イスラエル占領下のドゥルーズ教徒が、シリアの反体制派へのイスラエルの支援に反対(2015年6月22日)

『ハヤート』(6月23日付)などは、イスラエル警察報道官の話として、占領下のゴラン高原(停戦ライン西部)にあるハルフィーシュ村で、住民たち(ドゥルーズ派)が早朝、イスラエル軍の救急車両が搬送しているシリアの反体制武装集団の負傷者の取り調べを求めて詰め寄り、投石を行った、と報じた。

イスラエル警察の報道官によると、これにより搬送されていた負傷者2人のうち1人は死亡、別の負傷者は重傷を負い、救急車両に乗っていたイスラエル軍兵士2人も負傷した。

ハルフィーシュ村の住民の一人、ファラフ・サービク氏によると、救急車両に詰め寄った住民は「シリアの状況に憤りを感じている」という。

クナイトラ県では、停戦ラインに近いゴラン高原では、最近になって、自由シリア軍南部戦線、シャーム自由人イスラーム運動などとシリア軍との戦闘が激化する一方、スワイダー県サアラ航空基地に対する自由シリア軍南部戦線などジハード主義武装集団の攻勢を受け、シリア国内のドゥルーズ派が国防隊隊員として戦闘に本格参加するなどしており、こうした事態がイスラエル占領下の地域で暮らすドゥルーズ派の間で緊張を高めていたという。

SANA(6月22日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線の傘下で活動するタクフィール主義武装集団の預言者末裔旅団は、イスラエル領内への負傷者搬送、武器供与など、イスラエルからの支援を受けている組織と目されている。

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なお、クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ハドル村一帯、ジャバーター・ハシャブ村近郊で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団(シャーム自由人イスラーム運動など)と交戦した。

シリア軍はまた、ハムル丘一帯を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月22日付)によると、マムティナ村、ブザーク丘、マスハラ村、タルジャナ村で、シリア軍が反体制武装集団への攻撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、預言者末裔旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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自由シリア軍南部戦線は声明を出し、ダルアー県などで活動するシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などのジハード主義武装集団が20日に結成を発表した南部地域ファトフ軍に関して、協力を拒否するとの姿勢を示した。

AFP, June 22, 2015、AP, June 22, 2015、ARA News, June 22, 2015、Champress, June 22, 2015、al-Hayat, June 23, 2015、June 24, 2015、Iraqi News, June 22, 2015、Kull-na Shuraka’, June 22, 2015、al-Mada Press, June 22, 2015、Naharnet, June 22, 2015、NNA, June 22, 2015、Reuters, June 22, 2015、SANA, June 22, 2015、UPI, June 22, 2015などをもとに作成。

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