チェチェン人からなるムハージリーン・ワ・アンサール軍が、ダーイシュ(イスラーム国)との交戦の是非、ヌスラ戦線との共闘の是非をめぐって内部対立(2015年6月6日)

『クドス・アラビー』(6月6日付)は、複数のメディア筋の話として、チェチェン人など外国人戦闘員からなるアル=カーイダ系組織のムハージリーン・ワ・アンサール軍内で、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線の共闘の是非をめぐって対立が生じている、と伝えた。

それによると、ムハージリーン・ワ・アンサール軍のアミール(司令官)を勤めるサラーフッディーン・シーシャーニー氏が、活動拠点であるアレッポ県でダーイシュと交戦することを拒否し、地中海岸地帯、とりわけラタキア県に転戦する決定を下したが、これに多くの幹部が異議を唱え、アレッポ県カフルハムラ村郊外で、シーシャーニー氏を支持する戦闘員を要撃し、身柄を拘束、アレッポ市郊外統一司法局に送還したのだという。

シリア国内でテロ活動を行うチェチェン人の動静に詳しい「コーカサスのこだま」(http://echokavkaz.blogspot.jp/)はツイッターなどで、シャームの民のヌスラ戦線や統一司法局が、シーシャーニー氏をムハージリーン・ワ・アンサール軍の司令部から解任することをめざしていると伝えた。

その一方で、『クドス・アラビー』は、ムハージリーン・ワ・アンサール軍の幹部のなかには、アル=カーイダ、とりわけシャームの民のヌスラ戦線に忠誠を誓うことの是非が検討されており、アル=カーイダへの忠誠が宣言された場合、ムハーリジーン・ワ・アンサール軍はダーイシュとの戦闘に参加することになると伝えている。

AFP, June 6, 2015、AP, June 6, 2015、ARA News, June 6, 2015、Champress, June 6, 2015、al-Hayat, June 7, 2015、Iraqi News, June 6, 2015、Kull-na Shuraka’, June 6, 2015、al-Mada Press, June 6, 2015、Naharnet, June 6, 2015、NNA, June 6, 2015、al-Quds al-‘Arabi, June 6, 2015、Reuters, June 6, 2015、SANA, June 6, 2015、UPI, June 6, 2015などをもとに作成。

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