2011年6月19日のシリア情勢

反体制勢力の動き

『ハヤート』(6月20日付)によると、国外で活動する反体制活動家が中心となって「シリア革命自由青年の名において」と題した共同声明を発表し、「国民評議会」の宣言を発表した。

声明発表の記者会見は、イドリブ県の対トルコ国境に位置するヒルバト・ジューズ村で開かれた。

声明において、活動家らは「政権が丸腰の国民に対して行った虐殺、平和的デモに対する弾圧を行い…、アラブ世界、国際社会の沈黙が続くなか…、我々は「シリア革命」を指導するため、内外のすべての愛国的な集団、個人、勢力、政党からなる国民会議を設置することを宣言する…。この声明は国内外のすべての自由を求める人々に開かれた扉のようなものである」と述べた。

共同声明署名者の代表を務めるジャミール・スアイブ氏によると、この「国民会議」がアブドゥッラー・トゥラード氏、マアムーン・ヒムスィー、シャイフ・ハーリド・ハルフ氏、ハイサム・マーリフ氏、スハイル・アタースィー氏、アーリフ・ダリーラ氏など著名な反体制活動家からなっているという。

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このうちマーリフ氏、アタースィー氏、ダリーラ氏はシリア国内にいるが、それ以外の活動家は国外で活動している。

スアイブ氏はAFP(6月19日付)に対して、「この会議の目的は革命を支援するためすべての反体制勢力を糾合」し、国際機関にその声を伝えることにあると強調した。

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シリア人権監視団によると、2011年3月半ば以降の抗議デモと弾圧による死者数は、1,600人以上にのぼる。

うち民間人は民間人1,309人、治安要員は341人。

シリア政府の動き

al-Hayat, June 20, 2011

al-Hayat, June 20, 2011

SANA(6月19日付)は、アーディル・サファル内閣の汚職撲滅特別委員会が改革実施に向けた決定(2011年5月5日決定第6080号)を作成し、汚職撲滅のための35の施策を提言したと発表した。

35の施策は、包括的改革の加速、透明性の確保、行政制度、経済制度、税制、報道体制、司法制度などの改革、汚職撲滅に向けた具体仕組み(11の仕組み)、中央検査管理委員会に新たな機関としての汚職撲滅委員会設置などからなる。

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シリア・アラブ・テレビ(6月19日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市で破壊活動を行ったとする武装集団メンバーの証言映像を放映した。

国内の暴力

イドリブ県では、複数の目撃者によると、軍がビダーマー町にいたる街道街道に検問所を設置し、抗議行動に参加した住民の摘発を行う一方、同村の住民はほぼ全員が避難した。

シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表はロイター(6月19日付)に対し、シリア人避難民数千人が街道に検問所が設置されているために、ビダーマー町に戻ることもできなければ、トルコ側に逃れることもできず、国内で「足止め」を食らっていると述べた。

カルビー代表はまた、避難民への食料・医療支援を行おうとする活動家に対しても、軍・治安部隊が攻撃を加えていると非難した。

諸外国の動き

国際赤十字委員会のヤコブ・ケーレンバーガー会長は、シリアの人権状況について協議するため、2日間の予定でダマスカスを訪問した。

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『ハヤート』(6月20日付)は、トルコ当局がインターネットで声明を出し、「シリア側国境地域で待機するシリア人避難民に緊急食料物資を提供するための人道支援を開始した」と発表したと伝えた。

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フランスのミシェル・アリヨ=マリー前外務大臣はフランスの「カナル・プルス」との対談で、国際社会がシリアの体制に対してさらなる「行動力と決意」を示さねばならないとの見解を述べた。

前外務大臣は、シリア情勢に関する質問に応え「軍事的に介入すべきかどうかは分からないが、間違いなくさらなる行動力を示すべきだ…。国際社会は無関心であるわけにはいかず、これが悪いと言うべきである…。人々が自分たちの考えを述べることで殺害されている状況においては」と述べた。

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パリでは、シリア人とシリア系フランス人など約100人が、シリアでの反体制派に対する弾圧停止と、国際社会の「無関心の解消」を求めてデモを行った。

主催者である「シリア民主主義のための3月15日連合」代表のアブドゥッラウーフ・ダルウィーシュ氏はAFP(6月19日付)に対して「アサド政権は都市を攻撃するために装甲車やヘリコプターを使用し、住民に対して狙撃兵を動員している」と非難、「5日前から、シリアからトルコへの越境はほとんど不可能になっている。あらゆる場所に検問が設置されている。住民がいなくなった村もあるが、人が避難できる場所などない。国際社会は行動するべきだ」と訴えた。

AFP, June 20, 2011、Akhbar al-Sharq, June 20, 2011、al-Hayat, June 21, 2011、Kull-na Shuraka’, June 20, 2011、Naharnet, June 19, 2011、Reuters,
June 20, 2011、SANA, June 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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