シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから63日目となる7月3日、シリア軍は爆撃を継続、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。
シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より3人(民間人3人(うち子供2人)、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて2,125人となった。
うち、546人が民間人(女性106人、子供136人を含む)、722人がシリア軍兵士、857人が反体制武装集団戦闘員。
シリア軍戦闘機による爆撃回数は40回を記録、ロシア軍の爆撃は確認されなかった。
またシリア軍の地上部隊による砲撃は310発におよんだ。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でマアッラト・ヌウマーン市、マダーヤー村、ハーン・シャイフーン市、フバイト村、マアッラト・ハルマ村、カルサア村、カンスフラ村一帯、ラカーヤー・サジュナ村、ヒーシュ村、バーブーリーン村、ハザーリーン村、シャイフ・ムスタファー村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がスフーフン村、バアルブー村、ハッサーナ村、ナキール村、アービディーン村、ハーン・シャイフーン市一帯を砲撃した。
一方、SANA(7月3日付)によると、シリア軍がフバイト村一帯にある反体制武装集団の拠点を砲撃、また、バーブーリーン村、ヒーシュ村、ラカーヤー村でシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党の動きを捕捉、これを攻撃した。
シリア軍はさらに、ジスル・シュグール市一帯にあるトルキスタン・イスラーム党の拠点を砲撃した。
他方、ドゥラル・シャーミーヤ(7月3日付)は、ロシア軍戦闘機がカニーヤ村にあるキリスト教徒の居住地を直接爆撃したと伝えた。
だが、シリア人権監視団によると、ロシア軍による爆撃は確認されていない。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でアレッポ市郊外のムハンディスィーン地区、第46中隊基地一帯に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がザンマール町、ジャズラーヤー村を砲撃した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がハスラーヤー村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村、アブー・ライーダ村、ラターミナ町、カフルズィーター市、ラトミーン村を砲撃した。
一方、SANA(7月3日付)によると、トルコ軍監視所があるシール・マガール村やフワイジャ村一帯に展開するシャーム解放機構がシリア政府支配下のラスィーフ村、アズィーズィーヤ村を砲撃し、子供2人が死亡した。
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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(アレッポ県1件、ラタキア県6件)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を4件(ハマー県2件、イドリブ県2件)確認した。
AFP, July 3, 2019、ANHA, July 3, 2019、AP, July 3, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 3, 2019、al-Hayat, July 4, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 3, 2019、Reuters, July 3, 2019、SANA, July 3, 2019、SOHR, July 3, 2019、UPI, July 3, 2019などをもとに作成。
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