2013年11月26日のシリア情勢

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のファーイズ・サーラ氏(議長顧問)は、ジャズィーラ・チャンネルがフェイスブックを通じて行った対話のなかで、イスラーム軍司令官のザフラーン・アッルーシュ氏の姿勢を非難した。

サーラ氏はこのなかで「ザフラーン師には、事態を見聞できないという問題があり、また多くのシリア人が言っていることをおそらく理解できていない…。彼が自分の意見を言うことは好ましいし、当然の権利だが、自分がシリア人の唯一の代弁者だとするのは時期尚早だ」と述べた。

ザフラーン司令官は以前、「イスラーム国家を望んでいないシリア人を一人も知らない」と述べていた、という。

クッルナー・シュラカー(11月26日付)が伝えた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会の幹部はAKI(11月26日付)にジュネーブ2会議開催に先立って、反体制勢力の合意のもとに使節団を統合すべきだと述べた。

同幹部は、シリアの民主的移行プログラムをすべての反体制勢力が受け入れるための対話会合をあらかじめ開催し、そのなかでジュネーブ2会議の使節団メンバーについても合意されるべきだと主張した。

また使節団統合の方法をめぐって、同幹部は、シリア革命反体制勢力国民連立の使節団に調整委員会メンバーが加わることを拒否していると述べた。

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シリア・イスラーム解放戦線のアフマド・イーサー・シャイフ司令官(シャームの鷹大隊司令官)は声明を出し、イスラーム戦線結成を受け、シリア・イスラーム解放戦線を解体すると正式に発表した。

シリア・イスラーム解放戦線はイドリブ県ザーウィヤ山で2012年9月12日に結成され、アンサール・イスラーム(ダマスカス県および同郊外県)、ファールーク大隊(各地)、シャームの鷹旅団(各地)、ダイル・ザウル革命家評議会、アムル・ブン・アース旅団(アレッポ)、クルドの鷹大隊(ハサカ県、ヒムス県)、ヒムス・アディーヤ大隊、ムハンマド・ブン・アブドゥッラー大隊、殉教者アフマド・アウダ大隊、ヒムスの砦大隊、バーバー・アムル殉教者大隊、フルサーン・ハック大隊、バッラー・ブン・マーリク大隊、アブドゥッラー・ブン・マスウード大隊、ジュンドゥッラー大隊、ヒムスの鷹大隊、国民解放運動(ファーティフ・ハッスーン)、ズー・ヌーライン大隊、イーマーン旅団(ハマー県)、イッズ・ブン・アブドゥッサラーム大隊、ナースィル・サラーフッディーン大隊(クルド山)からなっていた。

なおシャイフ司令官はイスラーム戦線のシューラー評議会議長を務める。

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クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(アレッポ国)は声明を出し、男性教員が学校で女子生徒に教えること、および男女共学の授業開講を禁じる決定を下したと発表した。

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アレッポ県シャリーア評議会は声明を出し、イスラーム軍の結成による反体制武装集団の統合に祝意を示すとともに、アサド政権打倒を実現するよう呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長はエジプトを訪問し、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、ナビール・ファフミー外務大臣と会談した。

エジプト外務省報道官によると、会談では、ジュネーブ2会議開催に向けた準備などが協議され、ジュネーブ合意(2012年6月)を実行するかたちですべての当事者の政治的意思を実現し、会議を成功させることが重要だという点で意見が一致したという。

一方、ジャルバー議長は会談後、連立のアフマド・トゥウマ暫定政府によるアラブ連盟内のシリア代表ポストの獲得に関して協議したことを明らかにしたうえで、数日中に連盟に正式に申請すると述べた。

アラブ連盟は2013年3月の首脳会議で、「行政委員会」(暫定政府)発足を条件にシリア革命反体制勢力国民連立に代表ポストを付与することを決定していた。

またジュネーブ2会議への参加に関して、「最終的な決定はまだしていないが、ジュネーブ2に向かうという真の精神を持ってはいる。シリア政府こそが大会に行きたくないと考えており、ロシアの圧力がなければ拒否すると考えている…。ジュネーブ合意に基づいて対話がなされれば、我々にとって有益なものとなろう…。しかし、バッシャール・アサドには移行期において何らの役割はない。これだけは確固たるものだ」と述べ、アサド政権の退陣を参加の条件とする意向を示した。

また「イランはシリアの占領国だ。我々シリア国民を多数殺してきた。我々はイラン・イスラーム革命防衛隊の撤退を求めてきたし、ヒズブッラーにシリアからの撤退を求めている…。いかなる政治プロセスも、イラン、レバノン、イラクの過激な民兵を排除したかたちで進められるべきだ」と述べた。

しかし、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)やシャームの民のヌスラ戦線の活動に関して言及することはなかった。

他方、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は声明を出し、潘基文国連事務総長が1月22日にジュネーブ2会議を招集すると発表したことに関して、「日程に関して今のところ正式な決定を受け取っていないが歓迎する」と述べた。

リハーブ・ニューズ(11月26日付)が伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立の使節団の一人としてジュネーブを訪問していたアブドゥルアハド・アスティーフー氏は、リハーブ・ニューズ(11月26日付)に対して、国際社会、とりわけロシアが、アサド政権による暴力停止、人道回廊の設置などに向けて圧力をかけていなかったため、ジュネーブ2会議をめぐるアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、米露高官との会談は必ずしも前向きではなかったと述べた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カラムーン地方のヤブルード陸橋近くで、軍、国防隊が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線などからなるサラフィー主義武装集団と激しく交戦した。

Champress, November 26, 2013

Champress, November 26, 2013

ダーイシュ、ヌスラ戦線、ハドラー大隊などによるダイル・アティーヤ市制圧に伴う国際幹線道路封鎖解除をめざした動きだという。

また東グータ地方のバイト・スィヒム市では、軍、国防隊、ヒズブッラーの戦闘員、アブー・ファドル・アッバース旅団が、反体制武装集団の進軍を阻止すべく、ダーイシュ、ヌスラ戦線、ハビーブ・ムスタファー旅団大隊などと交戦した。

クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、東グータ地方ダイル・サルマーン市での戦闘で、カアカーア旅団司令官のアブドゥルガユール・ダルウィーシュ氏が死亡した。またシリア人権監視団によると、同司令官の他にも反体制武装集団戦闘員8人が死亡した。

ダルウィーシュ氏は、カアカーア旅団を率いる前は、ハビーブ・ムスタファー旅団の司令官を、さらにそれ以前はアビー・ウバイダ・ブン・ジャッラーフ大隊司令官を務めていた。

一方、SANA(11月26日付)によると、ビビーラー市、ザバダーニー市、カラムーン山地一帯、バハーリーヤ市、カースィミーヤ市、ダイル・アサーフィール市、ナシャービーヤ町一帯、アルバイン市、ダイル・アティーヤ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線、ムスタファー旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

しかし、ダイル・アティーヤ市では、反体制武装集団が救急車を爆弾で爆破し、医師5人、看護師5人、運転手2人を殺害した。

また、ベイルート行きのバス・タクシーの発着所で知られるスーマリーヤ・バス発着所前で、反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、女性・子供を含む市民11人が死亡、35人が負傷した。

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イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(イドリブ国)が声明を出し、「解放作戦」の開始と、イドリブ県作戦司令室の結成を宣言した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が「バラカ作戦」を開始、イラクからの戦闘員を派遣すべく、シリア・イラク国境地帯に設置された土壁(割り塚)の破壊を開始した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マーリキー地区、マイサート広場、バグダード通りに、迫撃砲弾が複数発着弾した。

また、クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、11月12日にPLO駐ダマスカス大使とシリア政府高官の間で行われたダマスカス県ヤルムーク区での「中立化」に向けた協議を受け、パレスチナ人以外の武装集団がヤルムーク区からの撤退を始めた。

一方、SANA(11月26日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月26日付)によると、ザーラ村の農場、カルアト・ヒスン市、ガースィビーヤ村、ドゥワイル市周辺、ヒムス市カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(11月26日付)によると、反体制ジャーナリストのムハイミン・ハラビー(マーリク・ワスミー)氏が、アレッポ市東部郊外で武装した何者かによって拉致された。

一方、SANA(11月26日付)によると、キンディー大学病院周辺、マンスーラ村、アレッポ中央刑務所周辺、バービース村、アルバイン市、クワイリス村、ハンダラート・キャンプで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ県では、マルジャ地区、アンサーリー地区、ブスターン・カスル地区、ラーシディーン地区、ジュダイダ地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(11月26日付)によると、インヒル市、サナマイン市、タスィール町、ダルアー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(11月26日付)によると、ハントゥーティーン村、マアッラトミスリーン市、ビンニシュ市、ナフリヤー市、アイン・ラールーズ村、ハーミディーヤ市、ジャーヌーディーヤ町、カストゥーン村、アルバイーン山周辺、アブー・ズフール市、タッル・サラムー村、イブリーン村、クライズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(11月26日付)によると、アスィール村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(11月26日付)によると、サルマー町、ワーディー・ハズィーリーン、ガマーム村、ハドラー村、アイン・カンタラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、ジュネーブでの特別会合に、シリアでの国連の人道支援活動に関する非公式文書を提出した。

ロイター(11月26日付)が入手したこの文書において、アモス事務次長は、650万人のシリア人が国内で避難生活を余儀なくされている一方、これとは別に220万人が国外に避難したとの数値を報告した。

またシリア国内では、930万人(その半分は子供)が支援を必要とし、また治療を必要としている患者の数が57万5,000人に達することを明らかにした。

一方、シリア政府の対応に関して、アモス事務次長は、政府軍が包囲するダマスカス郊外県のムウダミーヤト・シャーム市、東グータ地方、ダーライヤー市、ヒムス県ヒムス市旧市街、ダマスカス県ヤルムーク区への国連チームによる人道物資の搬送が拒否されたことを明らかにした。これらの地域には約18万人の住民がとどまっているという。

また反体制武装集団も、アレッポ県ヌッブル市、ザフラー町を包囲し、同地で暮らす約4万5,000人の住民に支援物資を届けることを妨害している、と指摘した。

国連による人道支援物資の搬入に関しては、シリア政府を唯一のチャンネルとし、タルトゥース港、ラタキア港、レバノンとヨルダンの指定された国境通行所を経由しているほか、イラクのヤールービヤー国境通行所経由での搬入をシリア政府許可(11月20日)したことを明らかにした。

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『ハヤート』(11月27日付)は、ジュネーブ2会議開催の準備が進められるなか、欧州各国の専門家らが、シリア革命反体制勢力国民連立の幹部らに、国際会議での交渉術やそのしくみなどを教練している、と報じた。

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エジプトのナビール・ファフミー外務大臣は、潘基文国連事務総長が1月22日にジュネーブ2会議を招集すると発表したことに歓迎の意を示した。

リハーブ・ニューズ(11月26日付)が伝えた。

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ロイター(11月26日付)は、トルコのシャンウルファ市などの青年数百人が、シリアに潜入し、サラフィー主義武装集団に参加しており、トルコ社会の不安が高まっている、と報じた。

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ロイター(11月26日付)によると、スウェーデン大使館は、シリア国内で取材中にスウェーデン人記者2人が失踪したと発表、その行方を調査していると発表した。

AFP, November 26, 2013、AKI, November 26, 2013、al-Hayat, November 27, 2013、Kull-na Shuraka’, November 26, 2013、Naharnet, November 26, 2013、Reuters, November 26, 2013、Rihab News, November 26, 2013、SANA, November 26, 2013、UPI, November 26, 2013などをもとに作成。

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