アサド大統領はポルトガルのRTP TVのインタビューに応じた。
インタビューは英語で行われ、大統領府がユーチューブを通じて映像(https://youtu.be/BPHqoYPYgCM)を公開、SANAが全文(http://sana.sy/en/?p=93484)とアラビア語全訳を(http://www.sana.sy/?p=463471)掲載した。
インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
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「いわゆるアレッポ市東部は3年にわたってテロリストに占領されている。彼らは民間人を人間の盾として利用している。我々政府には二つのミッションがある。第1にこれらのテロリストと戦い、この地域と住民を解放すること。同時に、この地域からテロリストを退去させるための解決策、つまり和解策…を見つけ出すこと…。もう一つは、この地域から民間人避難、そして人道支援のための門戸を確保すること…。しかしテロリストはあらゆる解決策を拒否している」。
「我々はこの手のテロに1950年代から取り組んできた。ムスリム同胞団がシリアに表れた当時から、我々は十分な教訓を得てきた…。テロリストは政治のカードとしては利用できないということをだ…。だからジハード主義者を利用することは、自分で自分の足を撃つのに等しい」。
「テロリストがシリア国内の複数の地域を掌握し始めて以降、大多数のシリア市民はこうした地域を離れて、シリア政府支配地域に非難してきた。逆の流れは起きていない。大多数のシリア人がシリア政府を信用していないとしたら、別の方に動くはずだ」。
「戦争に勝つと言えるのは、シリア国内で安定を回復したときだけだ…。軍はテロリストに対して順調な戦果を挙げている。もちろん、彼らは依然としてトルコ、カタール、サウジアラビア、そして米国など一部の西側諸国の支援を受けている。しかし、我々にとっての唯一の選択肢とは勝つことだ。勝たなければ、テロリストが勝つことになり、シリアは存在しなくなってしまう」。
「我々が今直面している状況は、シリア国内での二三のテロリストに関わる問題ではない。それはシリアに対する国際的な戦争のようなものだ。テロリストは数十カ国から支援を受けている。それゆえ、シリアは友人(ヒズブッラー、イラン、ロシア)の支援なくしてこの手の戦争に対峙できない」。
「(シリアの未来を自由に決することができるのか、ヴラジミール・プーチン大統領の戦略に従っているのではないか、との問いに対して)我々は完全に自由だ。とりわけシリアの未来に関するあらゆることに関して自由に決めることができる…。ロシアの政策は価値観に基づいており、その価値観とは、他国の主権、国際法、他国の国民や文化を尊重するというものだ」。
「民主主義、自由といった価値のために戦うことができるのは、当該国・社会の人々であって、外国人ではない。外国人は自由、民主主義をもたらすことなどできない。なぜなら、それは文化…にかかわる問題だからだ」。
「我々は民主主義の途上にある。我々は自分たちが完全に民主的だなどと言ったことはない…。我々は前身しているのだ…。しかし我々にとってふさわしい基準、ないしはパラダイムは西側のパラダイムではない。なぜなら西側には西側の文化があるからだ。我々には我々の文化、現実がある。我々の民主主義は我々の文化、習慣、慣習、現実を反映したものであるべきなのだ」。
「(シリアの和平)は彼(国連次期事務総長のアントニオ・グテレス氏)の優先事項であるとともに、我々の優先事項でもある。これは自明のことだ。それは中東の優先事項でもあり、中東が安定すれば、世界中が安定する。なぜなら中東は地理的、地政学的に世界の中心をなしているからだ。そしてシリアは地理的、地政学的に中東の中心をなしている…。シリアの和平は、これらの国々(カタール、トルコ、ロシア、米国、イラン、サウジアラビア)を…一つの方向に向けなければ、難しい。だから、私はいつもシリアの問題はシリア国内の問題であれば複雑ではないと言ってきたのだ。問題を複雑にしているのは外部からの干渉、とりわけ、シリア政府の意思に反している西側の干渉だ」。
「彼(トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領)は病気だ。誇大妄想狂の大統領だ…シリアにやってくるテロリストはみな、エルドアンの支援を受けてトルコから入ってきている。テロリストと戦うことは、エルドアンの軍、トルコ軍ではなくエルドアンの軍と戦うようなものだ」。
「(ドナルド・トランプ氏の米大統領への選出に関して)私はあまり期待していない。なぜなら米政権とは大統領だけではないからだ。政権内には様々な勢力がおり、さまざまなロビーが大統領に影響を与える。だから、我々は彼がミッションを開始するまで、静観しなければならない…。しかし、我々はいつも、米国がバイアスのない国になり、国際法を尊重し、外国に干渉せず、シリアのテロリストを支援しなければと願っている」。
「もちろん、私はこれ(ダーイシュ(イスラーム国)との戦いでの米国との協力)は見込みがあることだと言いたい。しかし彼(トランプ氏)は実行できるだろうか。彼に異論を唱える政権内の反体制勢力や大手メディアはどう動くのか。彼はこうした動きにどう対処するのか。彼が約束を守るかどうか依然として半信半疑なのはそのためだ。彼について判断を下すのに慎重なのはそのためだ…。しかし、もし彼がテロリストと戦うのであれば、もちろん我々は同盟者となるだろう。(彼は)ロシア、イラン、そしてテロリストを打ち負かそうとしているその他の国々にとっての本質的な同盟者になるだろう…。米国が真剣で、その意思、そして能力があるのなら、我々は「テロとの戦い」で米国と協力する」。
「協力と言う場合、それは二つの合法的な政府の協力を意味するのであって、外国政府とシリア国内のいかなる派閥との関係をも意味していない。シリア政府を経由しないいかなる協力も違法だ」。
「私は(シリアでの混乱に関する)いかなる責任も拒否しない。しかしそれは決定の内容次第だ…。大統領が市民を殺すことを命令するだろうか。破壊を命令するだろうか。テロリストを支援するよう命令するだろうか。当然しない。私が下す決定というのは…当初から、対話を行い、テロリストと戦い、改革を実行する、というものだった…。政策に関わる責任と実践に関わる責任は別ものだ。実践においては、過ちはある。国家や大統領について話す場合、常に決定と政策について論じなければならないのだ」。
AFP, November 16, 2016、AP, November 16, 2016、ARA News, November 16, 2016、Champress, November 16, 2016、al-Hayat, November 17, 2016、Iraqi News, November 16, 2016、Kull-na Shuraka’, November 16, 2016、al-Mada Press, November 16, 2016、Naharnet, November 16, 2016、NNA, November 16, 2016、Reuters, November 16, 2016、SANA, November 15, 2016、UPI, November 16, 2016などをもとに作成。
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