米匿名高官「米軍の軍事教練を受けた「穏健な反体制派」を爆撃で支援することを米政府は決定」(2015年8月3日)

『ハヤート』(8月4日付)、ロイター通信(8月3日付)などは、米国の複数の高官が匿名を条件に、米軍の軍事教練を受けた「穏健な反体制派」に空爆などを通じて支援を行うと米政府が決定したことを明かしたと伝えた。

匿名高官らによると、米軍は今後、「穏健な反体制派」への航空支援を行うという。

また、「穏健な反体制派」がシリア軍の攻撃を受ける可能性に関して、匿名高官らは「シリア政府軍は、ダーイシュ(イスラーム国)に対して空爆を行う米国主導の有志連合戦闘機に発砲したことはない」としつつも、「意図しない戦闘が起きる可能性はある」と付言した。

この決定は、7月30日に、米軍の軍事教練を受け、トルコからアレッポ市北部アアザール市郊外に投入された「第30師団」司令官らが、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線に拉致、またその拠点をめぐって、ヌスラ戦線と「第30師団」が攻防戦を繰り広げ、有志連合の空爆が行われたことを受けた動き。

米国家安全保障会議(NSC)のアリスター・パスキー報道官は、米軍が軍事教練を施した武装勢力以外に対しては支援を行っていないと述べ、「第30師団」を支援するため、ヌスラ戦線に対して空爆を行ったことを暗に認めた。

これに関して、ロシア大統領府報道官は記者団に「モスクワは再三にわたって、シリアの反体制派への支援が、資金面、技術面(軍事面)のいかんにかかわらず、シリアの情勢をさらに悪化させると強調してきた」と遺憾の意を表した。

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ARA News(8月3日付)によると、アレッポ県およびイドリブ県の北部(トルコ国境地帯)で活動する医療総局は、イドリブ県のアティマ村の国境通行所一帯で「汚職と行き過ぎの横行」しているとして、同通行所を通じた流感患者のトルコ領内への搬送を中止し、バーブ・ハワー国境通行所(イドリブ県)を経由して搬送を行うことを決定した。

AFP, August 3, 2015、AP, August 3, 2015、ARA News, August 3, 2015、Champress, August 3, 2015、al-Hayat, August 4, 2015、Iraqi News, August 3, 2015、Kull-na Shuraka’, August 3, 2015、al-Mada Press, August 3, 2015、Naharnet, August 3, 2015、NNA, August 3, 2015、Reuters, August 3, 2015、SANA, August 3, 2015、UPI, August 3, 2015などをもとに作成。

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