2013年11月28日のシリア情勢

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長はロイターとUPIのインタビューに応じ、「ジュネーブ(2大会)に行く準備している」とする一方、アサド大統領については「国家破壊の責任を負う個人が国家建設の責任を負うことはない」と述べ、排除の必要を改めて示唆した。

またイランのジュネーブ2会議参加の是非については、「イランはシリアでの殺戮に明らかに関与している…。イランがシリアの危機解決に真摯に対応したいのなら、まずは革命防衛隊とヒズブッラーの傭兵をシリアから撤退させるべきだ」と非難、参加を拒否する姿勢を示した。

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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長はドバイのアーン・テレビ(11月28日付)のインタビューに応じ、「革命を行っている者は周知の通り、イスラーム教徒で、我々は皆イスラーム教徒だ…。すべての部隊における教義はイスラーム教であり、イスラーム教から力を得ている」と述べた。

しかし「見ず知らずの外国人がやって来て、我々にイスラーム教を教え込み、我々にさまざまな習慣を押しつけようとしている。そして、誰それがイスラーム教徒で、誰それが無神論者で、誰それが背教者だと分けようとし、斬首さえ行う。おかしなことだ。イスラーム教の穏健さこそ、我々が愛し、誇示しようとしているものなのに」と強調し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)を批判した。

また外国人記者などを拉致する反体制武装集団に関して「革命シャッビーハ」と非難した。

さらに、イドリース参謀長は、自由シリア軍への資金、武器弾薬の支援が不充分だと強調し、それが反体制武装集団の統合を妨げ、一部の武装集団のダーイシュやシャームの民のヌスラ戦線への合流をもたらしているとの見方を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアディーブ・シーシャクリー氏は、ロシアがリフアト・アサド前副大統領をジュネーブ2会議における反体制勢力の使節団に参加させ、反体制勢力を分断しようと画策していると非難した。

また、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などが、連立の承認を拒否していることに関して「連立もダーイシュを承認しない」と反論した。

さらに、ザフラーン・アッルーシュ司令官率いるイスラーム軍については、「新しい軍で、現地における実態はない」と述べた。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は、声明を出し、ジュネーブ2会議開催を主導する米露が、アサド大統領の退陣を明確に要求しないことで「解放、体制打倒、殺戮者の処罰を求めるシリア国民の意思を無視している」と非難した。

そのうえで反体制勢力のジュネーブ2会議への参加が「事態のさらに複雑化させる危険な結果」となると指摘、反体制勢力に大会への参加のボイコットを呼びかけた。

シリア政府の動き

アサド大統領は2013年政令第71号を発し、2013年政令第70号の適用期間を1ヶ月延長し、2013年12月30日までとすることを承認した。

2013年政令第70号(10月29日)は、2013年10月29日以前に犯された軍形法、兵役法などへの違反(国外逃亡法、国内逃亡法)に対する恩赦を定めた法令。

SANA(10月29日付)が報じた。

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軍武装部隊総司令部は声明を出し、ダイル・アティーヤ市に潜入していたテロ集団の掃討を完了し、残党の追撃にも成功したと発表した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線、ハドラー大隊などが占拠していたダイル・アティーヤ市を軍が奪還、完全制圧した。

またAFP(11月28日付)は、軍消息筋からの情報として、軍がナバク市にも突入・制圧し、ヤブルード市に進軍していると報じた。

一方、SANA(11月28日付)によると、軍がダイル・アティーヤ市でのシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の掃討を完了し、同市を完全制圧、またレバノン(ベカーア県バアルベック郡アルサール地方)に逃走を試みた武装集団を追撃、拘束した。

また軍は、ナシャービーヤ町、バハーリーヤ市、イバーダ市、カイサー市、ダイル・アサーフィール市、ビビーラー市、ザバダーニー市で、反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(11月29日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアターリブ市本部前で、シャーム外国人大隊前司令官のハザン・ジャズラ氏と戦闘員6人を銃殺処刑した。

また、シリア人権監視団によると、ダイル・ハーフィル市を軍が「樽爆弾」などで空爆し、女性・子供を含む11人が死亡、またアレッポ市カーディー・アスカル地区に対しても空爆を行い、5人が死亡した。

一方、SANA(11月28日付)によると、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)周辺、ハンダラート・キャンプ、マアーッラト・アルティーク村、マンスーラ村、アレッポ中央刑務所周辺、キンディー大学病院周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市ではサラーフッディーン地区、マルジャ地区、ラーシディーン地区、シャイフ・サイード地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(11月28日付)によると、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またロシア外務省は声明を出し、ロシア大使館のあるダマスカス県アダウィー地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾し、シリア人が死亡、9人が負傷、大使館の本棟および近隣のビルが被害を被ったと発表した。

一方、クッルナー・シュラカー(11月28日付)は、地元活動家が、シリア軍がダマスカス県のジャウバル区で早朝、化学兵器を使用し、8人が呼吸困難に陥ったと主張していると報じた。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(11月28日付)が地元の活動家の話として、ラッカ市旧市街の2月23日通りに、スカッド・ミサイルが着弾し、少なくとも市民40人が死亡、200人あまりが負傷したと報じた。

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ダルアー県では、SANA(11月28日付)によると、アトマーン村、ワルダート村、ナースィリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(11月28日付)によると、ブライカ村で、軍が反体制武装集団の拠点を攻撃、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、SANA(11月28日付)によると、カルアト・ハーディー村、シャッダーディー市一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またクッルナー・シュラカー(11月27日付)によると、民主連合党のアサーイシュがシリア・クルド国民評議会メンバーのズィナール・スライマーン氏(クルド青年運動)をカーミシュリー市東部郊外の検問所で逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、クッルナー・シュラカー(11月28日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区での反体制武装集団との戦闘で、共和国護衛隊のイサーム・ザフルッディーン准将が重傷を負った。

ザフルッディーン准将はドゥルーズ派で、10月に戦死したジャーミア・ジャーミア少将の後任として、軍事情報局東部地域局長を務めていたという。

レバノンの動き

ビント・ジュベイル.org(11月28日付)やムスタクバル・テレビ(11月28日付)は、ダマスカス郊外県東グータ地方での戦闘で死亡したヒズブッラーの戦闘員の司令官、ウィサーム・シャラフッディーン氏の葬儀が南部県の生地リシュクナニーヤ村で行われたと報じた。

シャラフッディーン氏は「ナスルッラー師」の名で呼ばれていた。

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NNA(11月28日付)などによると、北部県トリポリ市ザフリーヤ地区で、ジャバル・ムフスィン地区住民3人が何者かに撃たれ、負傷した。

この直後、バーブ・タッバーナ地区に何者かが手榴弾を投げ込んだ。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、RT(11月28日付)に対し、連盟がシリア革命反体制勢力国民連立をシリア人の代表として支持していると改めて述べるとともに、民主的変革諸勢力国民調整委員会をシリア国民の正統な代表とはみなさないとの意思を示した。

そのうえで、アラブ連盟の代表権を連立が要求してきたことを明らかにしたうえで、ジュネーブ2会議の結果をふまえたうえで、現在凍結中のシリア代表権の凍結解除を行うと述べた。

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国連安保理はメディア声明(SG/SM/15504、http://www.un.org/News/Press/docs//2013/sgsm15504.doc.htm)を発表し、シリア駐在のロシア大使館が迫撃砲で襲撃された事件を強く非難した。

同声明は「安保理加盟国は、この醜いテロ襲撃行為に憤りを覚えるとともに、犠牲者の遺族や負傷者に慰問の意を表す」として、「いかなるテロリズムも、世界の平和と安全に対する最も恐ろしい脅威であり、テロリズムは、いつ、いかなる場所、それが誰であろうと、いかなる動機であって実施されようとも、全て犯罪行為であり、その罪を逃れることは出来ない」と強調した。

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『読売新聞』(11月29日朝刊)によると、シリア政府は現在廃棄作業を進めている化学兵器製造施設18施設のうちの12施設を「産業用」に転換する申請を化学兵器禁止機関に対して行った。

同申請は26日の化学兵器禁止機関執行理事会で審議され、目的を明確にするようシリア側に打診、29日に再協議されるという。

AFP, November 28, 2013、al-An TV, November 28, 2013、Bintjbeil.org, November 28, 2013、al-Hayat, November 29, 2013、Kull-na Shuraka’, November 28, 2013、al-Mustaqbal TV,
November 28, 2013、Naharnet, November 28, 2013、NNA, November 28, 2013、Reuters,
November 28, 2013、Rihab News, November 28, 2013、RT, November, 28, 2013、SANA,
November 28, 2013、UPI, November 28, 2013、『読売新聞』2013年11月29日朝刊などをもとに作成。

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