ウィキリークスは2018年4月のダマスカス郊外県ドゥーマー市での化学兵器(塩素ガス)使用疑惑事件に関して、シリア軍の関与を否定するOPCWの会合議事録などを新たに公開(2019年12月27日)

ウィキリークスは、2018年4月のダマスカス郊外県ドゥーマー市での化学兵器(塩素ガス)使用疑惑事件に関して、シリア軍による塩素ガス使用の可能性を否定する会合の議事録、現場での証拠ねつ造の可能性を指摘する文書の削除を支持する化学兵器禁止機関(OPCW)の幹部の電子メールのメッセージなど4点(https://wikileaks.org/opcw-douma/document/)を新たに公開した。

https://wikileaks.org/opcw-douma/#OPCW-DOUMA%20-%20Release%20Part%204

公開された文書の一つは、2018年6月6日の会議の議事録。

OPCWが毒物学者、臨床薬理学者、法医学者、生物分析学者4人と行った会合の議事録で、被害者の症状が塩素ガスによる症状と一致するかについて意見を聴取するのが目的だった。

議事録によると、専門家は、症状は塩素ガスによるものではないとの結論づけるとともに、症状を引き起こす原因となった化学物質も特定できないと述べたという。

二つ目の文書は2019年2月27日と28日にやりとりされた電子メールのメッセージ。

そのなかには、OPCW幹部(Chief of Cabinet)はセバスチアン・ブラハ(Sebastien Braha)が送信したメッセージも含まれており、そこには「この文書をDRA(文書記録アーカイブ)から削除してください…。DRAのデリバリ、ストレージなどに痕跡が残っていたら、すべてを削除してください」などと書かれている。

削除された文書は、イアン・ヘンダーソン検査官が作成した技術評価報告書(中間報告書)で、ドゥーマー市でシリア軍が投下したとされるシリンダ2本が、高所から投下されたのではなく、手で運ばれ、現場に置かれた可能性が高いと指摘していたが、最終報告書においてこの文言は削除された。

三つ目の文書は、2018年8月20日から28日までの毒物学者との会議について議論したOPCWとの電子メールのメッセージのやりとりのコピー。

四つ目の文書は、2018年7月末の電子メールのメッセージで、ドゥーマー市での調査に参加した事実調査団(FFM)の8人のうちの7人をプロジェクトに関する議論から除外すべきだと書かれている。

AFP, December 27, 2019、ANHA, December 27, 2019、AP, December 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 27, 2019、Reuters, December 27, 2019、SANA, December 27, 2019、SOHR, December 27, 2019、UPI, December 27, 2019、Wikileaks, December 27, 2019などをもとに作成。

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