2012年11月28日のシリア情勢

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(11月28日付)によると、ジャルマーナー市の二カ所で爆弾が仕掛けられた車2台が連続して爆発し、34人が死亡、80人以上が負傷した。

シリア人権監視団によると、死者は54人、負傷者は120人以上にのぼった。

連続爆弾テロが発生したのは市内のラウダ地区とカルヤート地区。

AFP(11月29日付)は、住民の話として、1台目の車は幹線道路で爆発し、住民が爆発現場に集まるなかで、2台目の車が反対車線で爆発した、と報じた。

しかし、クッルナー・シュラカー(11月28日付)は、ジャルマーナー市の複数の消息筋の話として、連続爆弾テロの直前に、現場近くに治安機関の軍用車が停車しており、乗っていた一団が実行犯で、政権支持者(ドゥルーズ派住民)による自作自演の可能性が高いと報じた(未確認情報)。

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

SANA, November 28, 2012

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同じくダマスカス郊外県では、SANA(11月28日付)によると、フジャイラ村でも、反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が誤爆し、戦闘員8人が死亡、13人が負傷した。

ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ブワイダ市、ザマルカー町、アルバイン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員など複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

一方、シリア軍筋によると、ダマスカス県の幅約8キロにわたって「防衛ライン」が確保され、反体制武装勢力の拠点を殲滅、少なくとも66人の戦闘員を殺害した。

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アレッポ県では、AFP(11月29日付)の記者が、ダーラ・イッザ地方で、反体制武装勢力が軍の戦闘機を撃墜したと報じた。

『ハヤート』(11月29日付)によると、撃墜されたのはMiG戦闘機かスホーイ戦闘機で、シャイフ・スライマーン防空大隊基地近くのタルマーニーン村から約1キロ離れた地点のオリーブ畑に墜落した。

AFPによると、撃墜したのは「ダーラ・イッザ自由人」を名乗る集団で、シリア人権監視団によると、撃墜には地対空ミサイルが使用されたという。

またAFP(11月28日付)は、複数の目撃者の証言として、パイロット2人はパラシュートで脱出、うち1人は反体制武装勢力に捕捉され、もう1人は行方不明だ、と報じた。

その後、ユーチューブ(11月28日付)で、パイロットだとされる血まみれの男性の遺体が搬送される映像がアップされた。だが『ハヤート』(11月29日付)によると、戦闘機にパイロットが何人搭乗していたのか、また映像の男性がパイロットなのかの事実確認はとれない、という。

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サーフール地区、マイダーン地区で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月28日付)によると、ムスリミーヤ村、ダーラ・イッザ市、カフルハムラ村、ミンタール村、アッザーン市、アンジャーラ村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、スルターニーヤ地方、ヒムス市ダイル・バアルバ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数が死傷した。

一方、SANA(11月28日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃するなどして、多数の戦闘員を殺傷した。

またハウラ地方などでは、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員の追撃を継続し、多数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

このほか、タッルカラフ市郊外では、レバノン領内からの潜入を試みる反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(11月29日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市南部で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、また同市などに対して空爆が行われた。

一方、SANA(11月28日付)によると、ファイルーン村、カフルルーヒーン村、ビンニシュ市、ビクファルーン村、クーリーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

またハーリム市、ジスル・シュグール市および郊外では、軍・治安部隊がイドリブ殉教者旅団を名乗る武装勢力や外国人戦闘員を追撃、戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(11月28日付)によると、ブスラー・シャーム市で爆弾が仕掛けられた車が自爆し、市民2人が死亡、7人が負傷した。

国内の動き

ジャルマーナー市での連続爆破テロの負傷者が搬送されたダマスカス県ムワーサー病院を訪れたムハンマド・ヤフヤー・マアッラー高等教育大臣は「テロ行為」と批判した。

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SANA(11月28日付)によると、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市では、連続爆破テロの発生を受け、市民数千人が犠牲者を悼む行進を行った。

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クッルナー・シュラカー(11月28日付)は、シリア・ポンドが闇レートで1ドル95ポンドまで急落した、と報じた。

公定レートでは1ドル71.28ポンドだという。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立はカイロで暫定政府設置に関する会合(29日までの予定)を開催した。

ジャズィーラ(11月28日付)によると、会合では、東京での「シリアの友連絡グループ」会合に合わせて、暫定政府首班の人選を行うことに力点が置かれた。

ロイター(11月28日付)によると、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相(ヨルダン在住)、アスアド・ムスタファー元農業大臣(クウェート在住)らが首班の候補者として名前があがっている、という。

しかし、『ハヤート』(11月29日付)によると、カイロでのシリア革命反体制勢力国民連立の会合では、定数63議席中27議席を占めるシリア国民評議会が議席の増加を冒頭に要求、出席者どうしの対立が表面化した。

シリア国民評議会のメンバー(匿名)によると、「この問題が解決するまで、事態の進展はない」という。

また会合出席者の一人は、「(連立は)、季節に合わせて混ぜたり、何かを加えたりするサラダじゃない。シリアの未来は危機に瀕している。ムスリム同胞団は、議席の半分を実質的に押さえているのに、さらに多くのタカ派を連立に送り込もうとしている」とシリア国民評議会の姿勢を批判した。

シリア革命反体制勢力国民連立メンバー以外の反体制活動家も多数、会合が開かれたホテルに現れたが、その多くはシリア・ムスリム同胞団のメンバーないしはそれに近い活動家だったという。

一方、別の出席者によると、「問題はムスリム同胞団をめぐる問題よりも大きい。我々は部族的な分配の思考を克服できるように思う。もっとも重要な問題、すなわち(暫定)政権の発足と国際社会の対応が若干延期されるだけだ」と述べ、事態収拾が可能だとの見方を示した。

また、別の参加者は「ほとんどの発言は、リヤード・サイフとムスタファー・サッバーグによって行われている。アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はほんの少し発言しただけだ」と述べた。

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クッルナー・シュラカー(11月29日付)によると、カイロでのシリア革命反体制勢力国民連立会合の招聘者・出席者は以下の通り

  • ジョルジュ・サブラー(シリア国民評議会)
  • アブドゥルバースィト・スィーダー(シリア国民評議会)
  • アブドゥルアハド・アスティーフー(シリア国民評議会)
  • ハーリド・サーリフ(シリア国民評議会)
  • ファールーク・タイフール(シリア国民評議会)
  • アフマド・ラマダーン(シリア国民評議会)
  • ヒシャーム・ムルーワ(シリア国民評議会)
  • ハーリド・ナースィル(シリア国民評議会)
  • サーリム・ムスラト(シリア国民評議会)
  • ルワイユ・サーフィー(シリア国民評議会)
  • サミール・ナッシャール(シリア国民評議会)
  • ハイサム・ラフマ(シリア国民評議会)
  • フサイン・サイイド(シリア国民評議会)
  • ジャマール・ワルド(シリア国民評議会)
  • ムハンマド・ヤフヤー・マクタビー(シリア国民評議会)
  • ワースィル・シャマーリー(シリア国民評議会)
  • ムナー・ムスタファー(シリア国民評議会)
  • マルワーン・ハッジュー(シリア国民評議会)
  • ナズィール・ハキーム(シリア国民評議会)
  • バドル・ジャームース(シリア国民評議会)
  • アフマド・サイイド・ユースフ(シリア国民評議会)
  • ハッサーン・ハーシミー(シリア国民評議会)
  • ムンズィル・マーフース(無所属、シリア国民評議会)
  • ブルハーン・ガルユーン(無所属、シリア国民評議会)
  • リヤード・サイフ(無所属、シリア国民評議会)
  • アフマド・アースィー・ジャルバー(シリア部族革命評議会、シリア国民評議会)
  • ムスタファー・サッバーク(シリア・ビジネスマン・フォーラム、シリア国民評議会)
  • フサイン・アブドゥッラー(トルクメン組織、シリア国民評議会)
  • ハーリド・ハウジャ(トルクメン組織、シリア国民評議会)
  • ナジーブ・ガドバーン(シリア国民評議会):欠席
  • ヤフヤー・ウカーブ(シリア国民民主ブロック、シリア国民評議会)
  • リーマー・フライハーン(スワイダー地元評議会)
  • ワリード・ブンニー(無所属)
  • カマール・ルブワーニー(無所属)
  • ハイサム・マーリフ(革命評議会)
  • サーディク・ジャラール・アズム(シリア作家連盟):欠席
  • タウフィーク・ドゥンヤー(無所属):欠席
  • アブドゥルカリーム・バッカール(無所属)
  • バッサーム・ユースフ(自由民主シリアのための「ともに」潮流)
  • タイスィール・ナッジャール(アラブ社会主義連合民主党)
  • ユースフ・アブダルキー(共産主義行動党):欠席
  • マルワーン・カーディリー(シリア・ウラマー連盟)
  • ズィヤーダ・ハサン(トルクメン組織)
  • スハイル・アタースィー(シリア革命総合委員会)
  • ジャービル・ズアイン(地元調整諸委員会)
  • ハーリス・ナッバハーン(市民権潮流)
  • ジャラールッディーン・ハーンジー(アレッポ地元評議会)
  • アドナーン・ラフムーン(イドリブ地元評議会)
  • ムハンマド・ムスタファー・ムハンマド(ハサカ地元評議会)
  • ムスタファー・ナウワーフ・アリー(ラッカ地元評議会)
  • ムーサー・ムハンマド・ハリール(クナイトラ・ゴラン地元評議会)
  • ズィヤード・ガッサーン・ライイス(ラタキア地元評議会)
  • サラーフッディーン・ハマウィー(ハマー地元評議会)
  • アブドゥルイラーフ・ファフド(ヒムス地元評議会)
  • ムハンマド・フサイン・カッダーフ(ダルアー地元評議会)
  • アフマド・ムアーッズ・ハディーブ(ダマスカス地元評議会)
  • リヤード・ハサン(ダイル・ザウル地元評議会)
  • ジャワード・アブー・ハトブ(ダマスカス郊外地元評議会)
  • ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド(タルトゥース地元評議会)
  • ハビーブ・イーサー(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • フサイン・アウダート(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • ハーリド・アブー・サラーフ(無所属):欠席
  • アーリフ・ダリーラ(民主的変革諸勢力国民調整委員会):欠席
  • アロー・サドルッディーン・バヤーヌーニー(シリア・ムスリム同胞団)
  • ヤフヤー・クルディー(無所属):欠席
  • ミシェル・キールー(シリア民主フォーラム):欠席
  • アブドゥー・フサームッディーン(政権離反者)
  • アブドゥルハキーム・バッシャール(シリア・クルド国民評議会):欠席
  • ムスタファー・ウースー(シリア・クルド国民評議会):欠席
  • アブドゥー・カッドゥー(シリア・クルド国民評議会):欠席

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国民行動グループのムハンマド・ヤースィーン・ナッジャールは『ハヤート』(11月29日付)に、女性メンバー不在だったシリア国民評議会現事務局に、ラファー・ムハンディス(国民行動グループ)、ムナー・ジュンディー(国民具ロック)、タグリード・ハジャリー(シリア自由人連合、ズィヤード・アブー・ハムダーンと交替)が選出されたことを明らかにした。

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アレッポ県北部で反体制武装闘争を続けるアフマド・ファッジュ准将は、AFP(11月28日付)に対して、アターリブ市郊外の第46中隊基地を制圧し、地対空ミサイルを奪取したと述べた。

レバノンの動き

ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)は、レバノン国内のシリア人避難民が急増した場合、避難民キャンプを設置する可能性を排除しない、と述べた。

しかし現在閣内では避難民キャンプについての議論はなされていない、という。

諸外国の動き

国連総会第3委員会は、反体制武装勢力・サラフィー主義者によるテロと、政府軍によるその掃討作戦の激化を受け、シリア政府による「深刻且つ体系的な人権侵害」を非難するとともに、「すべての当事者にあらゆる暴力の停止」を呼びかける決議を採択した。

決議案は、アサド政権と敵対する欧米諸国、湾岸アラブ諸国20カ国が提出し、122カ国が賛成した。

キューバ、北朝鮮など12カ国が反対、35カ国が棄権した。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は総会第3委員会で、欧米諸国などが提出したシリア非難決議に対して、武装テロ集団とこれらの集団を支援する国家を非難していないと述べ、決議がシリア国内での暴力の激化を助長することにつながると非難した。

そのうえで、シリア国民が、国連人権規約に反する人権問題を抱えるサウジアラビアやカタールといった国々の干渉を排除し、自らの手で公正と平等に基づく社会を建設することをめざしている、と訴えた。

SANA(11月28日付)が報じた。

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ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、ロシア紙(Аргументы и Факты)に対して、「いかなる状況であっても、ロシアを武力紛争に引き込むことを話題にする余地はない。タルトゥース港でのロシア海軍基地への技術的・物的支援は通常通り行われている…。軍事・技術分野で数年にわたる(シリアへの)支援は、何よりもまず、中東の安定を支援するためで、シリア国内のいかなる勢力をも支援することを目的としてない」と述べた。

AFP, November 28, 2012、Akhbār al-Sharq, November 28, 2012、Aljazeera.net, November 28, 2012、al-Ḥayāt, November 29, 2012、Kull-nā Shurakā’, November 28, 2012, November 29, 2012、al-Kurdīya
News, November 28, 2012、Naharnet, November 28, 2012、Reuters, November 28,
2012、SANA, November 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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