シリア・ムスリム同胞団は米大使館のエルサレム移転とイスラエルによるパレスチナ人抗議デモをめぐって、ロシアとイランを非難(2018年5月15日)

トルコで活動するシリア・ムスリム同胞団は声明を出し、米大使館へのエルサレムへの移転に抗議するパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧(14日)に関して、「世界で覇権を行使する大国、とりわけ超大国の米国とロシアが、国際法や人権憲章に無頓着であることのなかに、人間関係をおざなりにした介入姿勢を見て取ることができ、それは国際の平和と安全に資することはない」と非難した。

そのうえで国際社会に対して「パレスチナ人民に対する犯罪を人道的、政治的に非難し、1967年に(イスラエルが)占領した土地を正当な持ち主に返還する」よう呼びかけた。

一方、「アラブ連盟の役割を懐疑的に見ている」と非難、「パレスチナ人民、イラク人民、シリア人民をはじめとするアラブ世界の諸人民が置かれている不正と侵略、そしてイスラエルと宗派主義的サファヴィー朝(イラン)の占領に対処するための歴史的責任を負う」よう迫った。

**

なお、なお、シリア革命反体制国民連立も16日、米大使館へのエルサレムへの移転に抗議するパレスチナ人に対するイスラエルの弾圧に反対する声明を出している。

AFP, May 15, 2018、ANHA, May 15, 2018、AP, May 15, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2018、May 16, 2018、al-Hayat, May 16, 2018、Reuters, May 15, 2018、SANA, May 15, 2018、UPI, May 15, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダルアー県の反体制武装集団支配地域で戦闘員退去に向けた動き(2018年5月15日)

ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)は、複数の地元消息筋の話として、ロシアが、ダルアー県マハッジャ町を支配する反体制武装集団に対して、戦闘員およびその家族の退去(ないしは投降)について協議するための交渉委員会を設置するよう迫っていると伝えた。

同サイトによると、シリア軍も14日、同地の反体制武装集団に対して48時間以内に交渉委員会を設置するよう最後通告を行ったという。

マハッジャ町はダルアー市と首都ダマスカスを繋ぐ街道上に位置する要衝で、反体制武装集団の支配下にある。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍のヘリコプターがダルアー県北部のおよび東部の反体制武装集団支配地域の村や町に投降と和解を呼びかけるビラを散布した。

Google Map

**

イドリブ県では、ホワイト・ヘルメットがフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/SyriaCivilDef/)を通じて発表したところによると、シリア軍戦闘機がアリーハー市を爆撃し、女児2人が死亡、子供1人と女性1人が負傷した。

ホワイト・ヘルメットによると、爆撃はアウラム・ジャウズ村、ラーミー村に対しても行われたという。

Facebook, May 16, 2018

AFP, May 15, 2018、ANHA, May 15, 2018、AP, May 15, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2018、al-Hayat, May 16, 2018、Reuters, May 15, 2018、SANA, May 15, 2018、UPI, May 15, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒムス県北部、ハマー県南部から反体制武装集団戦闘員の退去が完了し、シリア軍が展開(2018年5月15日)

SANA(5月15日付)によると、ロシア仲介によるシリア政府と、ヒムス県北部・ハマー県南部の反体制武装集団の停戦合意(1日)に従い、シリア軍に重火器、中火器の引き渡しを完了した武装集団の戦闘員とその家族が、7~8、11~14日に引き続き、シリア政府によって準備された大型バス73台に分乗し、ヒムス県ムフターリーヤ村一帯からシャーム解放機構などの反体制武装集団の支配下にあるイドリブ県に退去した。

『ハヤート』(5月16日付)によると、これにより、同地から反体制武装集団の戦闘員とその家族2万7,350人以上の退去が完了した。

また、反体制武装集団の退去が完了した同地の村々にシリア軍が展開し、政府関連施設にシリア国旗を掲揚した。

al-Hayat, May 16, 2018

シリア軍が展開したのは、ハマー県の北カンタラ村、南カンタラ村、東ダミーナ村、ジューマクリーヤ村、バリーチース村、アイドゥーン村、ダラーク村、トゥルール・ハムル村、マザーザ村、ジャマーリーヤ村など。

AFP, May 15, 2018、ANHA, May 15, 2018、AP, May 15, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2018、al-Hayat, May 16, 2018、Reuters, May 15, 2018、SANA, May 15, 2018、UPI, May 15, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

首都ダマスカス南部でシリア軍がダーイシュに対する掃討戦を継続する一方、北部の国際幹線道路が復旧(2018年5月15日)

ダマスカス郊外県では、SANA(5月15日付)によると、シリア軍がハジャル・アスワド市北部一帯でダーイシュ(イスラーム国)に対する掃討戦を継続した。

一方、ダマスカス県北部では、ダマスカス郊外県東グータ地方が4月にシリア政府の支配下に復帰したことを受けて、アッバースィーイーン・バス発着所とバグダード橋を結ぶ国際幹線道路(ダマスカス・ヒムス街道)17キロの復旧が完了し、再開された。

SANA, May 15, 2018

AFP, May 15, 2018、ANHA, May 15, 2018、AP, May 15, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2018、al-Hayat, May 16, 2018、Reuters, May 15, 2018、SANA, May 15, 2018、UPI, May 15, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アスタナ9会議閉幕:ロシアのソチでシリア情勢への対応を協議するための国際会議を7月に開催することを確認(2018年5月15日)

カザフスタンの首都アスタナで14日に開幕していたシリア政府と反体制武装集団の停戦協議「アスタナ9会議」が2日間の日程を終え、閉幕した。

閉幕に際して、会議保障国のロシア、トルコ、イランは共同声明を発表した。

声明の骨子は以下の通り:

**

1. ソチでのシリア国民対話大会の提言実施を支援し、シリア問題担当国連特別代表およびシリアの当事者との協議を行うことで、国連安保理決議第2554号に基づく政治プロセス推進に向けた共同の取り組みを継続すること。
2. ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放機構)、アル=カーイダやダーイシュとつながりのある組織の根絶に向けた「テロとの戦い」を継続すること。
3. 緊張緩和地帯を、戦闘停止維持において「中軸的役割」を果たすものと位置づけ、設置にかかる覚書実行の重要性を確認すること。
4. 生活再建に向けてすべてのシリア人を支援するための取り組みを強化し、緊急人道支援の迅速且つ安全な配給を保障し、当事者間の信頼醸成に向けた取り組みを強化すること。
5. 逮捕者・捕虜の交換にかかる作業グループの会合を7月に開催すること。また、ロシアのソチでシリア情勢への対応を協議するための国際会議を7月に開催すること。

SANA(5月15日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)などが伝えた。

**

ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)によると、反体制派代表団(シリア軍事革命諸勢力代表団)は、共同声明に先立ってトルコの代表団と会談し、ヒムス県北部およびハマー県南部で現在推し進められている反体制武装集団戦闘員とその家族の退去、同地での停戦違反、イドリブ県におけるトルコ軍の監視所の設置などへの対応について協議した。

トルコ側は協議において、イドリブ県における停戦維持と安全の確保の必要を強調したという。

**

アスタナ9会議に参加するロシア代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使は記者会見を開き、米国の不参加を非難するとともに、反体制武装集団代表団の出席を高く評価した。

ラヴレンチエフ特使は「米国はアスタナ会議に常に(オブザーバーとして)参加していた。だが、今回はシリアでの問題解決に向けた国際社会の取り組みを支援するのを断念した。我々は遺憾の意を表明するとともに、交渉や対話を通じて問題解決に向けた複合的な手段を案出していきたい」と述べた。

ラヴレンチエフ特使はまた、シリアの反体制派が会議に参加したことに歓迎の意を示しつつ、ダマスカス郊外県東グータ地方、東カラムーン地方、ヒムス県北部・ハマー県南部での反体制武装集団の戦闘員と家族の退去に関して、この動きに対する反体制派からの異議申し立てへの「唯一の解決策は、殲滅だ」と述べた。

SANA(5月15日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(5月15日付)などが伝えた。

SANA, May 15, 2018

AFP, May 15, 2018、ANHA, May 15, 2018、AP, May 15, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 15, 2018、al-Hayat, May 16, 2018、Reuters, May 15, 2018、SANA, May 15, 2018、UPI, May 15, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは5件の停戦違反を、トルコ側は2件の違反を確認(2018年5月15日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(5月15日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(アレッポ県3件、ラタキア2件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも2件(アレッポ県1件、ダルアー県1件)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 15, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.