【トルコ・シリア大地震】アルヌース内閣はシリア全土に人道支援を提供することを決定(2023年2月10日)

フサイン・アルヌース首相は緊急閣議を開き、アレッポ県、ラタキア県、ハマー県、イドリブ県を被災地に指定し、復興に向けた国民基金を設置することを決定した。

内閣はまた、政府支配地域から支配下にない地域への境界(ライン)経由での支援を通じてシリア全土に人道支援を提供することを了承した。

また、全土への支援について、赤十字国際委員会(ICRC)とシリア・アラブ赤新月社が監督し、国連各機関が必要とする被災者に支援を届け、配給することを決定した。

また、被災地復興国民基金の設置を通じて、被災者にあらゆる可能な支援を行うこと、義援金の募集や救援イニシアチブを促進することを確認、関係閣僚に対して、最高救済委員会を通じて、これらの支援を取り扱う権限を付与した。

一方、地方行政省、保健省、公共事業住宅省、運輸省、石油鉱物資源省に対しては、救援活動を継続し、建物の瓦礫を撤去し、被災者に必要な物資を提供するため、医薬品、救援物資、機械、石油誘導体にかかるニーズを把握するためのデータ​​ベース、およびこうしたニーズに対処するための実行プログラムの作成に向けて、損害の一覧データベースを策定することを命じた。

内閣は、政府機関、関連組織、組合、地元コミュニティの関連組織、全国規模で展開しているさまざまなイニシアチブと連携して、支援配給を組織的に行うことを確認し、高等救済委員会が支援の受け取りを一元化し、そこから被災県に配分することを確認、各県知事に支援物資を避難所に配給するための監督を任命するよう要請した。

アルヌース首相は、被災地での救援活動を組織的に遂行するためのマップを作成し、被害状況にかかる統計情報を収拾するうえで各機関に求められている役割、そして破壊された建物、補修や解体が必要な建物を特定することで、被災者が居住可能な建物に早急に写れるようにするよう強調、各県知事に解体の必要がある建物について、構造安全委員会、技師組合、工学研究公社などを通じて必要な措置を講じ、建物解体に際しての明確なガイドラインを示すよう指示した。

閣議ではこのほか、以下の決定がなされた。

  • 現場での作業を調整し、燃料会社に各県が必要としている量の燃料を増産させ、救援活動に使用されている設備の稼働を保障する。
  • 被災した政府関連機関が活動するための代替施設を確保するよう県知事に要請し、市民へのサービスの継続的提供を確保する。
  • ダムの構造安全の確認を継続し、必要な措置を講じる。
  • すべての省庁が必要に応じて投資計画を修正する権限を与え、被害の大きさに従って、支援、復旧作業を柔軟に行い、優先事項を変更できるようにする。
  • 教育省の提案に基づき、アレッポ県、ラタキア県、ハマー県、イドリブ県の被災地を除くすべての県で2月12日から幼稚園や学校などを徐々に再開する。
  • 国際救援組織との連絡を強化する。

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SANA(2月10日付)が伝えた。

AFP, February 10, 2023、ANHA, February 10, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2023、Reuters, February 10, 2023、SANA, February 10, 2023、SOHR, February 10, 2023などをもとに作成。

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