2013年11月29日のシリア情勢

反体制勢力の動き

独立系NGOの共和国研究センター(http://drsc-sy.org/)は、2011年3月から13年10月31日にかけての紛争での死者数をまとめた報告書(http://drsc-sy.org/wp-content/uploads/sites/11/2013/11/Syrian-Statistics-End-of-Oct-2013.pdf、11月7日付)を発表した。

同報告書によると、死者数は95,981人、うちパレスチナ人は1,680人、子供は8,639人、女性は7,670人、拷問による死者は3,252人だという。

また負傷者数は14万9,420人、逮捕者は24万8,957人、失踪者は9万920人にのぼるという。

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シャーム自由人運動(ハッサーン・アッブード)、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム軍、東部地方シャリーア委員会は共同声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)指導者のアブー・バクル・バグダーディー氏に、「アッラーの法とスンナの裁定」に基づき、ハサカ県ヒシャーム村(CONOCOガス精製所)の支配権をめぐる対立を収束させるための介入人を派遣するよう求めたと発表した。

ザマーン・ワスル(11月29日付)が伝えた。

シリア政府の動き

ワーイル・ハルキー首相を団長とするシリアの閣僚使節団がイランの首都テヘランに到着した。

3日間滞在予定中、ハルキー首相ら一行は、ハサン・ロウハーニー大統領、モハンマド・ジャワード・ザリーフ外務大臣、アリー・シャムハーニー国家安全保障最高評議会書記らと会談予定。

SANA(11月29日付)によると、テヘランに到着したハルキー首相は、イランの核開発と制裁解除をめぐる米英独仏中ロとの合意に関して、「地域における勝利の序曲であり、シリア国民勝利の始まり」と評した。

国内の暴力

ダマスカス県では、各紙によると、旧市街にあるウマイヤ・モスク近くの住宅地に迫撃砲弾1発が着弾、シリア・アラブ・テレビ(11月29日付)によると、4人が死亡、26人が負傷した。

またヤルムーク区では、反体制活動家によると、同地区への包囲解除を求めるデモが発生、軍がこれに発砲し、多数が死傷したという。

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ダマスカス郊外県では、AFP(11月29日付)によると、軍が、カラムーン地方制圧に向けた作戦を継続した。

シリア人権監視団によると、軍はダイル・アティーヤ市制圧に続いて、ナバク市の奪還をめざしており、同市を包囲しているという。

また同監視団によると、東グータ地方などでの戦闘で、ヒズブッラーの戦闘員17人、アブー・ファドル・アッバース旅団の戦闘員11人が死亡した。

一方、SANA(11月29日付)によると、ダイル・アティーヤ市東部の農場地帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サラーフッディーン地区のアムーリー検問所近くで、「自由シリア軍」が軍兵士5人を襲撃・殺害した。

また軍はカーディー・アスカリー地区などを空爆した。

クッルナー・シュラカー(11月29日付)は、複数の活動家の話として、取材のためにアレッポ市カーディー・アスカル地区に入った活動家3人が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)本部近くで、27日に失踪し、現在も行方不明もままだと報じた。

一方、SANA(11月29日付)によると、バーブ市、ハンダラート・キャンプ、フライターン市、アウラム・クブラー村、ヒーラーン村、カフルハムラ村、ワディーヒー村、マンスーラ村、ムスリミーヤ街道、ナイラブ村北部、アレッポ中央刑務所周辺、キンディー大学病院周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ラーシディーン地区、サラーフッディーン地区、マルジャ地区、シャイフ・サイード地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン氏を軍が砲撃した。

一方、SANA(11月29日付)によると、キースィーン村、ダール・カビーラ村、ラスタン市、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、バーブ・フード地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、マスアダ村、ムカイマン村を軍が砲撃した。

また、クッルナー・シュラカー(11月29日付)は、カルアト・マディーク町のモスクのイマームが何者かによって誘拐されたと報じた。

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ダルアー県では、SANA(11月29日付)によると、ヨルダン領からマターイーヤ村に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

レバノンの動き

NNA(11月29日付)によると、南部県サイダー市郊外のアイン・フルワ・パレスチナ難民キャンプで、ファタハとジュンド・シャームが交戦した。

諸外国の動き

AFP(11月29日付)は、複数の外交筋・諜報筋の話として、今年5月以降、欧州各国が、段階的にシリア政府との関係を秘密裏に再開し、月1、2度のペースでダマスカスを訪問し、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長らと会談し、サラフィー主義対策や関係改善などを協議するようになっている、と報じた。

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アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官がベカーア県バアルベック郡アルサール村にあるシリア人避難民キャンプを訪問視察、「ヨルダン、レバノン、トルコ、イラク、エジプトに300万人以上のシリア人が避難している」と警鐘を鳴らした。

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イランのレザー・バカルディー駐アンカラ大使は「イランは、トルコがシリアとの関係を改善するのをあらゆる手段を駆使して支援する用意がある」と述べた。

『ヒュッリイェト』(11月29日付)が伝えた。

AFP, November 29, 2013、al-Hayat, November 30, 2013、Kull-na Shuraka’, November 29, 2013、Naharnet, November
29, 2013、NNA, November 29, 2013、Reuters, November 29, 2013、Rihab News,
November 29, 2013、SANA, November 29, 2013、UPI, November 29, 2013、Zaman
al-Wasl, November 29, 2013などをもとに作成。

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