シャーム軍団に護衛されたトルコ軍部隊がシリア領内の監視所に向かうなか、トルコ諜報機関はYPGとの内通が疑われる第23師団を排除(2018年5月23日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、重火器を装備したシャーム軍団の車輌複数台に護衛され、トルコ軍の車輌30台あまりが、カフル・ルーサイン村に設置された通行上からシリア領内に進入し、シャフシャブー山やハマー県ムーリク市にある監視所に向かった。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月23日付)が複数の活動家の話として伝えたによると、トルコ諜報機関が、アアザーズ市を拠点とする反体制武装集団の連合体第2軍団から第23師団を排除した。

第23師団の排除は、同組織の腐敗や西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊との内通に関する情報をトルコ諜報機関が入手したのを受けた動きだという。

しかし、第23師団のラーイド・シャイフ司令官は、ドゥラル・シャーミーヤに対して、排除されたとの情報を否定した。

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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ミクダード外務在外居住者副大臣「ヒズブッラーやイラン・イスラーム革命防衛隊が撤退するか残留するかは、シリア政府のみにかかわる問題」(2018年5月23日)

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、スプートニク(5月22日付)のインタビューに応じて、そのなかで、レバノンのヒズブッラーやイラン・イスラーム革命防衛隊の処遇に関して「この問題(ヒズブッラーやイラン・イスラーム革命防衛隊のシリアからの撤退)は議題として提起されていない。我々が誰であれ、この問題を提起することを認めない」と強く否定した。

ミクダード外務在外副大臣は「シリア政府の招きによってシリア領内で駐留している部隊の撤退、残留は、シリア政府のみにかかわる問題だ。なぜなら、それはシリア・アラブ共和国の主権のもとで、他でもないシリア領内にいる者によって行われるものだからだ」と述べた。

一方、トルコに関しては、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を「善隣外交を維持せず、近隣諸国を破壊した…。アフリーン市占領がその証拠だ」と非難する一方、「我々はみな、これまでもそして今後もトルコ国民の善意に期待している。我々はトルコ国民に復興プロセスを支援して欲しいと思っている…。トルコ政府によるテロ支援を止めさせてもらいたいと考えている…。アフリーンなどを占領するトルコ軍をトルコ国民に撤退させてもらいたい…。両国民のために良好な関係を復活させたい」と述べた。

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、Sputnik News, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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前日に続いて、トルコの支援を受けるシャーム軍団のメンバーがイドリブ県で暗殺される(2018年5月23日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月23日付)によると、イドリブ市とマアッラトミスリーン市を結ぶ街道で、トルコの支援を受けるシャーム軍団の車輌が爆弾の爆発に巻き込まれ、戦闘員3人が死亡した。

なお、22日には、タッルアーダ村近郊で、シャーム軍団の検問所が何者かの襲撃を受け、同戦闘員2人が殺害されている。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が県北部のラターミナ町およびその一帯を砲撃した。

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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イランの航空機が12イマーム派が住むフーア市、カファルヤー町に物資を投下(2018年5月23日)

シリア軍およびその同盟勢力の軍事攻勢を分析するサイト「ノールス研究センター」は、テレグラムのアカウントを通じて、イランの航空機が、シャーム解放機構が主導する反体制派の包囲を受けているイドリブ県フーア市とカファルヤー町に物資を投下したと伝え、その写真を公開した。

フーア市とカファルヤー町の住民はほとんどが12イマーム派で、内戦前の人口は約5万人、現在は、フーア市に1万3,000人、カファルヤー町に8,000人が暮らしている。

Nors for Studies, May 23, 2018
Nors for Studies, May 23, 2018

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Nors for Studies, May 23, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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ダイル・ザウル市近郊のユーフラテス川左岸のシリア軍拠点を米主導の有志連合とYPG主体のシリア民主軍が激しく爆撃・砲撃(2018年5月23日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月23日付)によると、米主導の有志連合が22日晩、シリア政府の支配下にあるアイヤーシュ村、ブガイリーヤ村にあるシリア軍と親政権民兵(イランの民兵)の拠点を爆撃した。

『ハヤート』(5月24日付)が複数の活動家や地元住民の話として伝えたところによると、有志連合の爆撃は第137旅団基地などにも及んだという。

またこれと並行して、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とシリア軍が交戦、シリア民主軍はアイヤーシュ村のシリア軍拠点を砲撃した。

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一方、SANA(5月23日付)によると、シリア軍がマヤーディーン市西方の砂漠地帯に侵攻したダーイシュ(イスラーム国)と交戦、これを撃退した。

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ハサカ県では、『ハヤート』(5月24日付)が複数の軍消息筋の話として伝えたところによると、米主導の有志連合が、県南部のジャラール村とタッル・シャーイル村を結ぶ街道を爆撃し、ダーイシュ(イスラーム国)幹部の1人でエジプト人のウマル・アリー氏とシリア人メンバー1人を殺害した。

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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ロシアのアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使がアサド大統領と会談し、復興や政治プロセスにロシアがこれまで以上に参加する意向だと伝える(2018年5月23日)

アレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使(アスタナ会議のロシア代表団長)がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA, May 23, 2018

会談で、ラヴレンチエフ特使は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県の全土解放に対するヴラジミール・プーチン大統領の祝意を伝え、シリアでのテロリスト根絶と全土解放に向けて「テロとの戦い」を引き続き協力することを確認した。

また、2018年1月のソチでのシリア国民対話大会の成果を実施するための仕組みを確立することが重要だとしたうえで、「テロとの戦い」を継続するとともに、復興や政治プロセスにロシアがこれまで以上に参加する意向であると伝えた。

これに対して、アサド大統領は、一部諸外国が、政治プロセスを妨害するなどして、現実と乖離した動きを続けていると指摘、これらの国が政治的な現実を受け入れ、テロ支援を停止すべきだとの考えを伝えた。

SANA(5月23日付)が伝えた。

AFP, May 23, 2018、ANHA, May 23, 2018、AP, May 23, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2018、al-Hayat, May 24, 2018、Reuters, May 23, 2018、SANA, May 23, 2018、UPI, May 23, 2018などをもとに作成。

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ロシア軍参謀本部:緊張緩和地帯とシリア政府支配地域を隔てる境界地帯に、ロシアは10カ所、トルコは12カ所、そしてイランは7カ所の監視所(2018年5月23日)

ロシア軍参謀本部機動総局のセルゲイ・ルドスコイ局長はモスクワの国防省で記者会見を開き、シリア情勢の進捗についての説明を行った。

Ministry of Defense of Russia, May 23, 2018

記者会見の骨子は以下の通り:


ロシア軍の支援を受けるシリア軍は1月以降、イドリブ県東部、首都ダマスカス近郊、東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ヒムス県北部をテロ組織の支配から解放した。

1月から2月にかけて、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)の戦闘員1,500人強および同程度のダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殲滅した。

イドリブ県東部、アレッポ県西部、ハマー県北部の4,300平方キロをシリア軍が解放した。

アレッポ市とハマー市を結ぶ国際幹線道路が再開し、イドリブ県西部(反体制派支配地域)で暮らしていた市民9,573人がアレッポ県に帰還した。

アスタナ会議での合意に基づき、緊張緩和地帯とシリア政府支配地域を隔てる境界地帯に、ロシアは10カ所、トルコは12カ所、そしてイランは7カ所の監視所を設置した。

当事者和解調整センターは、東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプでのシリア軍の人道作戦を監督し、戦闘員2万8,725人と住民18万8,234人を退去・脱出させた。

パレスチナ難民キャンプで活動を続けてきたダーイシュは根絶され、同地は現在(パレスチナ諸派ではなく)シリア軍の支配下にある。

同地のダーイシュ戦闘員の一部には、当事者和解調整センターの活動により、投降し、恩赦を受け入れるか、イドリブ県に家族とともに退去する機会が与えられ、3,283人が同地を退去した。

ヒムス県北部の緊張緩和地帯でも、投降・恩赦か退去を選択する同様のプロセスが進められ、ラスタン市、タルビーサ市などで活動を続けてきた戦闘員1万3,407人が、イドリブ県とアレッポ県ジャラーブルス市に退去した。

シリアでテロ組織に対する軍事作戦によって被害が生じた地域の復興、さらには経済支援には、国際社会から支援を得る必要があり、国連や国際社会は言葉ではなく、行動によってシリア復興に貢献すべきである。

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また、ユリ・エヴトゥシェンコ(Yuriy Evtushenko)中将らも、テレビ会議システムを通じて、当事者和解調整センターの活動についての報告を行った。

報告の骨子は以下の通り:

4月にシリア政府の支配下に復帰した東グータ地方では、6万6,257人が帰還した。

ロシア軍憲兵隊が東グータ地方、東カラムーン地方、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ラスタン市、タルビーサ市での警備活動を実施している。

ヒムス県では、2017年11月以降、1万3,763人が帰還した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 23, 2018をもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは4件の停戦違反を、トルコ側は1件の違反を確認(2018年5月23日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(5月23日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(アレッポ県)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも1件(イドリブ県)の停戦違反を確認したという。

CENTCOM, May 23, 2018をもとに作成。

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ロジャヴァ支配下の住民はロジャヴァとシリア政府の「二重課税」に苦しむ(2018年5月23日)

『ハヤート』(5月23日付)は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)支配下が、ロジャヴァとシリア政府の「二重課税」の負担で喘いでいると伝えた。

ロジャバとシリア政府が分割統治(共同支配)するカーミシュリー市の中心街にある布市場(スーク・アクミシャ)での女性用の衣服を販売しているナビール・アーダム氏(34歳)は、「(ロジャヴァとシリア政府に)2度税金を払うことは、私たちの家族にとって負担です。私たちの利益は小さなものですし、市場の動きも活発ではないですから」と述べた。

化粧品店を営むファーイズ・アッバース氏(35歳)も「税金はとても高いのですが、医療福祉、水、電気もありません…。私たちには税金がどこに言ってしまったのか知る権利があります…。市民こそが、どこに福祉が提供され、治安が確保され、燃料が充分に供給されるかを決めるべきです」と不満を漏らした。

AFP, May 22, 2018、ANHA, May 22, 2018、AP, May 22, 2018、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2018、al-Hayat, May 23, 2018、Reuters, May 22, 2018、SANA, May 22, 2018、UPI, May 22, 2018などをもとに作成。

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