2013年1月28日のシリア情勢

シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がドバイに到着したと報じた。

同報道によると、この訪問は数年前にジャミール副首相がUAEで起業したコンピューター、人工衛星関連の企業の運営状況を点検するためだという。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市の防空局周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。またダーライヤー市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、カフルバトナー町、ハッザ市などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またナバク市の軍人用団地の襲撃を試みた反体制武装勢力を軍が撃退した。

さらにヤブルード市では、反体制武装勢力どうしが、住民からの略奪品の分配をめぐって交戦し、多数の戦闘員が死傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市での民主連合党人民防衛部隊と自由シリア軍の戦闘で、後者の戦闘員10人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、東ブワイダ市、シューマリーヤ市などクサイル市郊外、ハウラ地方、ヒムス市ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(1月28日付)によると、マッルアナーズ市、マンナグ市、サフィール市、アンダーン市、バーブニス市、フライターン市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、カラム・マイサル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月28日付)によると、ダルアー市、ブスル・ハリール市、ブスラー・シャーム市、サイダー町、ナイーマ村、ラジャート高原などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、ハルブンウーシュ市、カフルシャッラーヤー村などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月28日付)によると、ダイル・ザウル市内の軍の拠点を襲撃しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

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ハマー県では、SANA(1月28日付)によると、カルナーズ町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、ファールーク大隊の司令官、シャーム自由人大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

パリでの国際会議に対抗するかたちで、ジュネーブでシリアの反体制活動家らが「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」を開催し、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長らが出席した。

大会にはシリア人反体制活動家、アラブ諸国、欧米諸国など36カ国の活動家、研究者ら約200人が出席した。

大会委員長のマンナーアによると、大多数のシリア人が民主的市民国家の建設を求めており、政権による弾圧、暴力を通じた体制転換のいずれをも拒否していることを国際社会に告知することが大会の目的。

またパリでの国際会議との違いに関して、マンナーアは「違いは我々が民主的シリア人の集まりで、より多くのシリア人に対して呼びかけを行い…、シリア国内および避難民における民主的・市民的な勢力を作ろうとしていることにある。一方、パリで起きていることは、フランス外務大臣が自らの欲するものをシリア人に押し付けるための呼びかけに過ぎない」と非難した。

しかし『ハヤート』(1月29日付)によると、スイス当局は、フランスの圧力を受けて、活動家67人に対してビザ発給を拒否、入国を認めなかった。

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クルディーヤ・ニューズ(1月28日付)は、ラアス・アイン市での民主連合党人民防衛部隊と自由シリア軍の戦闘停止を呼びかけるトルコのイスタンブールで活動家の声明への署名を、シリア革命評議会のハイサム・マーリフ代表が拒否した、と報じた。

拒否の理由は声明においてラアス・アイン市がクルド語の「セレ・カーニーイェ」と記されていたため。

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在外の人権組織12団体が共同声明を出し、軍と反体制武装勢力、民主連合党と反体制武装勢力の戦闘が続いているアレッポ県、ハサカ県のキリスト教徒に対する襲撃事件が多発していると警鐘を鳴らした。

共同声明を出したのは、アッシリア人権ネットワーク、シリア人権ネットワーク、シリア人権機構(SWASIAH)、アラブ人権機構、(シリア・)シリア人権機構(Maf)、ダマスカス人権研究センター、シリア・クルド人権委員会、DADなど。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、民主連合党が、ハサカ県カーミシュリー市西部にあるスライマーン・ヒラール氏の商店を焼き討ったと報じた。

同報道によると、ヒラール氏はラアス・アイン市に侵入した自由シリア軍ミシュアル大隊司令官のウサーマ・ヒラールの父親。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関紙(アンバー)において、シリア情勢について言及し、そのなかでシリアのドゥルーズ派に対して、アサド政権が最近発足した国防隊に参加しないよう呼びかけた。

諸外国の動き

フランス外務省は、パリでシリア革命反体制勢力国民連立を支援するための国際会議を開催し、欧米諸国、アラブ諸国約50カ国と国際機関の代表、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーの約3分の1が出席した。

開会の辞でローラン・ファビウス外務大臣は、会合の目的を「体制の野蛮な抑圧に立ち向かう」シリア国民への支援と、シリアの「平和、多元主義、自由の未来を体現する反体制勢力への具体的支援」と明言した。

また、シリア革命反体制勢力国民連立が日に日に国民の支援を受けるようになっており、「国民の基本的ニーズ、そして和解をめざすシリアに関わる約束を履行する能力がある」と断じて、「シリア国民の正統な代表」である連立への国際社会の支援を求めた。

そのうえで、「国家と社会の崩壊が生じれば、真空を埋めようとする過激派が台頭する」と警鐘を鳴らした。

パリでの会議に出席したシリア革命反体制勢力国民連立のリヤード・サイフ副議長はファビウス外務大臣との共同記者会見で、「アサド政権が崩壊した場合、それに代わる政権を発足するための活動支援を必要としている…。シリア国民を支援する能力を我々が得るための支援が必要だ」と述べ、自らの無力を吐露した。

また移行期政府がシリア人の救済と解放区の運営を行ううえで不可欠だと述べたうえで、「義務を果たすための資金が必要」だと強調する一方、「アサドを当事者としないという条件のもとでの公正な対話」を歓迎すると述べ、対話を通じた紛争解決を事実上拒否した。

シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーでもあるシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は会議で、「数十億ドルが必要だ…。最低でも5億ドルが必要だ…。武器が必要だ」と資金・武器支援を国際社会に呼びかけ、紛争の平和的解決を拒否した。

『ハヤート』(1月29日付)は、フランス外交筋の話として、会議の目的が、シリア国民を支援する能力を持った反体制勢力の枠組みを強化・活性化することにあると報じた。

同消息筋は、「シリア革命反体制勢力国民連立の枠組みは不完全で、内部対立がある」と認めたうえで、「しかし事態を進展させ、政治的アクションを行うために最大限の努力を行う」べきだと述べ、会議の主旨を明らかにした。

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バラク・オバマ米大統領は『ニュー・リパブリック』(1月27日付)のインタビューに応じ、そのなかで、「シリアのような状況について、我々は、こうした状況下で別のことをできるかと問わねばならない…。軍事介入に効果はあっただろうか?…簡単な答えなどない」と述べた。

また『60ミニッツ』(1月27日付)とのインタビューにおいて、オバマ大統領は「シリアは、米国の安全保障を高めるだけでなく、シリア国民やイスラエル国民に適切に対処するかたちで我々が関与しなければならない古典的な例だ」と述べ、米国の対シリア政策を自己正当化した。

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イスラエルのアヴィ・ディヒター国内治安大臣は、イスラエル放送局(1月28日付)のインタビューに応じ、そのなかでレバノンのヒズブッラーがシリアの化学兵器貯蔵施設の近くに基地を建設していると断じ、ヒズブッラーがシリア情勢に乗じて大量破壊兵器の入手を試みていると批判した。

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『ハヤート』(1月29日付)は、イスラエル治安筋の話として、イスラエル軍がアイアンドーム防空システム2基を北部(占領下のゴラン高原方面)に配備した、と報じた。

同消息筋によると、配備は一時的な移動によるものだという。

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英国のブリタム・ディフェンスはHPで、リビアからシリアのヒムス県に化学兵器を密輸して使用し、シリア軍に嫌疑をかけ、シリアとイランへの欧米諸国の軍事介入の準備することをカタールが提案していたと暴露した。RT(1月28日付)が伝えた。

AFP, January 28, 2013、Akhbār al-Sharq, January 28, 2013、al-Anbā’, January 28, 2013、al-Ḥayāt, January 28, 2013, January 29, 2013, January 30, 2012、Kull-nā Shurakā’,
January 28, 2013、al-Kurdīya News, January 28, 2013、Naharnet, January 28,
2013、Reuters, January 28, 2013、SANA, January 28, 2013、UPI, January 28,
2013などをもとに作成。

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