諸外国の動き:フランス二枚舌外交(2014年10月8日)

『ル・モンド』(10月8日付)は、フランス治安当局(DGSI)がシリアの治安機関に対して直接連絡をとり、シリア国内でダーイシュ(イスラーム国)などの反体制武装集団に参加しているフランス人に関する情報に努めていると報じた。

同報道によると、両国治安当局の接触は2014年第1四半期に開始されたという。

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フランス大統領府は声明を出し、フランソワ・オランド大統領が、シリア・トルコ国境地帯での「緩衝地帯」設置を支持すると発表した。

「緩衝地帯」は、ダーイシュ(イスラーム国)の北進を受けて、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が設置を主張してきた。

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ジョン・ケリー米国務長官は、ワシントンDCでフィリップ・ハモンド英外務大臣と会談し、ダーイシュ(イスラーム国)への対応などについて協議した。

会談後の共同記者会見で、ケリー国務長官は、シリア・トルコ国境での「緩衝地帯」設置について、「検討に値する」と述べた。

またハモンド外務大臣も「同盟国や友好国とともに緩衝地帯が意図するものについて検討しなければならない…。必ずしもその設置を排除しない」と述べた。

これに関連して、米国防総省報道官は、トルコ・シリア国境地帯における「飛行禁止空域」の設定は提起されていないと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、欧米諸国がトルコ・シリア国境に設置を示唆した「緩衝地帯」に関して、ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦いが内政干渉や体制打倒の口実となってはならない」と批判した。

AFP, October 8, 2014、AP, October 8, 2014、ARA News, October 8, 2014、Champress, October 8, 2014、al-Hayat, October 9, 2014、Kull-na Shuraka’, October 8, 2014、al-Mada Press, October 8, 2014、Le Monde, October 8, 2014、Naharnet, October 8, 2014、NNA, October 8, 2014、Reuters, October 8, 2014、SANA, October 8, 2014、UPI, October 8, 2014などをもとに作成。

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