YPG主体のシリア民主軍の政治母体シリア民主評議会が訪米し、トランプ米大統領と会談「米軍の撤退は決定事項で、我々は熟慮のうえ撤退するよう要請している」(2019年1月30日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のバッサーム・サクル氏は『ハヤート』(1月31日付)の取材に対して、イルハーム・アフマド執行委員会共同議長を代表とする使節団が米国を訪問し、ワシントンDCでドナルド・トランプ米大統領や上院議員らと会談した。

サクル氏によると、トランプ大統領との会談は前向きで、「彼(トランプ大統領)は「クルド人を愛している」と言ってくれた」という。

同氏はまた「米軍の撤退は決定事項で、逆戻りできない…。シリア民主評議会は撤退そのものを問題視していないが、我々は、我々と調整して、熟慮のうえ撤退するよう要請している…。調整はなされているが、さらなる調整をしたいと考えている。熟慮のうえ撤退すると約束してもらっており、安心している。撤退は若干遅れるだろう」と述べた。

国境地帯に「安全地帯」を設置する構想については「国境地帯に国際舞台を展開させること、あるいはシリア民主軍が安全地帯の治安状況の監督を付託されることを要請している…。米国は安全地帯について明確な見解を持っていない。我々は、トルコが侵略するとの脅迫をしているために安全地帯を必要としているとの見解を明示した」と述べた。

そのうえで「米上院は撤退を支持せず、シリアにおける同盟者である我々を支援したいとしている。だが、議会が撤退決定を阻止することはできず、撤退を遅らせるためにできることをしている」との見方を示した。

この会談に関して、CNN(1月31日付)は、クルド人高官がトランプ大統領に「クルド人がシリアで(トルコのレジェップ・タイイップ・)エルドアン大統領に虐殺されるのを放置しない」よう要請したと伝えた。

使節団は、国務省、国防総省を訪問し、国境地帯での「安全地帯」設置について協議する予定しているという。

AFP, January 30, 2019、ANHA, January 30, 2019、AP, January 30, 2019、CNN, January 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 30, 2019、al-Hayat, January 31, 2019、Reuters, January 30, 2019、SANA, January 30, 2019、UPI, January 30, 2019などをもとに作成。

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