EUはシリアの石油輸入禁止措置の発動日付を正式に発表、米国務長官は新生リビア支援国際会議でアサド政権へのさらなる圧力を呼びかける(2011年9月2日)

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反体制運動をめぐる動き

ラマダーン明け最初の金曜日にあたる9月2日、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、ダマスカス郊外県、イドリブ県、ダイル・ザウル県などで反体制デモが午後の礼拝後に再び発生し、軍・治安部隊が実弾を用いて排除を試み、20人以上が殺害、数十人が負傷。

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン、カフルバトナー、ドゥーマー、ハムーリーヤで治安部隊の発砲により8人が殺害された。反体制デモは、ハジャル・モスクとマグリビー・モスクなどの屋根で狙撃兵が待ち構えていたにもかかわらず敢行されたという。

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、3人がヒムス市で殺害され、うち2人が早朝に殺害された。またタルビーサ市では3人が殺害された。また夜間にも、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区では外出する市民などに激しい発砲が繰り返され、タルビーサ市でも無差別発砲が行われた。40,000人以上がデモを行ったヒムス市ワアル地区、ハーリディーヤ地区のハムラー地区通り、グータ通りには狙撃兵が展開した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、3人がダイル・ザウル市で殺害された。

ハマー県では、カフルズィーター市でデモが発生し、「死、不屈」と参加者が連行するビデオがネットで配信された。

イドリブ県では、カフルナブル市でデモが発生した。

これに対して、SANAなどシリア公式筋は、ダマスカス郊外県のハムーリーヤ、アルバイン、ヒムス県のタルビーサで「武装テロ集団」が治安維持部隊を襲撃し、3人が殉職し、イドリブ県のハーン・シャイフーン市では警察官が誘拐されたと報道した。

一方、シリア・アラブ・テレビは、「内務省は国民に以下なる理由であれ空砲発射、花火、クラッカーなどを行わないよう呼びかける」と報じた。これは軍・治安部隊が市民に対する発砲を、「武装テロ集団の襲撃と誤って行った」という口実を近い将来発表する際の伏線になると見られる。

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ダマスカス医師調整委員会は、9月4日からダマスカス県内にある主要な病院、具体的には国立病院(アサド国立病院)、大学病院(ムワーサー病院)、ムジュタヒド病院、ダマスカス・イブン・ナフィース病院)で政治犯の釈放を求めるためのストライキを呼びかける。

アサド政権の動き

ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー氏はダマスカスのウマイヤ・モスクでの説教で、暫定評議会発足をめざすブルハーン・ガルユーン氏を批判、「7月4日、イスラエルのモサドと米国CIAが、とある国に集まった。その国の名前を私は言いたくないが、この会合での議論は、シリアの将来の行方に関して、どのような活動を行うべきかというものだった。会談ではまず、イスラエルの安全保障を守り…、いわゆるシリア革命暫定評議会を設立し、この評議会の議長にブルハーン・ガルユーンを選ぶことで合意した。そしてこれが実行され、数日前に評議会が設立され、ガルユーンが議長になった」と述べ、ガルユーン氏を米国・イスラエルの手先と評した。説教はhttp://www.naseemalsham.com/ar/Pages.php?page=readSpeech&pg_id=21205&bk_id=42を参照。

諸外国の動き

EUはシリアの石油輸入禁止措置を9月3日付で発動すると正式に発表するとともに、シリア政府高官4人と3機関を制裁リストに追加し、資産凍結とビザ発給を禁止した。

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パリで開かれている新生リビア支援国際会議に参加中のヒラリー・クリントン米国務長官は、「シリアでの暴力は停止されねばならず、(アサド大統領は)されねばならない…。シリアの民主制への移行はすでに始まっている。アサド大統領はそのことを認め、シリア国民自身が将来を決定できるよう去るときがきた」と述べたうえで、アサド政権へのさらなる圧力を国際社会に呼びかけた。

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アラン・ジュペ仏外相は駐フランス大使年次大会で、国連安保理でのアサド政権に対する制裁と民間人への暴力停止のための決議採択をめざして圧力をかけ続けると確認するとともに、シリアの反体制勢力との接触を進めると述べた。

複数の外交筋によると、西側諸国とロシアは「妥協的」な安保理決議採択でコンセンサスに達しており、採決に向けた「青信号」が出ている、という。

また国連安保理では、米国、西側4カ国(英仏独、ポルトガル)、インド、ブラジル、南アフリカの代表が、シリア情勢をめぐる安保理の対応に関する「ビジョンのすり合わせ」を行うための会合を開くという。これに先立ち9月1日には、安保理メンバー15カ国の専門家が、8月29日に引き続き、ニューヨークにある英国連代表部で決議案の内容に関する折衝を行った。

複数の外交筋によると、「妥協的」決議は、「西側が求める武器禁輸制裁とロシアが求める政治プロセスの間に落ち着くだろう」という。

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フランスの石油会社トータルは、EUの石油輸入制裁に従い、シリアからの石油購入を停止するが、シリア国内での石油採掘は継続すると発表。

AFP, September 2, 2011、Akhbar al-Sharq, September 2, 2011、al-Hayat, September 3, 2011、Kull-na Shuraka’, September 2, 2011, September 3, 2011、Reuters,
September 2, 2011、SANA, September 3, 2011、Zaman al-Waṣl, September 3, 2011などをもとに作成。

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