レバノンの動き:大統領選挙18度目の延期(2015年1月28日)

ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、大統領選挙(第2回投票)のための臨時会(18回目)が定足数に達しなかったことを受け、会合を2月18日に再び延期すると決定した。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエル軍がレバノン・シリア領(シャブアー農場、ゴラン高原)を砲撃:UNIFIL隊員死亡(2015年1月28日)

ナハールネット(1月28日付)などによると、イスラエルが占領するシャブアー農場(ナバティーヤ県ハースバイヤー郡)で、イスラエル軍の車輌が対戦車ミサイルで砲撃を受け、兵士2人が死亡、7人が負傷した。

イスラエル軍によると、ヒズブッラーが撃った対戦車ミサイルは6発で、うち3発がイスラエル軍車輌に命中、1発がガジャル村の家屋に着弾したという。

これに関して、ヒズブッラーは声明を出し、「クナイトラ殉教者団」を名のる部隊が攻撃を行ったと発表、19日にイスラエル軍によるゴラン高原アマル農場でのヒズブッラー車列への攻撃への報復であることを示唆した。

**

ヒズブッラーによる攻撃を受け、イスラエル軍は少なくとも50発の迫撃砲をレバノン領内に撃ち込んだ。

砲撃は、シャブアー農場に近いカフルシューバー、マジュディーヤ村、アッバースィーヤ村などに対して行われ、UNIFILスペイン部隊の隊員1人が死亡した。

スペイン外務省は声明を出し、イスラエル軍の砲撃により、UNIFILのスペイン部隊の隊員1人(36歳)が死亡したと発表した。

UNIFILによると、このスペイン部隊は、イスラエルが占領するガジャル村(ナバティーヤ県ハースバイヤー郡)に展開していた。

またUNIFILのルチアーノ・ポルトラノ司令官は、イスラエルの砲撃に関して、「国連安保理決議第1701号の深刻は違反」と非難した。

**

NNA(1月28日付)によると、イスラエル軍戦闘機が午前2時以降、レバノン南部一帯(シャブアー農場・カフルシューバー一帯、ヘルモン山一帯、ナバティーヤ県ハースバイヤー郡、ベカーア県ラーシャイヤー郡)上空に領空侵犯し、イスラエル軍の地上部隊もシャブアー農場一帯など国境地帯に展開したと伝えた。

複数のメディアによると、領空侵犯は、国境地帯でのヒズブッラーによる地下トンネルを探索し、掘削を抑止するためだという。

**

タンマーム・サラーム首相は、イスラエル軍によるレバノン南部への攻撃に関して「地域の平和や安定に寄与することのない危険な可能性への道を切り開くもの」と批判した。

また「レバノンは国連安保理決議第1701号を遵守している」と強調、国際社会に対して、イスラエルの敵意を制す」よう呼びかけた。

これに先立ち、レバノンの外務省は、ヒズブッラーによる越境砲撃に関して、「ブルーライン外に位置する占領下のレバノン領シャブアー農場で(イスラエル軍により)行われた作戦への報復」だと述べ、国際法上合法だとの見方を示した。

ヒズブッラーによる砲撃に関して、レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表は「ヒズブッラーにはレバノン軍と政府をイスラエルとの戦闘に巻き込む権限はない」と批判した。

ムスタクバル潮流も声明を出し、「レバノンの国益に資さない問題にレバノンを巻き込むようないかなる行動も拒否する」と発表し、非難した。

また進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は「波乱の時代に入った…。イスラエルがレバノンへの攻撃を行いかねず、警戒すべきだ」と懸念を表明した。

**

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヒズブッラーによる攻撃に関して、イスラエル軍は「どの前線でも、軍事行動を行う用意がある」としたうえで、「今日の攻撃の背後にいる者たちは高い代価を支払うことになるだろう」と述べた。

また「両国(レバノン、シリア)領内からイスラエルに対する攻撃がもたらす結果に対して、レバノン政府と(シリアの)アサド政権はともに責任がある」と付言した。

**

アラブ連盟のナビーフ・ビッリー事務総長は、イスラエル軍による報復攻撃に関して、「国連安保理はイスラエルの攻撃を停止させるため、責任を果たし、早急に介入するべきだ」と述べた。

**

パレスチナのハマースは、ヒズブッラーによる越境攻撃に関して、「シャブアー農場の敵への攻撃は占領の傲慢と敵意に対抗するレジスタンスにとっての合法的な権利である」と支持を表明した。

またイスラーム聖戦も、ヒズブッラーの越境攻撃を「英雄的作戦」と高く評価した。

**

一方、シリア領内では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍が深夜、クナイトラ県の第90旅団展開地域のシリア軍哨所複数カ所を空爆した。

この空爆と前後して、クナイトラ県とダマスカス県を結ぶサラーム街道一帯、レバノン国境に近いクワイル・ヤーブース一帯では、シリア軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦、シリア軍が砲撃を行った。

**

ナハールネット(1月28日付)によると、ベカーア県バアルベック郡ナフラ村郊外(ハシュア地区)で、シリア人武装集団がヒズブッラー戦闘員、シリア軍と交戦した。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム国がタッル・アブヤドでメンバーの離反・逃走を阻止するため、家族のラッカへの移動を要請、ラフマーン軍団がダーイシュ合流者を摘発(2015年1月28日)

ラッカ県では、ARA News(1月28日付)がトルコ国境に位置するタッル・アブヤド市の複数の消息筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)が外国人戦闘員に対し、家族を同市からラッカ市に移すよう要請するとともに、トルコへの通行規制を強化し、戦闘員の離反・逃走を阻止しようとしていると伝えた。

また、ARA News(1月29日付)によると、タッル・アブヤド市郊外のタッル・アフマル村(カリー・スール村)に対する米国など有志連合の空爆で、バシャーシマ部族の子息1人が死亡、2人が負傷した。

**

ダマスカス郊外県では、ラフマーン軍団総司令部が声明を出し、アイン・タルマー村で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓った「アブズ・ザイド・ジャウラーン」を名のる武装集団を摘発した、と発表した。

Kull-na Shuraka', January 28, 2015
Kull-na Shuraka’, January 28, 2015

**

アレッポ県では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が声明を出し、イラク・クルディスタン地域のペシュメルガ部隊とともにアイン・アラブ市郊外のクーラムト村、マトアム・スィーラーン一帯(アレッポ街道沿い)でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地を制圧した。

また、米国など有志連合の合同司令部によると、有志連合はアイン・アラブ市一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して13回にわたって空爆を行った。

ARA News(1月28日付)が伝えた。

一方、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が支配するダイル・ハーフィル市一帯、ジャディード村、ヒルバト・マアージール村などをシリア軍が空爆した。

このほか、ARA News(1月28日付)によると、マンビジュ市でダーイシュ(イスラーム国)が住民6人を「有志連合に内通」、「自由シリア軍に内通」しているとの罪で処刑した。

**

ハサカ県では、ARA News(1月28日付)によると、シャッダーディー市で、ダーイシュ(イスラーム国)が住民1人を処刑した。

**

ヒムス県では、SANA(1月28日付)によると、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

『ハヤート』(1月29日付)は、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガおよび米国など有志連合による、ニナワ県タッルアファル郡、モスル市一帯での攻勢を受け、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーの家族約150世帯がシリア領内に避難したと伝えた。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、January 29, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国内の暴力:ダマスカス郊外県などで激戦(2015年1月28日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市各所、アイン・タルマー村、フーシュ・ファーラ村、ザバダーニー市西部山岳地帯をシリア軍が激しく砲撃、またハラスター市一帯やカラムーン地方郊外無人地帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(1月28日付)によると、ドゥーマー市、リーハーン農場、ザバダーニー市東部郊外、マダーヤー農場で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、アクラバー村などでシリア軍と反体制武装集団が交戦、シリア軍が砲撃・空爆を加えた。

またクッルナー・シュラカー(1月28日付)によると、タファス市郊外の住宅密集地区で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、少なくとも10人が死亡した。

これに関して、カラムーン広報局長を名のる人物は、爆発直前に、シリア軍が無線で同地一帯の検問所に、「解放地区」に入る車輌4台の通行を許可するよう司令を出していたのを、「自由シリア軍」が傍受していたと主張した。

このほか、クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、シャームの民のヌスラ戦線がダルアー県シャイフ・マスキーン市の第82旅団基地制圧時に、シリア軍将兵複数を捕捉、そのなかにイラン人戦闘員1人が含まれていたと伝えた。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ザフラー協会地区、バニー・ザイド地区、ハーリディーヤ地区、マサーキン・サビール地区、ティシュリーン通り、ラーシディーン地区などで、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がジハード主義武装集団と交戦した。

**

ヒムス県では、SANA(1月28日付)によると、ジュッブ・ジャッラーフ町、マスアダ村、マクサル・ヒサーン村などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、アブー・ズフール町、タッル・サラムー町一帯、ハーン・シャイフーン市、トゥバイシュ村、タマーニア町、アームーディーヤ村、ヒーシュ村、カンスフラ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ラタキア県では、SANA(1月28日付)によると、アブー・クライスティーン農場、マジュダル・キーヒヤー村、ワーディー・シャイハーン村、ダルーシャーン村、マルジュ・シーリー村、ブルジュ・カバトゥー村、ナブア・サームール村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「モスクワ1」:シリア政府と反体制派の協議始まる(2015年1月28日)

開催3日目となるモスクワでのシリア政府(バッシャール・ジャアファリー国連代表大使が団長)と反体制派の和平交渉「モスクワ1」は、双方の代表者が初めて会した。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、双方に対して「テロの脅威に立ち向かうため足並みをそろえる」よう呼びかけるとともに、「我々は政治家、市民社会の代表が、テロとの戦いで足並みをそろえることの重要性を理解していると確信する…。シリア国民の統合を再生させるカギとなるべきだ」と強調した。

SANA, January 28, 2015
SANA, January 28, 2015

『ハヤート』(1月29日付)によると、午前中のセッションでは、反体制派代表者が以下10項目からなる要求を文書で示した。

1. (樽爆弾、「地獄の大砲」による)無差別攻撃の停止。

2. 言論犯、平和的活動家、女性、子供の釈放。

3. 人質、捕虜、とりわけ女性、子供の解放。

4. シリア全土への食糧、医療、人道支援物資の搬入許可。

5. 「シリア人権委員会」の設置と、同委員会による人道侵害問題への直接介入。

6. メディア独占の解除。

7. 上記6点を実施するための合同委員会の設置。

8. シリア国民に対して(欧米諸国、湾岸諸国が科している)経済制裁の解除に向けた行動。

9. 過去の逮捕に関するファイルの開示。

10. シリア国家への武器保有制限に向けた政治プロセス。

このうち10番目の項目に関しては、反体制派内でも賛否が分かれ、シリア軍内にクルド人部隊を特設する案や、自由シリア軍を特別部隊として温存する案などが示された。

また経済制裁解除に関する8番目の項目についても、シリア政府に資するとの反対意見が見られたという。

AFP, January 28, 2015、AP, January 28, 2015、ARA News, January 28, 2015、Champress, January 28, 2015、al-Hayat, January 29, 2015、Iraqi News, January 28, 2015、Kull-na Shuraka’, January 28, 2015、al-Mada Press, January 28, 2015、Naharnet, January 28, 2015、NNA, January 28, 2015、Reuters, January 28, 2015、SANA, January 28, 2015、UPI, January 28, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.