各地でデモが続くなかハマー県検事総長が武装テロ集団によって誘拐されたことが発表される、しかし本人はすぐさま声明を出しこれを否定(2011年9月1日)

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ハマー県検事総長誘拐・辞任の真偽

シリア当局は、ハマー県のアドナーン・バックール検事総長が、8月29日に武装テロ集団によって誘拐されたのち、脅迫を受け、弾圧に抗議して辞任を発表することを余儀なくされたとビデオで発表した。

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またSANAはアナス・ナーイム・ハマー県知事の以下のようなコメントを報じた。「バックール検事総長は、誘拐犯に偽の情報を発表するよう強要された。複数の衛星チャンネルは、メディアでの反シリア・キャンペーンの一環として、ハマーの市民が粛正されているというこの情報を発信した。つまり、これらのチャンネルはシリアの無実の市民に対する武装テロ集団の犯罪の共犯者になったということだ」。

31日晩にバックール検事総長が辞任を発表するビデオを放映していたジャズィーラなどのメディアはこの発表を偽報道だと断じている。

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しかし、アドナーン・バックール検事総長はYoutubeで声明を発表し、自身が「武装テロ集団に誘拐されたとのシリア・アラブ・テレビの報道が根拠がない。私は革命運動家の家族たちによって保護されている」と発表した。(資料映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=MMj1sxKDn8gを参照)。

http://www.youtube.com/watch?v=MMj1sxKDn8g

反体制活動をめぐる動き

各地でシリアの治安部隊によるデモ参加者・市民の追跡・逮捕と反体制デモの応酬は続いた。

ハマー県では、シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー会長やシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ハマー市の軍・治安部隊とシャッビーハによるデモ参加者の捜索が8月31日から続いた。1日現在、サーブーニーヤ地区、マラービト地区で集中的に捜索が行われており、その前日には他の地区で数十人が逮捕されたという。

「ハイダル」を名乗る地元の活動家はロイター通信に対して、特定の活動家の家宅捜索・逮捕を行っていた前日(31日)とは対象的に、ハマー市では無差別逮捕が行われた。

シリア人権連盟のリーハーウィー会長によると同市では水曜日の晩以降、デモが行われた。

またシリア人権監視団によると、サラミーヤ市で反体制活動家のハサン・ザフラ氏が治安当局に身柄拘束された。ザフラ氏(67歳)は共産主義行動党メンバーの元政治犯で、この数ヶ月間で数度にわたりデモを指導した容疑で身柄拘束されていた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のナーズィヒーン地区に軍・治安部隊が早朝、突入し、1人を殺害。また市内のバーブ・スィバーア地区などで銃声が聞こえた。シリア人権連盟のリーハーウィー会長らによると、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、クスール地区、ハムラー地区、グータ地区、バーブ・ドゥライブ地区、バーブ・スィバーア地区では昨日に引き続き大規模な反体制デモが続けられた。

イドリブ県では、シリア人権監視団やシリア人権連盟によると、ザーウィヤ山に近いラーマ村に軍・治安部隊が突入し、1人が死亡、5人が負傷。サルミーン市でも軍・治安部隊が突入し、13人を逮捕。同県各地でも水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、水曜日(8月31日)晩のダイル・ザウル市の弾圧で重傷を負った10歳の少年が死亡した。またシリア人権連盟のリーハーウィー会長によると同市では水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市で軍・治安部隊が6人を逮捕された。ドゥーマー市は連絡が途絶えた。シリア人権連盟のリーハーウィー会長によると数十人がザバダーニー市、カーブーン区で水曜の晩までに逮捕された。またダマスカス県マイダーン地区、バルザ区、ハラスター、サクバー、ハムーリーヤ、ドゥーマー、キスワ、ドゥマイル、ザバダーニー、カダム、カーブーンでは水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダルアー県では、ダルアー市で女性数百人が喪服を着て、アサド政権打倒を求める行進を行った。またシリア人権連盟のリーハーウィー会長によると、ジーザ町で多数逮捕された。同県では水曜日の晩以降、デモが続けられた。

このほか、ハサカ県カーミシュリー市、ラタキア県などでもデモは続き、軍・治安部隊による捜索・逮捕活動が続いた。

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反体制活動家はフェイスブックで「死と不屈の金曜日」のデモを呼びかける。

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クルド人活動家のムハンマド・サイダー氏(準備委員会メンバー)が声明を発表し、オランダのストックホルムでクルド人活動家が大会を主催。シリアの抗議運動におけるクルド人の役割を強化することが目的。大会は2日の予定。

アサド政権の動き

『バアス』(9月1日付)は、バッシャール・アサド大統領の包括的改革プログラムに基づき、国民対話大会が9月5日から20日の予定で各県・大学で行われ、具体的な開催日程は各県の準備委員会が決し、最終的には中央国民対話大会がそこでの審議内容が総括される、と報じた。

各県・大学での国民対話大会では、(1)政治生活、望ましい政治改革、(2)経済・社会:現状、将来の展望、達成されるべき科学的・現実的計画、(3)福祉、開発、行政の改革に向けた県のニーズと地元の見解、という三つの議題を審議するという。

諸外国の動き

IAEAは、シリアが各活動に関する国連調査への迅速な協力の約束を取り下げたと発表した。しかし10月までにさらなる情報を開示ができず、また2007年にイスラエル戦闘機が空爆した核施設に関連する複数の使節へのIAEA査察団の訪問が許されない理由は明らかにしなかった。

複数の外交筋がAPに語ったところによると、こうしたアサド政権の姿勢は、シリアが核兵器への転用可能なウラン生産の秘密計画の第一段階に入ったとの懸念を強めるという。天野之弥IAEA事務局長は12日に予定されている国連安保理会合で、シリアの非協力によって調査ができない旨報告するという。

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アラン・ジュペ仏外務大臣は、「シリア政府が行う弾圧は受け入れられない」「フランスはEUとともに、国連安保理の枠内で体制に制裁を科すべく集中的に活動してきたが、中国、ロシアがこの努力を妨害しているために事態は進展しない」と述べた。

AP, September 1, 2011、AFP, September 1, 2011、al-Ba‘th, September 1, 2011、al-Hayat, September 2, 2011、Kull-na Shuraka’, September 1, 2011、Reuters, September
1, 2011、SANA, September 2, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 2, 2011などをもとに作成。

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