米国防総省報道官「イラク側が過去半年間で奪還したのはイスラーム国制圧地域の1%にも満たない」(2015年1月23日)

米国防総省のジョン・カービー報道官は、シリアの「穏健な反体制派」を教練するための米軍教官の第1陣を近日中にトルコに派遣すると発表した。

米国は最終的には教官400人を派遣し、ダーイシュ(イスラーム国)と戦うための「穏健な反体制派」戦闘員約15,000人に教練を施す予定。

一方、カービー報道官は、ダーイシュ(イスラーム国)のイラク側の支配地域が約5万4,000平方キロ(イラク国土の約12%)に達しているとの分析を明らかにしたうえで、イラク側が過去半年間で奪還したのは、ダーイシュ制圧地域の1%にも満たない約700平方キロにとどまっていることを明らかにした。

なお、ジョン・ケリー米国務長官はこれに先だって、「イラクでは、イスラーム国の勢いは確実に止まり、一部では後退している」と述べていた。

ダーイシュ掃討作戦に参加するロンドンでの有志連合に出席していたケリー国防長官は、イラク軍とイラク・クルディスタン地域のペシュメルガがダーイシュから「700万平方キロ以上の領土を奪還した」と強調、2000回におよぶ空爆で同組織に資金源となっている石油関連施設多数を破壊したほか、幹部戦闘員の半数を殺害したと説明し、「道のりは短期間でも、容易でもないが、重要な進捗を得た」と述べていた。

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イラクのモスル市では、ARA News(1月23日付)によると、イラク・クルディスタン地域のペシュメルガが、ダーイシュ(イスラーム国)による同市制圧(2014年6月)後初めて、市内を砲撃した。

AFP, January 24, 2015、AP, January 24, 2015、ARA News, January 24, 2015、Champress, January 24, 2015、al-Hayat, January 25, 2015、Iraqi News, January 24, 2015、Kull-na Shuraka’, January 24, 2015、al-Mada Press, January 24, 2015、Naharnet, January 24, 2015、NNA, January 24, 2015、Reuters, January 24, 2015、SANA, January 24, 2015、UPI, January 24, 2015などをもとに作成。

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「モスクワ1」をめぐる反体制勢力の動き(2015年1月23日)

エジプトのカイロで開催されているシリアの主要な反体制政治組織の代表らによる会合(22日に開幕)は、閉幕声明の内容を協議するための三者委員会を設置した。

三者委員会は、シリア革命反体制勢力国民連立のファーイズ・サーラ氏、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア氏、シリア国家建設潮流のムナー・ガーニム副代表からなる。

シリア革命反体制勢力国民連立のバッサーム・マリク氏によると、三者委員会は、「シリアを真に民主的社会に移行するための、全権を有する移行期政府の選出」方法などについて集中的に議論した、という。

マリク氏によると、在外の活動家(シリア反体制勢力国民連立)は移行期におけるアサド大統領、既存の治安機関の役割を拒否しているのに対して、国内の活動家(民主的変革諸勢力国民調整委員会、シリア国家建設潮流)は、カイロからの帰国後に投獄されることを懸念し、これに消極的だという。

『ハヤート』(1月24日付)が伝えた。

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ARA News(1月23日付)は、ロシア外務省筋の話として、シリア革命反体制勢力国民連立が今月末にモスクワで開催予定のシリア政府と反体制派の和平交渉(「モスクワ1」)への参加を拒否した、と伝えた。

これに関して、シリア革命反体制勢力国民連立のサーリム・ムスラト報道官は22日深夜、今月末にモスクワで開催予定のシリア政府と反体制派の和平交渉(「モスクワ1」)への正式な招待状を受け取っておらず、メンバーが参加した場合も、組織とは無関係で、個人としての参加になる、と述べた。

AFP, January 23, 2015、AP, January 23, 2015、ARA News, January 23, 2015、Champress, January 23, 2015、al-Hayat, January 24, 2015、Iraqi News, January 23, 2015、Kull-na Shuraka’, January 23, 2015、al-Mada Press, January 23, 2015、Naharnet, January 23, 2015、NNA, January 23, 2015、Reuters, January 23, 2015、SANA, January 23, 2015、UPI, January 23, 2015などをもとに作成。

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イスラーム国:ラッカ県で離反兵の脱獄・逃亡を支援したエジプト人、サウジ人戦闘員を処刑、戦闘員の離反、トルコへの逃亡が増加(2015年1月23日)

ラッカ県では、ARA News(1月23日付)が、ラッカ市消息筋の話として、ウカイラシー基地(刑務所)に収監されていたダーイシュ(イスラーム国)のサウジ人、エジプト人メンバー2人が処刑され、このことが多くの外国人戦闘員(ムハージリーン)、とりわけサウジ人メンバーの離反をもたらしている、と伝えた。

同消息筋によると、この2人は、ダーイシュが拘束していた外国人戦闘員の脱獄と逃走を支援していたとの容疑で、スルーク町で拘束され、1月12日にウカイラシー基地に移送され、取り調べを受けていたという。

 

ARA News(1月24日付)によると、処刑されたのはアブー・ズバイル、アブー・アースィムを名のる戦闘員で、刑の執行はアブー・サラーム・アンバーリーを名のるラッカ州の治安部門高官によって行われたという。

事件に伴う外国人戦闘員の逃走を受け、ダーイシュはラッカ市内で厳戒態勢を敷き、離反者の摘発にあたっているという。

またARA Newsは、複数の活動家の話として、この事件に先立って、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員数十人が22日にラッカ市を脱出し、トルコ領内に逃走したと報じた。

アブドゥッラー・ジャースィムを名のる現地の活動家は、この数十人の逃走の動機に関して「彼らとダーイシュの間の教義上の意見対立が原因だと思われる」と述べた。

一方、『ハヤート』(1月24日付)によると、米国など有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行った。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が制圧するバーブ市各所をシリア軍が3度にわたって空爆、住民9人が死亡した。

また、アイン・アラブ市のムハッダサ学校北東部で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が進軍を続け、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

このほか『ハヤート』(1月24日付)によると、米国など有志連合は、アイン・アラブ市一帯のダーイシュ拠点などを10回にわたり空爆した。

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ハサカ県では、マサールプレス(1月23日付)によると、ハサカ市南部郊外で、ダーイシュ(イスラーム国)西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊を襲撃、隊員複数が死亡した。

また、『ハヤート』(1月24日付)によると、米国など有志連合が、ダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行った。

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シリア人権監視団は、2014年9月23日から2015年1月22日までの4ヶ月間での米国など有志連合の空爆で、1,408人が死亡したと発表、そのほとんどがダーイシュ(イスラーム国)戦闘員であることを明らかにした。

AFP, January 23, 2015、AP, January 23, 2015、ARA News, January 23, 2015、January 24, 2015、Champress, January 23, 2015、al-Hayat, January 24, 2015、Iraqi News, January 23, 2015、Kull-na Shuraka’, January 23, 2015、al-Mada Press, January 23, 2015、Masar Press Agency, January 23, 2015、,Naharnet, January 23, 2015、NNA, January 23, 2015、Reuters, January 23, 2015、SANA, January 23, 2015、UPI, January 23, 2015などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:シリア軍がダマスカス郊外県のハムーリーヤ市を爆撃、イスラーム軍が報復として首都を砲撃(2015年1月23日)

ダマスカス郊外県では、ARA News(1月23日付)などによると、シリア軍が金曜礼拝後の時間帯にハムーリーヤ市に対して空爆を行い、32人が即死(シリア人権監視団によると52人が死亡)、多数が重軽傷を負った。

地元の活動家らによると、空爆は市内の市場などに対して行われたという。

またシリア人権監視団によると、リーハーン村各所、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外をシリア軍が空爆、同地一帯で反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(1月23日付)によると、ドゥーマー市東部の郊外で、「テロ組織」による攻撃や蛮行から逃れ、避難していた住民数十世帯をシリア軍が保護し、ドゥワイル市の仮設住宅に移送した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(1月23日付)によると、マッザ86地区のブスターン検問所近くに迫撃砲弾1発が着弾し、兵士1人が死亡、3人が負傷した。

このへの砲撃に関して、『ハヤート』(1月24日付)によると、イスラーム軍は声明を出し、シリア軍による「一連の虐殺への報復」だと発表、砲撃を認めた。

またクッルナー・シュラカー(1月23日付)によると、イスラーム軍司令官のザフラーン・アッルーシュ氏は、25日に首都ダマスカスを砲撃すると脅迫、住民に外出を控えるよう警告した。

一方、SANA(1月23日付)は、マッザ86地区とバーブ・トゥーマー地区に迫撃砲弾複数発が着弾し、住民4人が負傷した、と伝えた。

このほか、シリア人権監視団によると、ジャウバル区をシリア軍が空爆し、反体制武装集団と交戦した。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハルハラ航空基地東部に位置するタッル・ダフラアでジハード主義武装集団と交戦の末、同地を奪還した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、アルマー町、アトマーン村、フラーク市、スーラ町、ヌアイマ村をシリア軍が「樽爆弾」などで空爆した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市、ヒザーリーン村、アブー・ズフール航空基地一帯をシリア軍が空爆した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サブア・バフラート地区、サラーフッディーン地区、サイファート村、ハンダラート・キャンプ一帯で、シリア軍、国防隊、バアス大隊が、ジハード主義武装集団と交戦した。

またシリア軍はフライターン市近郊の英国人墓地地区を空爆した。

AFP, January 23, 2015、AP, January 23, 2015、ARA News, January 23, 2015、Champress, January 23, 2015、al-Hayat, January 24, 2015、Iraqi News, January 23, 2015、Kull-na Shuraka’, January 23, 2015、al-Mada Press, January 23, 2015、Masar Press Agency, January 23, 2015、Naharnet, January 23, 2015、NNA, January 23, 2015、Reuters, January 23, 2015、SANA, January 23, 2015、UPI, January 23, 2015などをもとに作成。

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イドリブ、ハマーで、反政府デモ、反ヌスラ戦線デモ、親ヌスラ戦線デモ(2015年1月23日)

クッルナー・シュラカー(1月23日付)は、イドリブ県、ハマー県の複数の村で、シリア政府による「犯罪」を非難し、シリア革命反体制勢力国民連立および同暫定政府に対して国内の住民状況に関心を示すよう求めるデモが発生したと報じた。

またクッルナー・シュラカーによると、マアッラト・ヌウマーン市では、シャームの民のヌスラ戦線に市政への不関与を求めるデモと、ヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動への支持を訴えるデモが発生した。

AFP, January 23, 2015、AP, January 23, 2015、ARA News, January 23, 2015、Champress, January 23, 2015、al-Hayat, January 24, 2015、Iraqi News, January 23, 2015、Kull-na Shuraka’, January 23, 2015、al-Mada Press, January 23, 2015、Naharnet, January 23, 2015、NNA, January 23, 2015、Reuters, January 23, 2015、SANA, January 23, 2015、UPI, January 23, 2015などをもとに作成。

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