ダーイシュ(イスラーム国)は、シリア政府と和解していた地元の武装組織と連携してヒムス市のマヒーン町を制圧(2015年11月1日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア政府の支配下にあるマヒーン町(カルヤタイン市東部)に進攻し、同地を制圧した。

進攻に際して、ダーイシュは地元の武装集団との連携に合意、2回にわたる自爆攻撃を行うなどして町入口のシリア軍検問所を攻撃する一方、地元の武装集団が町内で蜂起し、マヒーン町は容易に陥落したという。

マヒーン町では、地元の武装集団とシリア軍が停戦(国民和解)に合意し、シリア軍が町の周辺に検問所を設けるかたちで包囲し、同地一帯の均衡は保たれていた。

マヒーン町制圧後、ダーイシュは、ダマスカス・アレッポ街道上のサダド市方面で攻勢を強め、サダド市周辺では、シリア軍と住民(キリスト教徒)などからなる国防隊がダーイシュと交戦、またシリア軍は同地一帯やタドムル市一帯を空爆した。

この戦闘で、ダーイシュはサダド市郊外のシリア軍拠点2カ所を制圧した。

また、クッルナー・シュラカー(11月1日付)によると、マヒーン町がダーイシュの手に落ちたことを受け、シリア軍は100回以上にわたり同地を空爆、これに対して、ダーイシュもサダド市に対して砲撃を加え、迫撃砲弾8発が着弾した。

一方、SANA(11月1日付)によると、シリア軍がタドムル市郊外の柑橘農園、フナイフィース村、ラスム・サブア村、ガズィーラ村でダーイシュ(イスラーム国)を空爆・攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、フール町とタッル・ハミース市間の地域で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のアラブ民主軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

また、クッルナー・シュラカー(11月2日付)によると、シリア民主軍はハサカ県カーミシュリー市内を軍事行進を行った。

一方、SANA(11月1日付)によると、シリア軍がタッル・マビード村とハサカ市を結ぶ街道でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、爆弾を積んだ車輌を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(11月1日付)によると、シリア軍がアレッポ市北東部のラフマーニーヤ村・タアーナ村間の街道でダーイシュ(イスラーム国)を要撃し、戦闘員数十人を殲滅した。

シリア軍はまた、航空士官学校一帯、シャイフ・アフマド村、マクバラ村、マフラサ村、ダクワーナ村などでダーイシュと交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)の通信部門アアマーク通信は、ダーイシュがシリア軍との戦闘の末、タアーナ村のタアーナ丘一帯を制圧したと発表した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月1日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市労働者住宅地区、マリーイーヤ村、ジャフラ村、ムーハサン市などでダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆・攻撃し、ダーイシュ・メンバー59人を殲滅した。

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スワイダー県では、SANA(11月1日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともにフルバト・グーサ村、ラシュダ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。


AFP, November 1, 2015、AP, November 1, 2015、ARA News, November 1, 2015、Champress, November 1, 2015、al-Hayat, November 2, 2015、Iraqi News, November 1, 2015、Kull-na Shuraka’, November 1, 2015、November 2, 2015、al-Mada Press, November 1, 2015、Naharnet, November 1, 2015、NNA, November 1, 2015、Reuters, November 1, 2015、SANA, November 1, 2015、UPI, November 1, 2015などをもとに作成。

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