AFP(3月2日付)は、シリア文化省考古学当局者の話として、ダーイシュ(イスラーム国)によって破壊されたヒムス県タドムル市にあるUNESCO世界文化遺産パルミラ遺跡群から救出された貴重な胸像2体がイタリアで念入りな修復を終え、2月28日、シリアに戻されたと伝えた。
ダーイシュは、2015年5月にタドムル市一帯を制圧したのち、市内の遺跡や神殿を組織的に破壊するとともに、多数の考古学上の貴重な遺物を略奪。
シリア政府軍が奪還したこの1組の男女の胸像は紀元2~3世紀のもので、ハンマーでたたかれたとみられるひどい損傷を負っていたが、盗まれることなくパルミラから回収された文化遺産はこの2体だけとみられている。
AFPの取材に対して、シリア文化財博物館総局のマアムーン・アブドゥルカリーム総局長は「これは過激主義や蛮行に対抗するため、異なる国の人々が協調することを阻まない文化外交の一つだ…最後には、シリアの遺産は人類の遺産になる」と話したという。
AFP, March 2, 2017、AP, March 2, 2017、ARA News, March 2, 2017、Champress, March 2, 2017、al-Hayat, March 3, 2017、Iraqi News, March 2, 2017、Kull-na Shuraka’, March 2, 2017、al-Mada Press, March 2, 2017、Naharnet, March 2, 2017、NNA, March 2, 2017、Reuters, March 2, 2017、SANA, March 2, 2017、UPI, March 2, 2017などをもとに作成。
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