トルコ軍の全面支援を受けて、YPG主体のシリア民主軍、ダーイシュと戦う反体制武装集団どうしがアレッポ県北部の戦略的要衝アアザーズ市で交戦(2016年11月14日)

アレッポ県では、『ハヤート』(11月15日付)、クッルナー・シュラカー(11月14日付)などによると、シャーム・ファトフ戦線を含む反体制武装集団の戦略拠点である県北部のアアザーズ市に、所属組織であるシャーム自由人イスラーム運動などからなる武装集団が進攻し、シャーム戦線と交戦、同戦線の拠点のほとんどを制圧、司令官らを拘束した。

ドゥラル・シャーミーヤ(11月14日付)によると、市内では、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム覚醒大隊、ヌールッディーン・ザンキー運動、北部軍が早朝、数時間にわたってシャーム戦線と激しく交戦したという。

また、クッルナー・シュラカー(11月14日付)によると、この戦闘を受け、市内では住民数十人が街頭デモを行い、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団に退去を求めたという。

Kull-na Shuraka', November 14, 2016

Kull-na Shuraka’, November 14, 2016

この攻撃に関して、シャーム戦線報道官を務めるムハンマド・アフマド大佐はビデオ声明を出し、シャーム自由人イスラーム運動などからなる武装集団がアアザール市内のシャーム戦線拠点複数カ所を襲撃したと非難し、「事態に対して沈黙することはない」と報復を予告した。

声明によると、シャーム戦線を主導するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動および複数の組織は、「アアザーズ市内の検問所をシャーム戦線に引き渡すとしたアアザーズ法廷の裁定が彼ら(シャーム自由人イスラーム運動)の野望に合致しなかった」との理由で攻撃に及んだと指摘、攻撃を「敗北者ども(ダーイシュ(イスラーム国)のこと)の罪」に匹敵すると非難した。

Kull-na Shuraka', November 14, 2016

Kull-na Shuraka’, November 14, 2016

Kull-na Shuraka', November 14, 2016

Kull-na Shuraka’, November 14, 2016

また、複数の武装集団が「自由シリア軍」の名で声明を出し、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団を排除を目的とした「虐げられし者の救済」作戦を開始したと発表した。

Kull-na Shuraka', November 14, 2016

Kull-na Shuraka’, November 14, 2016

なお、クッルナー・シュラカー(11月14日付)は、複数の消息筋の話として、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団は、シャーム戦線が西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に忠誠を誓ったと疑い、攻撃に及んだと伝えた。

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シャーム戦線は、トルコ軍の支援を受けて「ユーフラテスの盾」作戦を遂行する反体制武装集団の一つ。

2015年2月に結成され、「命じられるままに進め」連合、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動(その後ヌスラ戦線と統合)、シャームの鷹旅団、アサーラ・ワ・タンミヤ運動、ハズム運動、第10歩兵師団(第21軍連合)、ジュンド・イスラーム旅団が参加している。

トルコ軍の全面支援を受け、アレッポ県北部からダーイシュ(イスラーム国)とシリア民主軍の排除を目的とした「ユーフラテスの盾」作戦を遂行するハワール・キリス作戦司令室は、シャーム戦線所属組織によって主導されている。

AFP, November 14, 2016、AP, November 14, 2016、ARA News, November 14, 2016、Champress, November 14, 2016、al-Durar al-Shamiya, November 14, 2016、al-Hayat, November 15, 2016、Iraqi News, November 14, 2016、Kull-na Shuraka’, November 14, 2016、al-Mada Press, November 14, 2016、Naharnet, November 14, 2016、NNA, November 14, 2016、Reuters, November 14, 2016、SANA, November 14, 2016、UPI, November 14, 2016などをもとに作成。

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