トルコによってリビアに派兵された国民軍戦闘員の映像がSNS上にアップされるなか、国民軍、リビア国民合意政府は派兵を頑なに否定(2019年12月29日)

シリア人権監視団は、信頼できる複数の情報筋の話として、国民軍の戦闘員がトルコによってシリア北部からリビアの首都トリポリへと移送されたと発表した。

リビアに移送されたのは現在のところ約300人。

また、トルコの教練キャンプには、国民軍に所属するスライマーン・シャー師団、スルターン・ムラード師団など戦闘員の900~1,000人がリビアへの派遣に向けて教練を受けているという。

リビアに派遣される戦闘員は、3~6ヶ月間の契約を結び、月収2,000~2,500ドルを受け取るという。

なお、ドゥラル・シャーミーヤ(12月29日付)などによると、リビアに派遣されたのは、国民軍所属のハムアート師団、スルターン・ムラード師団の戦闘員約600人。

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また、ツイッター(https://twitter.com/Kalmuqdad/status/1211115528867241984/video/1)では、国民軍の戦闘員が、トリポリ近郊での最前線にあるタクバーリー基地のゲートを背にして映っているビデオ映像がアップされた。

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一方、国民軍は声明を出し、「シリア国民軍のいかなる戦闘員もリビアでの戦闘、作戦には参加してない」と発表した。

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また、リビアの国民合意政府(GNA)のファーイズ・スィラージュ執行評議会議長の事務局が声明を出し、「戦争犯罪者ハリーファ・ハフタルとその支援者らがSNSで流しているビデオ映像の信憑性を否定する」と表明したうえで、「国民合意政府はこうしたウソを拡散するのに寄与している者すべてを法的に追及する。これらは、リビア軍が実現する勝利を歪めようとする試みに過ぎない」と付言した。

AFP, December 29, 2019、ANHA, December 29, 2019、AP, December 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 29, 2019、Reuters, December 29, 2019、SANA, December 29, 2019、SOHR, December 29, 2019、UPI, December 29, 2019などをもとに作成。

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