ロシアはシリア政府による化学兵器使用を非難する米英仏の国連安保理決議案に拒否権発動(2017年4月12日)

国連安保理で、イドリブ県ハーン・シャイフーン市での化学兵器使用に関する会合が開かれ、米英仏はシリア政府による使用を非難する決議案を提出した。

決議案は、前回会合でロシア側が提出した対案に沿ったかたちで文言が修正されていたが、採決では、米国、英国、フランス、スウェーデン、イタリア、日本、セネガル、エジプトが賛成票を投じたのに対して、ロシアとボリビアが反対、中国、カザフスタン、エチオピアが棄権、ロシアの拒否権発動で廃案となった。

決議案に拒否権を発動した理由に関して、ロシアのヴラジーミル・サフロンコフ国連次席大使は、モスクワでのレックス・ティラーソン米国務長官との会談で、セルゲイ・ラブロフ外務大臣が化学兵器禁止機関にハーン・シャイフーン市での化学兵器使用を調査するための国連との合同調査団の設置を求める共同声明を出すことを準備し、この案に対する米国からの回答を待っているためだとしたうえで、米英仏による決議案を「こうした状況を踏まえると、今日採決を行っても無駄になる」と述べた。

一方、採決に先立って、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、シリア人が武装テロ集団の第1の被害者であると強調、「西側諸国のずるがしこい政策に基づくいかなる決議案に対して我々は異議を唱える」と述べた。

SANA(4月12日付)が伝えた。

SANA, April 12, 2017

AFP, April 12, 2017、AP, April 12, 2017、ARA News, April 12, 2017、Champress, April 12, 2017、al-Hayat, April 13, 2017、Iraqi News, April 12, 2017、Kull-na Shuraka’, April 12, 2017、al-Mada Press, April 12, 2017、Naharnet, April 12, 2017、NNA, April 12, 2017、Reuters, April 12, 2017、SANA, April 12, 2017、UPI, April 12, 2017などをもとに作成。

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