『ワシントン・ポスト』(7月26日付)などによると、米・トルコ両政府は、シリア領内のトルコ国境地帯からダーイシュ(イスラーム国)を排除し、両国の協力のもとに国境地帯に「安全地帯」を設置することで基本合意した。
「安全地帯」は、アレッポ県北東部の一帯に、東西約100キロ、南北約40キロの区域で設定され、トルコ南東部のインジルリク空軍基地から米軍機がこの地域に空爆を行い、ダーイシュを排除し、排除完了後も監視飛行を継続して、ダーイシュの潜入を阻止する計画だという。
また『ニューヨーク・タイムズ』(7月27日付)は、複数の米高官の話として、米政府が、トルコおよびシリアの「穏健な反体制派」とともに、ダーイシュの排除をめざし、トルコ領内に18万人に避難しているとされるシリア人のための避難場所を提供することで合意したと伝えた。
しかし、この「安全地帯」が、シリア軍の進入を阻止するための飛行禁止空域の設置を意味するかは明確ではない。
また、アレッポ県北部、ハサカ県各所で有志連合が空爆によって支援している人民防衛隊がこの「安全地帯」においてどのような処遇を受けるのかも定かではない。
なお、シリア・トルコ国境は全長800キロにおよび、「安全地帯」の設置が予定されているのは、西クルディスタン移行期文民局人民防衛隊主体のユーフラテスの火山作戦司令室が有志連合の航空支援のもとに進軍を続けている一致に限られる。
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トルコのアフメト・ダウトオール首相は、シリア北部に「安全地帯」を設置することで米国と基本合意に達したことについて「トルコはシリア危機当初から、安全地帯設置の必要を擁護してきた。それは二つの理由によるもので、第1に、シリア人避難民が自分たちの祖国にとどまるのを保障するため、第2に、安全地帯が、テロ集団の進入を阻止するためだ。安全地帯は、シリア政府、そしてテロ集団の攻撃に晒されているシリア人にとって、安全な避難場所となるだろう」と述べた。
また「ダーイシュやシリアのあらゆるテロ集団と戦うため、有志連合に対してトルコの航空基地を開放する」としたうえで、安全地帯が「シリアの反体制派の武装や教練のために利用されるだろう」と付言した。
一方、イラク北部のクルディスタン労働者党(PKK)拠点への空爆については、「この戦争は我々のクルド人ではなく、PKKに対するものだ」と述べた。
ARA News(7月28日付)が伝えた。
AFP, July 28, 2015、AP, July 28, 2015、ARA News, July 28, 2015、Champress, July 28, 2015、The Guardian, July 27, 2015、al-Hayat, July 29, 2015、Iraqi News, July 28, 2015、Kull-na Shuraka’, July 28, 2015、al-Mada Press, July 28, 2015、Naharnet, July 28, 2015、The News York Times, July 27, 2015、NNA, July 28, 2015、Reuters, July 28, 2015、SANA, July 28, 2015、UPI, July 28, 2015、The Washington Post, July 27, 2015などをもとに作成。
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