シリア軍がダルアー県東部のフラーク市などを制圧する一方、ウンム・ワラド村などの武装集団がシリア軍の進駐と武器引き渡しに応じる(2018年6月29日)

ダルアー県では、SANA(6月29日付)によると、シリア軍が県東部でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘を続け、フラーク市、ラハム村、スーラ町、アルマー町、西ムライハ村、東ムライハ村、第49防空大隊基地(ダルアー市・ダマスカス県を結ぶ街道沿い)を制圧し、地雷爆発物の撤去作業を行った。

また、ウンム・ワラド村、ジュビーブ村、タイバ町、ウンム・マヤーズィン町、ナスィーブ村で活動を続けてきた反体制武装集団が、同地へのシリア軍の進駐と武器の引き渡しに応じた。

『ハヤート』(6月30日付)によると、これを受けて、シリア軍とロシア軍憲兵隊が同地に進駐した。

https://youtu.be/k0iVVrkBZc0

SA NA, June 29, 2018

一方、SANAによると、反体制武装集団を主導するシャーム解放機構はダルアー市の住宅街を砲撃し、市民3人が負傷した。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(6月29日付)は、ダルアー市で、南部中央作戦司令室がマンシヤ地区でシリア軍および親政権民兵と交戦したと伝えた。

syria.liveuamap.com, June 29, 2018

なお、ハウラーン連合のアブー・マフムード・ハウラーニー報道官は、ドゥラル・シャーミーヤ(6月29日付)に対して、ダルアー県での最近の戦闘激化により10万人が避難を余儀なくされ、ヨルダン方面に向かっていると述べた。

シリア人権監視団によると、避難民の数は15万人にのぼるという。

また、ザイド・ブン・ラアド・フサイン国際連合人権高等弁務官事務所高等弁務官は声明を出し、ダルアー県の市民が、ダマスカス郊外県東グータ地方の同様の包囲と砲撃に曝されているとしたうえで、シリア軍が一部検問所で避難する住民に対して数百ドルの支払いを強要していると非難した。

AFP, June 29, 2018、ANHA, June 29, 2018、AP, June 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 29, 2018、al-Hayat, June 30, 2018、Reuters, June 29, 2018、SANA, June 29, 2018、UPI, June 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.