して空爆・砲撃を加えた。

同監視団によると、軍は空爆に先だって、東ブワイダ市の住民に対して攻撃を行うとの警告を行ったという。

東ブワイダ市には、約15,000人が暮らしているほか、クサイル市からの負傷者数百人も避難生活を送っているという。

また反体制武装集団は、軍とヒズブッラーの戦闘員が結集する対レバノン国境の陣地を襲撃し、「多数の人的被害を与えた」ほか、ダブア市で軍と交戦した。

さらにヒムス市旧市街の複数の地区で4件の爆発が発生、またタドムル・ダイル・ザウル街道では、反体制武装集団が軍を要撃、複数の兵士を殺害した。

一方、SANA(6月6日付)によると、軍がクサイル市郊外のダブア市とハーリディーヤ村で反体制武装集団の掃討を完了、同村の治安を回復した。

また東ブワイダ市、西ダミーナ市、シャンダーヒーヤ村、スーハ・シャマール・タイフール村、ハムラー村、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルラーター市、ビンニシュ市などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(6月6日付)によると、サルキーン市で、軍がシャームの民のウスラ戦線の戦闘員と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またシュグル市、カスティン・ファウカーニー市、ビンニシュ市、サラーキブ市、タフタナーズ市、アルバイーン山、アブー・ズフール軍事基地周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市、マンビジュ市が軍の空爆を受けたほか、アレッポ市シャイフ・マクスード地区、ハーリディーヤ地区周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月6日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、マンナグ航空基地周辺、ダイル・ハーフィル市、ダイル・ジャマール村、ダフラ・シャルファ市、ドゥワイリーナ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・マクスード地区、バニー・ザイド地区、アーミリーヤ地区、旧市街、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区に対して軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月6日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マルジュ・スルターン村で軍と反体制武装集団が交戦したほか、マンスーラ村、ナバク市に対して軍が砲撃を行った。

一方、SANA(6月6日付)によると、アルバイン市、ムライハ市、バハーリーヤ市、ザマーニーヤ市、アーリヤ農場、アドラー市、ナバク市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市マディーナ・リヤーディーヤ地区、アルマー町、ハーッラ市、インヒル市に対して、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月6日付)によると、フラーク市、西ムライハ村、シャブラク村、ナーフィア村、ジャムラ村、ダイル・アダス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヨルダン人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(6月6日付)によると、反体制武装集団がザーラ市の発電所を迫撃砲で攻撃した。

レバノンの動き

レバノン軍は声明を出し、ベカーア県バアルベック郡バアルベック市にシリア領から発射されたロケット弾・迫撃砲約10発が着弾した、と発表した。

AFP(6月6日付)によると、この攻撃により、2人が負傷した。

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ナハールネット(6月6日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール市郊外のワーディー・フマイド検問所で、軍が武装集団と交戦、レバノン人1人とシリア人1人を殺害した。

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AFP(6月6日付)によると、北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で「サラフィー主義者とヒズブッラーを指示する戦闘員」(治安消息筋)が交戦し、1人が死亡、7人が負傷した。

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クウェート日刊紙『スィヤーサ』(6月6日付)は、ヒムス県クサイル市での戦闘に参加していたヒズブッラーのムハンマド・ラアド議員(抵抗への忠誠ブロック代表)、ムハンマド・フナイシュ行政改革担当国務大臣の息子が負傷したと報じた(未確認情報)。

フナイシュ大臣の息子は重傷を負い、ベイルートの病院に搬送されたという。

諸外国の動き

オーストリアの首相と外相は共同声明を出し、ゴラン高原でのシリア軍と反体制武装集団の戦闘激化を受けて、UNDOFオーストリア隊をゴラン高原から撤収すると発表した。

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アル=カーイダの指導者アイマン・ザワーヒリーはインターネットを通じて音声声明を出し、シリアのサラフィー主義者たちに、親米体制樹立を阻止するために統合するよう呼びかけた。

ザワーヒリーは「統合し…、カリフ制復興をめざすイスラーム国家が…シャームに建設されるまで…武器を放棄せず、陣地を去らないと誓え」と述べ、「サファヴィー朝的なイランの拡張主義と同盟する世俗的バアス」と戦うよう呼びかけた。

また「アメリカとその手先、さらにはその同盟者は、あなたたち(サラフィー主義者)が血を流し…罪深いアラウィー体制を打倒したのち、彼らに忠実な政府が樹立され、イスラエルの安全保障が維持される…ことを望んでいる」と主張した。

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米ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は、シリア軍によるクサイル市制圧に関して「多数の市民を殺害し、甚大な人的被害をもたらした」と非難した。

また「(シリアの)体制は自力ではクサイルに対する反体制勢力の支配に対抗できず、ヒズブッラーとイランに依存している」と主張、ヒズブッラーとイランにシリアからの戦闘員の撤退を要求した。

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サウジアラビアの大ムフティー、アブドゥルアズィーズ・シャイフ師は、「我々はすべての政治家と聖職者に、この憎い宗派主義集団とその支援者に対抗するための実質的措置を講じるよう求める」と述べ、シリア軍を支援するヒズブッラーとイランを非難した。

SPA(6月6日付)が報じた。

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『ハヤート』(6月7日付)はロンドンでのシリアの友連絡グループ各国代表会合に出席した米高官の話として、ジュネーブ2会議で審議予定の「全権を有する移行期政府」に関して、ロシアが軍、治安部隊の指揮・統括権を同政府に付与することに同意したと報じた。

AFP, June 6, 2013、al-Hayat, June 7, 2013、Kull-na Shurakā’, June 6, 2013、Kurdonline, June 6, 2013、Reuters,
June 6, 2013、SANA, June 6, 2013、al-Siyāsa, June 6, 2013、SPA, June 6, 2013、UPI, June 6, 2013などをもとに作成。

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