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反体制勢力の動き
アブー・アマーラ特殊任務中隊のマハンナー・ジャファーラ司令官は声明を出し、自由シリア軍合同軍事評議会メンバーを辞任すると発表した。
同評議会が、シリア国内で活動するイスラーム主義部隊や自由シリア軍の一部部隊に関心を示さないことが主因だという。
クッルナー・シュラカー(11月15日付)によると、アブー・アマーラ特殊任務中隊はアレッポ県で最初に作られた武装集団の一つ。
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反体制人権団体のシリア人権機構(SWASIAH)は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立アフマド・トゥウマ暫定内閣の発足に関して、すべての政治組織と等距離を保ち、中立を守るとしつつ、解放区での自治などを実行するなどとした誓約を守り、「犯罪者」であるアサド政権に対峙するよう求めた。
シリア政府の動き
外務在外居住者省は国連事務局長と安保理に宛てて書簡を送り、ダマスカスなどシリアの複数の都市に対して武装テロ集団が迫撃砲で攻撃を行い、無実のシリア人を無差別かつ体系的に殺戮していると報告、これらの組織を支援している国々を非難するよう求めた。
SANA(11月14日付)が報じた。
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『アラブ』(11月14日付)は、イラクのヒズブッラー大隊に近い消息筋の話として、イラク、レバノン、イラン、イエメン、バーレーン、パキスタンのシーア派宗徒からなる12の部隊がシリアでの戦闘に参加し、アサド政権を支援している、と報じた。
同紙によると、参加している部隊は、レバノンのヒズブッラー、イラクのアブー・ファドル・アッバース旅団のほか、カマル・バニー・ハーシム旅団、タッフ旅団、カラール旅団、バキーヤトッラー旅団、マアスーム旅団、サアダ旅団など。
国内の暴力
ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主統一党人民防衛隊が、「自由シリア軍」およびサラフィー主義者との戦闘で、カーミシュリー市郊外のタッル・イード村を制圧したほか、過去48時間でカフターニーヤ地方の18村落を手中に収めた。
これに関して、自由シリア軍のシリア・クルド革命評議会コムラ軍事部隊ミシュアル旅団は声明を出し、13日にカフターニーヤ地方のムハンマド・ズィヤーブ村で、シリア軍の支援を受けた民主統一党人民防衛隊がコムラのクルド人戦闘員2人を殺害した、と発表した。
一方、SANA(11月14日付)によると、カーミシュリー市郊外のブジャーリーヤ村、シャラーマ村、ハズナ村、ジャルマズ村、リカービーヤ村、マルザ村で、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同地を制圧した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区を軍が空爆・砲撃した。
一方、SANA(11月14日付)によると、旧市街のウマイヤ・モスクに近いジャミール・マルダム・ベク通り(カッラーサ地区)で反体制武装集団が仕掛けた爆弾2発が爆発し、市民2人が死亡、複数が負傷した。
また旧市街にあるハミディーヤ・モスク入り口では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、市民1人が死亡、複数が負傷した。
このほか、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団、SANA(11月14日付)によると、軍が武器弾薬庫のある大マヒーン山を完全制圧したと発表した。
一方、クッルナー・シュラカー(11月14日)は、ヒムス県の反体制活動家らが、無人偵察機「Go Pro Her0 3」を捕獲することに成功した、と報じた。
他方、SANA(11月14日付)によると、ハーリディーヤ村、キースィーン村、ハダス村、ガントゥー市、ヒムス市クスール地区、バーブ・フード地区、ワルシャ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊する一方、レバノン領からの潜入を試みる反体制武装集団をクサイル市郊外で撃退した。
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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(11月15日付)によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯で、軍のヘリコプターが反体制武装集団戦闘員に対して武装放棄、「祖国の懐への回帰」、「恩赦に服する」よう呼びかけるビラを散布した。
またシリア人権監視団によると、軍が、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、アブー・ファドル・アッバース旅団の支援のもと、バイト・サフム市周辺、ヤルダー市周辺、バービッラー市周辺で、サラフィー主義武装集団と交戦する一方、ダーライヤー市、ヤブルード市周辺を砲撃・空爆した。
一方、SANA(11月14日付)によると、アイン・タルマー渓谷、アルバイン市、マルジュ・スルターン村近郊、フジャイル市周辺、マダーヤー町、ハルナ市、ヤブルード市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シャーム・プレス(11月14日付)が、信頼できる複数の消息筋の話として、ムスリミーヤ村郊外の歩兵学校で行われていたタウヒード旅団の拡大会合に、シリア空軍が空爆を行い、旅団の指導者アブドゥルカーディル・サーリフ氏が死亡したと報じた。
しかし、クッルナー・シュラカー(11月15日付)は、軍の空爆で、幹部の一人ユースフ・アッバース氏が死亡、司令官のアブドゥルカーディル・サーリフ氏、アブドゥルアズィーズ・サラーマ総司令官らが負傷し、トルコに搬送されたと報じ、サラーマ総司令官の写真を掲載した。
また、SANA(11月14日付)によると、アルバイド村、クワイリス村、マンスール村、アレッポ中央刑務所周辺、ワディーヒー村、ズィルバ村、アターリブ市、カフルダーイル村、カフルハムラ村、バービース村、マアーッラト・アルティーク村、ムスリミーヤ村、カフルナーハー村、ナッカーリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
さらにアレッポ市では、バニー・ザイド地区、ラーシディーン地区、カルム・マイサル地区、カラム・トゥラード地区、カルム・ジャズマーティー地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(11月14日付)によると、サラーキブ市、アルバイーン山周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、SANA(11月14日付)によると、ガニーマ村、ドゥワイリカ村、サルマー町、トゥウーマ村、アイドゥー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(11月14日付)によると、タスィール町・ナワー市街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
レバノンの動き
ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は前日に引き続き、ベイルート県郊外のルワイスでのアーシューラーの記念祝典で公衆の前に姿を現し、レバノン情勢、イラン情勢、シリア情勢などについて再び演説した。
シリア情勢に関して、ナスルッラー書記長は「理由がある限り、我々はシリアにとどまる」と述べた。
また「(移行期)政府樹立の条件としてシリアからのヒズブッラーの撤退を求める者は、不可能な条件を課しているようなものだ」とシリアの一部反体制勢力を批判した。
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ヒズブッラーの高官は『タイムズ』(11月14日付)に対して「アサド政権は、ヒズブッラーの部隊が戦闘に介入しなければ、2時間で崩壊していただろう」と述べた。
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NNA(11月14日付)によると、ベカーア県バアルベック軍アルサール市をシリア軍が越境空爆、また同郡バニー・シート地方、ヘルメル郡の無人地帯にシリア領内から発射された迫撃砲弾複数発が着弾した。
諸外国の動き
ロシア大統領府は、ヴラジミール・プーチン大統領がアサド大統領と電話会談を行い、シリア情勢について協議したと発表した。
発表によると、プーチン大統領は会談のなかで、ロシアをはじめ各国がジュネーブ2会議開催に向けて努力を行っていることを説明する一方、アサド大統領が政府使節団派遣を受諾したことへの謝意を示したという。
また、シリア国内の過激派によるキリスト教徒などマイノリティ宗派への「体系的迫害」に関する情報への懸念を示し、シリア政府に対して、民間人の苦悩軽減と宗派間の平和の回復に向けて努力するよう求めたという。
これに対して、アサド大統領はロシアによるシリア国民への支援・支持に謝意を述べたという。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はエジプトを訪問し、カイロでナビール・ファフミー外務大臣と会談、シリア情勢について協議した。
会談後の記者会見で、両外相は、シリアの危機の政治的解決のため、ジュネーブ2会議開催に向けて努力を続けることを両国が改めて確認したと述べた。
ラブロフ外務大臣は、シリア情勢に対するアラブ連盟の姿勢をどう評価するかとの問いに対し「事前に決定がなされている」と非難、「基本原則を守るべきで、コンセンサスがなされるべきだ」と非難した。
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ジェン・サキ米国務省報道官は、民主統一党による西クルディスタン移行期民政局評議会発足宣言に関して「我々の政策は常にシリア国土の一体性と安寧を支援するものだ。シリア・クルド国民評議会の試みは前向きに評価できるが、シリアのクルド人地域の独立を宣言しようとしているとの報告に懸念を感じる。シリアでクルド人だけの地域を作ることはより大きな決定の一部をなしていなければならない」と批判した。
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イラク・クルディスタン地域政府の大統領府はインターネットを通じて声明を出し、そのなかで民主統一党を「すべての当事者(クルド民族主義政党)を排除し、武力を行使し、体制と協力し、西クルディスタンに革命を灯すなどと主張し、現状を押しつけようとした…。シリア政府は彼らにこの地域を手渡した。こうした行為に…民族的利益があったなら、受け入れられたろうが、結果は、西クルディスタンを独り占めしただけだ…。同地の我ら人民の未来に対する危険なゲームだ」と非難した。
AFP, November 14, 2013、al-‘Arab, November 14, 2013、Champress, November 14, 2013、al-Hayat, November 15, 2013、Kull-na Shuraka’, November 14, 2013, November 15, 2013,
November 17, 2013、Naharnet, November 14, 2013、Reuters, November 14, 2013、Rihab
News, November 14, 2013、SANA, November 14, 2013、The Times, November 14, 2013、UPI, November 14, 2013などをもとに作成。
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