2014年4月16日のシリア情勢:反体制勢力の動き

ARA News(4月16日付)は、アブドゥッラフマーン・ムハンマドを名乗るハマー市の活動家が、カフルズィーター市を軍が「樽爆弾」で空爆し、民間人約15人が呼吸困難などの症状を訴えたと述べ、シリア政府が再び毒ガスを使用していると主張している、と報じた。

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『クドス・アラビー』(4月16日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)(ラッカ州)が、活動家ニハード・バドル氏に関する情報提供に対して2,000,000シリア・リラの報奨金を与えると発表、その逮捕に全力を注いでいると報じた。

同報道によると、バドル氏はラッカ市の活動家で、ダーイシュによる市内での無差別逮捕、処刑、ダーイシュのラッカ州アミールであるアブー・ムクマーン氏(アリー・ムーサー・シャウワーフ)の素性を知っており、ダーイシュはこれらの情報が流出することを恐れているという。

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ラッカ県では、シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、ラッカ革命家旅団との断交を宣言した。

ラッカ市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との戦闘からラッカ革命家旅団が撤退し、ヌスラ戦線の規律を遵守しなかったことなどが断交の理由だという。

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離反士官のムハンマド・ハムウ准将はビデオ声明(http://www.youtube.com/embed/BA-Bc1pF3nc)を出し、アレッポ市およびその郊外で反体制武装活動を続ける武装集団を糾合し、「北の太陽大隊」を結成したと発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー代表は、中国を公式訪問し、王毅外交部長と会談した。

会談に関して、中国外交部は声明で「シリア問題に関する中国の関心は、シリア国民の長期的な集団的利益に対して注がれており、中東の平和と安定に資することである」と述べ、当事者間の対話を通じた紛争解決を支持する意思を示した。

これに対して、ジャルバー議長は声明で、「シリア政府が真摯であるなら、連立はジュネーブ2会議第3ラウンドに参加する用意がある」としたうえで、「シリア政府の犯罪を止めるために重要な役割を果たし、政府に圧力をかけ、政治的解決に向かわせるために責任を果たすことが肝要」だと強調した。

ジャルバー代表の訪中には、バドル・ジャームース事務局長、ファーイズ・サーラ政治顧問が同行した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のムンズィル・マーフース駐フランス代表(大使)は、パリでロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣と会談した。

ロシア外務省が出した声明によると、この会談で、連立に対して「過激派への不関与」を求めたという。

AFP, April 16, 2014、AP, April 16, 2014、ARA News, April 16, 2014、Champress, April 16, 2014、al-Hayat, April 17, 2014、Iraqinews.com, April 16, 2014、Kull-na Shuraka’, April 16, 2014、Naharnet, April 16, 2014、NNA, April 16, 2014、al-Quds al-‘Arabi, April 16, 2014、Reuters, April 16, 2014、SANA, April 16, 2014、UPI, April 16, 2014などをもとに作成。

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