シリア軍とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室がアレッポ市北部のカースティールー街道一帯の回廊をめぐって攻防戦を続ける(2016年7月4日)

アレッポ県では、SANA(7月4日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、アルド・マッラーフ地区郊外のマッラーフ農場一帯で反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室、シャームの民のヌスラ戦線)と交戦の末、同農場およびその南部の農場の一部、アレッポ市ライラムーン地区の複数の建物群を制圧した。

この戦闘でシリア軍は、ヌールッディーン・ザンキー運動の戦闘員多数を殲滅したという。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(7月4日付)は、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室がアレッポ市ハーリディーヤ地区、バニー・ザイド地区に進軍するシリア軍を撃退、シリア軍兵士35人が死亡したと伝えた。

また、シリア人権監視団によると、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室は、アレッポ市ハーリディーヤ地区一帯でシリア軍車輌を米国製のTOW対戦車ミサイルで攻撃、これを破壊したほか、アルド・マッラーフ地区、ハンダラート・キャンプ一帯での戦闘では、クドス旅団などに所属するパレスチナ人戦闘員9人が死亡したという。

さらに、ARA News(7月4日付)によると、ヌスラ戦線がライラムーン地区のシリア軍拠点に対して爆弾攻撃を行った。

SANAによると、反体制武装集団はさらに、アレッポ市ナイル通り地区、ナイヤール地区、アズィーズィーヤ地区を砲撃し、6人が負傷した。

『ハヤート』(7月5日付)によると、シリア軍および親政権のシリア人・外国人民兵によるアレッポ市北部一帯の攻撃は、同市東部の反体制武装集団支配地域と市外を結ぶ唯一の兵站路であるカースティールー街道一帯の閉塞を目的としたもの。

このほか、シリア人権監視団によると、シリア軍はハイヤーン町を「樽爆弾」で空爆、また戦闘機(所属明示せず)がダーラト・イッザ市を空爆した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がキンサッバー町およびその周辺を複数回にわたり空爆する一方、シリア軍と「ヤルムークの戦い」作戦司令室がトルクメン山一帯で戦闘を続け、「ヤルムークの戦い」作戦司令室は米国製のTOW対戦車ミサイルでシリア軍車輌を攻撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がズグバ村一帯で反体制武装集団を攻撃する一方、反体制武装集団はハマー航空基地一帯を攻撃した。

一方、SANA(7月4日付)によると、シリア軍がタッル・ダッラ村・ルマイラ村回廊一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ファトフ軍がフーア市、カファルヤー町を砲撃し、女性1人が負傷した。

また、SANA(7月4日付)によると、反体制武装集団がフーア市を砲撃し、女性1人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍はジスリーン町を砲撃する一方、同町一帯の農場地帯、マイダアー町でジハード主義武装集団と交戦した。

この戦闘で、シリア軍はマイダアー一帯の複数カ所を制圧した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、7月2日に4件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は749件。


AFP, July 4, 2016、AP, July 4, 2016、ARA News, July 4, 2016、Champress, July 4, 2016、al-Durar al-Shamiya, July 4, 2016、al-Hayat, July 5, 2016、Iraqi News, July 4, 2016、Kull-na Shuraka’, July 4, 2016、al-Mada Press, July 4, 2016、Naharnet, July 4, 2016、NNA, July 4, 2016、Reuters, July 4, 2016、SANA, July 4, 2016、UPI, July 4, 2016などをもとに作成。

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