『ハヤート』(2月16日付)は、複数のメディア筋の話として、トルコ政府がシャームの民のヌスラ戦線を支援し、シリア軍の陣地を砲撃、またトルコ領内で反体制武装集団に武器を売却してきたと伝えた。
これに関して、ハタイ県出身のトルコ国会議員マフメト・アリ・エディプ氏は、2013年にラタキア県カサブ町一帯で反体制武装集団(自由シリア軍)が行ったいわゆる「戦利品(アンファール)の戦い」にヌスラ戦線、イスラーム戦線が参加していたと述べていたが、トルコ政府はこうした発言内容を否定していた。
しかしトルコ日刊紙『ジュムフリイェト』によると、反体制武装集団への武器売却から、トルコ軍によるシリア軍陣地砲撃にいたるまでの軍事支援が行われていたという。
同紙によると、こうした事実は、2013年にニーデ県で発生したダーイシュ(イスラーム国)メンバー2人によるトルコ治安要員2人殺害事件の捜査を通じて明らかになったという。
事件の捜査記録のなかには、ウルハーン・ウールリーを名のるトルクメン系シリア人男性の証言があり、トルコ治安当局は、この男を追跡し、シリアの反体制派、すなわち「戦利品の戦い」に参加したシリア・トルクメン戦線を名のる武装集団司令官の一人で、兄弟のアーディル・ウールリー氏と武器取引について話していると思われる電話での会話を録音していた、という。
また捜査記録によると、ウルファーン氏は、アーディル氏からGPSシステムで特定されたシリア軍陣地の座標を入手、この情報をハタイ県のAKP(公正発展党)党員のメフメット・トクタシュ氏に伝え、(トルコ軍による)砲撃が行われるかを確かめるためトクタシュ氏に電話で尋ね、砲撃の約束の期日が間近だと迫ったという。
ウルファーン氏はさらに、シリア国境のヤイラダーウ市(ハタイ県)の市長に対して「ムジャーヒディーン」(ジハード主義武装集団戦闘員)のシリアへの入国を認めるよう求め、これに関して「私は命令と指示に従って行動した」と証言していたという。
調査記録によると、ウルファーン氏が密売した武器は総額400万ドルに及んでいたという。
al-Hayat, February 16, 2015をもとに作成。
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