イスラーム軍とシリア政府の停戦交渉が再開、イスラーム軍は48時間以内にドゥーマー市から戦闘員を退去させることに応じる(2018年4月8日)

ダマスカス郊外県では、SANA(4月8日付)によると、東グータ地方ドゥーマー市でシリア政府とイスラーム軍が、後者の戦闘員と家族を48時間以内に、トルコの実質占領下にあるアレッポ県ジャラーブルス市方面に退去させることで改めて合意に達した。

合意はイスラーム軍による交渉再開の要請を受けたもので、シリア政府は交渉再開の条件として、イスラーム軍による砲撃停止を求めていた。

合意を受けて、ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプに開設されている人道回廊を経由して大型バス数十台がドゥーマー市に入った。

SANA, April 8, 2018

交渉ではまた、イスラーム軍によって拉致されている捕虜・人質の解放が合意され、捕虜40人が東グータ地方ドゥーマー市からシリア政府支配地域に移送された。

SANA, April 8, 2018

イスラーム軍の戦闘員と家族の退去は、5日にイスラーム軍の一部メンバーが退去を妨害したことで中断、6日からイスラーム軍とシリア軍の戦闘が再開していた。

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ドゥラル・シャーミーヤ(4月8日付)によると、ロシアとともにシリア政府とイスラーム軍の交渉を仲介してきたドゥーマー市の「文民委員会」は声明を出し、ロシアと停戦に向けた交渉を再開し、「最終合意に向け、発砲を停止し交渉を再開するとの合意がなされた」と発表した。

ドゥーマー市の文民委員会はその後、テレグラムを通じて声明を出し、イスラーム軍の戦闘員と家族、そして退去を希望する市民をシリア北部に移送することでロシアと最終合意に達したと発表した。

この最終合意ではまた、①シリア軍・治安部隊ではなくロシア軍憲兵隊のドゥーマー市に展開させること、②ダマスカス郊外県が委員会を設置・派遣し、地元の文民委員会との連携のもとに住民の免罪に関わる問題に対処すること、③免罪となった大学生を復学させること、が定められたという。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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