シリア政府と反体制派の協議がないまま「ジュネーブ5会議」は閉幕(2017年3月31日)

スイスのジュネーブで開催されていたシリア政府と反体制派各派の和平協議「ジュネーブ5会議」(ジュネーブ4会議第2ラウンド)が閉幕した。

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シリア政府代表団のバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は記者会見を開き、シリア政府側がスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表に提示した文書に対して、反体制派各代表から何の対応も得ることなく、協議を終了したと発表した。

SANA, March 31, 2017

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一方、反体制派の代表団の一つ、最高交渉委員会の代表団を率いるナスル・ハリーリー氏は記者会見で、「アサドは戦争犯罪者で、和平の名のもと排除されるべき」としたうえで、シリア政府側が「テロとの戦い」以外の議題を協議することを拒否したと批判した。

また、最高交渉委員会の代表団に参加するファラフ・アタースィー氏は、ジュネーブで記者団に対して、「米国はロシアに圧力をかけるとともに、シリアの反体制派を、ダーイシュ(イスラーム国)だけでなく、イランが支援するヒズブッラーやイラン・イスラーム革命防衛隊といった武装勢力に対する「テロとの戦い」を行ううえでのパートナーとみなすべきだ」と述べた。

アタースィー氏によると、最高交渉委員会代表団は30日にジュネーブでマイケル・ラトニー米国務省シリア問題担当特使と会談し、良い感触を得えていたが、その後31日に、トルコ訪問中のレックス・ティラーソン国務長官が行った発言(アサド大統領の処遇はシリア国民が決するだろう)や、ニッキー・ヘイリー米国連大使の発言(シリアにおける米国の最優先課題はもはやアサド大統領の退陣ではない)に関して「米政権からこのような矛盾したメッセージを耳にして遺憾だ」と非難した。

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シリア・クルド国民評議会(アブドゥルハキーム・バッシャール代表)は声明を出し、最高交渉委員会が、クルド人民の権利支援を、2016年9月にロンドンで発表された政治文書のなかに新たに盛り込むことに同意しなかったとして、同委員会への参加を中止すると発表した。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月31日付)が伝えた。

AFP, March 31, 2017、AP, March 31, 2017、ARA News, March 31, 2017、Champress, March 31, 2017、al-Durar al-Shamiya, March 31, 2017、al-Hayat, April 1, 2017、Iraqi News, March 31, 2017、Kull-na Shuraka’, March 31, 2017、al-Mada Press, March 31, 2017、Naharnet, March 31, 2017、NNA, March 31, 2017、Reuters, March 31, 2017、SANA, March 31, 2017、UPI, March 31, 2017などをもとに作成。

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