SANA(4月12日付)によると、カタール政府の仲介によりシャーム解放機構主導のファトフ軍とイラン・イスラーム革命防衛隊・ヒズブッラーが交わした停戦合意に基づき、ファトフ軍包囲下のイドリブ県フーア市およびカファルヤー町の住民の避難が開始された。
住民は、シリア政府が用意した車輌で、シリア軍によって2016年12月に奪還されたアレッポ市方面に向うという。
ドゥラル・シャーミーヤ(4月12日付)によると、第1陣では、フーア市、カファルヤー町から8,000人が退去を予定しているという。
また、これと並行して、ファトフ軍は、拘束していた女性8人、子供4人の合わせて12人と遺体8体をシリア政府側に引き渡した。
クッルナー・シュラカー(4月12日付)によると、ファトフ軍はまた、シリア赤新月社の仲介のもと、戦闘員の遺体7体をシリア政府側から引き取り、親政権民兵の捕虜19人を釈放したという(ドゥラル・シャーミーヤ(4月12日付)によると、ファトフ軍が釈放・引き渡しに応じたのはヒズブッラーおよび国防隊隊員13人、イラン人士官1人を含む遺体8体)。
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これに関して、ヒズブッラーの戦争広報局は、ファトフ軍側から前線司令官のジャミール・ファキーフ氏の遺体を引き取ったと発表した。
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一方、クッルナー・シュラカー(4月12日付)によると、ダマスカス郊外県マダーヤー町とザバダーニー市で籠城を続ける反体制武装集団戦闘員とその家族の退去に向け、シリア政府が用意した旅客バスが、シリア赤新月社の車輌とともに同地に入った。
退去希望者は約3,000人おり、第1陣となる今回の退去では、約350人がイドリブ県方面に移送される予定だという。
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合意は3月28日に交わされ、①4月4日までにイドリブ県フーア市、カファルヤー町の住民避難を完了する、②4月6日にダマスカス郊外県マダーヤー町、ザバダーニー市、ブルーダーン村で籠城を続ける戦闘員が希望する場所に退去する、③シリア治安当局が拘束中の逮捕者1,500人(その多くが女性)を釈放する、④以上が完了したのちに、イドリブ県のイドリブ市、マアッラト・ミスリーン市、タフタナーズ市、ラーム・ハムダーン村、イドリブ県北部一帯、ダマスカス郊外県のバービッラー市、バイト・サフム市、ヤルダー市で9カ月間の停戦を発効する、ことを骨子とする。
AFP, April 12, 2017、AP, April 12, 2017、ARA News, April 12, 2017、Champress, April 12, 2017、al-Durar al-Shamiya, April 12, 2017、al-Hayat, April 13, 2017、Iraqi News, April 12, 2017、Kull-na Shuraka’, April 12, 2017、al-Mada Press, April 12, 2017、Naharnet, April 12, 2017、NNA, April 12, 2017、Reuters, April 12, 2017、SANA, April 12, 2017、UPI, April 12, 2017などをもとに作成。
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