イスラエル占領下のゴラン高原でのドゥルーズ派住民による反体制武装集団戦闘員負傷者襲撃に対するイスラエル、シリア、レバノンの反応(2015年6月23日)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル占領下のゴラン高原にあるハルフィーシュ村で、ドゥルーズ派住民が、シリアの反体制武装集団戦闘員の負傷者を搬送しているイスラエル軍救急車両を襲撃した事件に関して、「きわめて危険なこの事件を見るがいい。我々は事件を起こした者たちを探し出し、法廷に送る…。我々は法治国家であり、我々の国の周りで起きている混乱とは何の関係もない」と述べた。

またモシェ・ヤアロン国防大臣も事件を「殺人罪」と断じ、「無視できない。治安当局は断固としてこの問題に対処する」と述べた。

一方、イスラエルのドゥルーズ派のシャイフ・アクルのムワッファク・タリーフ氏は、イスラエル国内のドゥルーズ派シャイフや一般信徒との緊急会合後に、「こうした行為を強く非難する…。これは我々のやり方ではない…。ドゥルーズ派の宗教、価値観、伝統は負傷者に危害を加えることを禁じている」と述べた。

『ハヤート』(6月24日付)が伝えた。

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SANA(6月23日付)は、イスラエル軍救急車両が搬送していた負傷者2人に関して「シャームの民のヌスラ戦線のテロリスト」だったと断じた。

イスラエル軍ラジオ局報道官は、「我々がヌスラ戦線を支援しているという主張は正しくない」と否定した。

これに対して、ドゥルーズ派のシャイフ、ワヒード・バルアース氏ら反体制派が「尊厳の男たちとスワイダー県ジャバル・アラブ自由人の共同声明」(22日付)を出し、占領地ゴラン高原での事件に先立って、親政権のドゥルーズ派民兵が、スワイダー市近郊在住の若者3人に、「スワイダー市を砲撃しようとしていた」との嫌疑をかけて殺害したと非難、スワイダー県の軍事情報局がドゥルーズ派とベドウィンの間の対立を煽動していると指弾した。

Kull-na Shuraka', June 23, 2015

Kull-na Shuraka’, June 23, 2015

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首(ドゥルーズ派)は、事件に関してツイッターで「シリアとイスラエルによる合同の内乱計画」だとしたうえで、「ジャバル・アラブの賢者(ドゥルーズ派シャイフ)たちは、スワイダーで、彼ら(ドゥルーズ派)とハウラーン地方住民、そしてアラブ・ベドウィンスンナ派を分断しようとしている陰謀の大きさを理解すべきだ」とつぶやいた。

AFP, June 23, 2015、AP, June 23, 2015、ARA News, June 23, 2015、Champress, June 23, 2015、al-Hayat, June 24, 2015、Iraqi News, June 23, 2015、Kull-na Shuraka’, June 23, 2015、al-Mada Press, June 23, 2015、Naharnet, June 23, 2015、NNA, June 23, 2015、Reuters, June 23, 2015、SANA, June 23, 2015、UPI, June 23, 2015などをもとに作成。

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