YPG主体のシリア民主軍はダーイシュの拠点都市マンビジュ市(アレッポ県)を完全包囲、シリア軍も同じくダーイシュの拠点タブカ軍事基地(ラッカ県)15キロの距離まで進軍(2016年6月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市マンビジュ市北西部に位置するガンドゥーラ村を制圧し、トルコと同市を結ぶ最後の高速道路を掌握、マンビジュ市を完全包囲した。

シリア人権監視団によると、この完全包囲により、マンビジュ市の住民数千人が孤立状態に置かれたという。

なお、SANA(6月10日付)は、ダーイシュがガンドゥーラ村退去時に住民40人近くを「虐殺」したと伝えた。

シリア民主軍はまた、ガンドゥーラ村に加えてマンビジュ市北西部の4カ村も制圧し、マンビジュ市2キロの距離まで接近した。

5月31日以降、シリア民主軍が制圧した村・農場は93にのぼり、戦闘でのダーイシュ側の死者数は160人、対するシリア民主軍は22人だという。

他方、ARA News(6月11日付)によると、反体制武装集団が県北西部のドゥーディヤーン村をダーイシュ(イスラーム国)から奪還した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、砂漠の鷹旅団などからなる民兵がタブカ南部郊外一帯でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続け、シリア軍がタブカ航空基地から15キロの地点にまで進軍した。

一方、SANA(6月10日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団の支援を受け、県西部のラサーファ村交差点、戦略トライアングル地帯、石油採掘機ステーション、タブカ電力発電所一帯を制圧した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダイル・ザウル航空基地に隣接するジャフラ村、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、ムーハサン市を空爆した。

一方、SANA(6月10日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、アイヤーシュ村、サルダ山一帯でダーイシュ(イスラーム国)拠点を攻撃した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がダーイシュ(イスラーム国)支配下のスフナ市を空爆した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍と思われる戦闘機が、ドゥマイル市入口でダーイシュ(イスラーム国)戦闘員を空爆し、多数が死亡した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がヤルムーク区の第15通り一帯に掘られた地下トンネルを爆破、破壊した。

ヌスラ戦線が掘削したとされるが、ダーイシュが掘削したトンネルを反体制武装集団が爆破したとの情報も流れている。

AFP, June 10, 2016、AP, June 10, 2016、ARA News, June 10, 2016、June 11, 2016、Champress, June 10, 2016、al-Hayat, June 11, 2016、June 12, 2016、Iraqi News, June 10, 2016、Kull-na Shuraka’, June 10, 2016、al-Mada Press, June 10, 2016、Naharnet, June 10, 2016、NNA, June 10, 2016、Reuters, June 10, 2016、SANA, June 10, 2016、UPI, June 10, 2016などをもとに作成。

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