シリア反体制勢力の動き:イスラーム戦線幹部、ダーイシュへの対応をめぐり二転三転(2014年10月5日)

イスラーム戦線渉外局長のアブー・ムスタファー氏はアナトリア通信(10月5日付)に、米国など有志連合によるイスラーム戦線拠点への空爆を受け、イスラーム戦線がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を行わないことを決定したと述べた。

アブー・ムスタファー氏によると、イスラーム戦線は「ナフルワーン・シャーム」の戦いを銘打って、ダーイシュによって奪われた「解放区」奪還に向けて、8月25日からダーイシュとの戦闘を行ってきたが、シリア軍と有志連合の空爆ゆえに、「直接戦闘」は行ってこなかったことを明かした。

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しかし、イスラーム戦線アレッポ県広報局長のアブドゥルカリーム・ライラー氏(アブー・フィラース・ハラビー)は声明を出し、「イスラーム戦線はダーイシュ(イスラーム国)との戦いを続ける」と発表し、アブー・ムスタファー氏の発言を否定した。

ライラー氏は、タウヒード旅団広報局長も兼務している。

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シャームの民のヌスラ戦線はツイッターを通じて声明を出し、パキスタン・ターリバーン運動のウマル・ハーリド・ホラーサーニー氏によるダーイシュ(イスラーム国)との和解提案を「このイニシアチブこそ、戦線が当初からとろうとしてきたものだ」と支持を表明した。

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ドゥラル・シャーミーヤ(10月5日付)によると、反体制武装集団約90組織が共同ビデオ声明を出し、「シリア革命指導評議会」を結成すると発表した。

声明によると、「シリア革命指導評議会の一般原則…はイスラーム教に基づき…、シューラーが活動の基礎をなし…(その決定は)拘束力を有し…、体制打倒と国家建設はシリア国民の参加プロセスである」という。

また声明では、外国の干渉拒否を謳っている。

AFP, October 5, 2014、Anadolu Ajansı, October 5, 2014、AP, October 5, 2014、ARA News, October 5, 2014、Champress, October 5, 2014、al-Durar al-Shamiya, October 5, 2014、al-Hayat, October 6, 2014、Kull-na Shuraka’, October 5, 2014、al-Mada Press, October 5, 2014、Naharnet, October 5, 2014、NNA, October 5, 2014、Reuters, October 5, 2014、SANA, October 5, 2014、UPI, October 5, 2014などをもとに作成。

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