イスラエル軍はゴラン高原上空に飛来したシリア軍無人航空機を撃墜(2018年7月11日)

イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ(Avichay Adraee)報道官は、モスクワでのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヴラジミール・プーチン大統領の会談の数時間前シリア領内から占領下のゴラン高原にシリア軍の無人航空機が飛来したとしたうえで、イスラエル軍の防空システムがこれを撃墜したと発表した。

アドライ報道官は、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/avichayadraee)で、飛来したシリア軍無人航空機を撃墜する映像を公開した。

 

https://www.facebook.com/ShehabAgency.MainPage/videos/2797069757002093/

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエルのネタニヤフ首相はロシアのプーチン大統領との会談でゴラン高原に隣接する地域のシリア政府の支配回復に柔軟な姿勢を示す(2018年7月11日)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がロシアを訪問し、首都モスクワでヴラジミール・プーチン大統領と会談した。

『ハヤート』(7月12日付)によると、プーチン大統領は会談冒頭、両国の政治軍事分野での協力関係の維持強化の必要を強調した。

一方、ネタニヤフ首相は、イスラエルの領空・領土侵犯を徹底阻止するとして、イランの脅威に対抗する姿勢を示す一方、占領下のゴラン高原に隣接するダルアー県、クナイトラ県のシリア政府による支配回復に対して柔軟な姿勢を示した。

ロシア消息筋は『ハヤート』に対して、16日にフィンランドの首都ヘルシンキで予定されているプーチン大統領とドナルド・トランプ米大統領の会談に先立つこの首脳会談が、「ロシアが航空支援を行うシリア南西部での作戦により、シリア軍が制圧地域を拡大するなかで、非常に重要な意味を持つ」としたうえで、「ゴラン高原に面する境界地域で今日(11日)に作戦が開始されたことは、シリア軍が1974年の兵力引き離し協定を遵守することを条件に、イスラエルが青信号を出したことを受けた動きだ」と述べた。

同消息筋はまた、シリア軍が占領下のゴラン高原に向けて進軍することにイスラエルが柔軟な姿勢を示す一方、イランとその民兵が同地に接近することについては、譲歩はしなかった、と付言した。

これに対して、ロシア側は、「イスラエルがシリア領内の拠点を爆撃することを黙認する一方で、イランに対してシリアからの撤退は、シリア政府に関わる問題であるために要求はできない」との姿勢で応じているという。

**

こうしたなか、イランのアリー・アクバル・ヴェラーヤティー最高指導者顧問が、最高指導者アリー・ハーメネイー師とハサン・ロウハーニー大統領の親書を携えて、モスクワに到着した。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアの仲介により、イスラエル占領下ゴラン高原に隣接する地域で活動を続けてきた反体制派が停戦に応じる(2018年7月11日)

『ハヤート』(7月12日付)は、反体制派筋の話として、クナイトラ県(イスラエル占領下のゴラン高原)に面する県南西部で活動を続ける反体制武装集団(南部中央作戦司令室)とシリア政府の停戦に向けた交渉がダルアー県のブスラー・シャーム市で行われた。

交渉を仲介するロシア軍当事者和解調整センターは、反体制武装集団に対して、占領下のゴラン高原を見下ろすことができる戦略的要衝のハーッラ丘、カビール丘、サギール丘、サマン丘、ジャービヤ丘、ハムル丘(クナイトラ県)と、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うハーリド・ブン・ワリード軍の支配下にあるヤルムーク川河畔地域に面する丘陵地帯を引き渡すよう要求しているという。

SANA(7月11日付)も、特派員が、ダルアー市ダルアー・バラド地区で活動を続けるシャーム解放機構などからなる反体制武装集団(南部中央作戦司令室)とシリア政府の停戦合意が成立したとの情報があると伝えた。

同特派員によると、停戦合意は、ダルアー市ダルアー・バラド地区、ダム街道、避難民キャンプ、サジュナ地区、マンシヤ地区、ガラズ刑務所一帯、穀物サイロ一帯で活動を続けていた武装集団による重火器・中火器の引き渡しを骨子とするという。

**

しかし、南部戦線のハーリド・ナーブルスィー大佐は、同地がシリア政府との停戦に応じていないと述べ、これを否定した。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領の長男ハーフィズ氏が第59回国際数学オリンピック(IMO)ルーマニア大会に参加(2018年7月11日)

AFP(7月11日付)は、ルーマニア中部のクルジュ=ナポカ市で開催されている第59回国際数学オリンピック(IMO)ルーマニア大会にアサド大統領の長男のハーフィズ・アサド氏が参加していると伝え、写真を掲載した。

第59回IMOルーマニア大会には、615人の学生が参加している。

ハーフィズ氏は6人からなるシリア代表の学生の1人として参加している。

ハーフィズ氏は2017年の第58回IMOリオデジャネイロ大会にも参加し、参加した615人中528位の成績だった。

クルジュ=ナポカ市の学校教育監査団の代表を務めるヴァレンティン・クイバス(Valentin Cuibus)氏はAFPに対して「彼は、普通の学生と同じように扱われたいと考えていて、そのように行動しています。彼は18カ国からやってきたほかの学生達とともにホテルとチェックインしました」と語った。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アンサール・イスラームは10日のラタキア県アティーラ村一帯でのシリア軍拠点攻撃の詳細を明かす(2018年7月11日)

アンサール・イスラームはビデオ声明を出し、10日のラタキア県アティーラ村一帯のシリア軍拠点に対する攻撃の詳細を明らかにした。

声明によると、アンサール・イスラームは信仰の騎士(フルサーン・イーマーン)を名のある武装集団とともに、シリア軍の拠点9カ所に対して特攻攻撃を大内、60人余りを殺傷したという。




https://youtu.be/SqhHwonDz7k

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制派系サイトはシリアでのロシアの軍事作戦をUAEが資金援助していることを示す空軍情報部の内部文書を入手・公開(2018年7月11日)

シリアン・ミラー(7月7日付)は、UAEがシリア国内でのロシア軍の軍事作戦に協力していたことを示すシリアの空軍情報部の内部文書2点を入手したと伝え、その画像を公開した。

公開された内部文書は、2017年9月と2018年2月に作成されたもので、いずれもUAEがロシア軍の介入に資金援助したことを明確に示しているという。

2017年9月の文書は、エジプトの空軍情報部の士官(ムハンマド・シャウキー)からシリアの空軍情報部のズィヤード・イスビル中佐に宛てた書簡で、「アブドゥルファッターフ・スィースィー大統領が代表を務めるエジプト指導部は、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子に対して、シリア全土をテロから解放するまで、ロシアの軍事的取り組みを支援しつづけるよう最大の努力を払っている」と記されている。

また、この文書は、シリア・ガド潮流代表を務めるアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー氏、アブドゥッサラーム・ナジーブ氏ら反体制活動家が、ヒムス県北部をシリア政府に引き渡すために行っていた活動へのエジプトの外務局、の関与についても言及している。

2018年2月の文書には、航空調査局調査課長のサーリム・ダーギスターニー大佐から空軍情報部長のジャミール・ハサン少将に宛てた書簡で、UAEに近い反対背活動家のハーリド・ムハイミード氏に対する聴取内容についての報告がなされている。

ムハイミード氏は、ダルアー県南部のシリア政府への引き渡しにおいて役割を果たした人物で、文書には、UAEがロシアに対して反体制武装集団殲滅に向けた作戦を2018年末前まで猶予するよう求めていたとの同氏の証言が記されている。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、Syrian Mirror, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍がダルアー県南西部のダーイシュ(ハーリド・ブン・ワリード軍)支配地域に初の爆撃を実施(2018年7月11日)

ダルアー県では、シリア人権監視団、『ハヤート』(7月12日付)によると、ロシア・シリア両軍が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うハーリド・ブン・ワリード軍の支配下にある県南西部のヤルムーク川河畔を爆撃した。

爆撃は、同地の拠点都市であるサフム・ジャウラーン村、アドワーン村に対して行われた。

ロシア軍がハーリド・ブン・ワリード軍の支配地域を爆撃するのは今回が初めてだという。

また、シリア軍も同地を砲撃した。

これに対して、ハーリド・ブン・ワリード軍は、シリア政府との停戦に応じた反体制武装集団の支配下にあったハイト村一帯を攻撃、シリア軍と交戦した。

ハーリド・ブン・ワリード軍は、爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行うなどして、ハイト村への攻勢を強めるとともに、同村に隣接するザイズーン村を砲撃したという。

syria.liveuamap.com, July 11, 2018

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍がアレッポ県アフリーン郡を砲撃(2018年7月11日)

アレッポ県では、ANHA(7月11日付)によると、トルコ軍がアフリーン郡シーラーワー町近郊のビーニー村を激しく砲撃した。

一方、トルコの支援を受ける北部旅団とシャーム戦線の戦闘員が、ムーバーター村近郊のクーバーカ村を襲撃し、住民10人を拉致した。

また末裔大隊を名乗る武装集団がムムーバーター村近郊のサーリヤー村の民家4軒を焼き討ちにした。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府との合意に従い、YPGはハサカ市ヌシューワ地区から撤退、シリア軍が同地に進駐(2018年7月11日)

ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月11日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、ハサカ市ヌシューワ地区から撤退、これに代わってシリア軍部隊が同地に進駐し、検問所を設置した。

ヌシューワ地区の移譲は、ハサカ県内でのYPGとシリア軍の合同検問所とシリア軍徴兵事務所の設置などにかかる合意(7月3日に親政権日刊紙『ワタン』などが報じる)を受けたものだという。

**

一方、ラッカ県タブカ市一帯地域の自治を担う西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)傘下のタブカ地区民主民政局は声明を出し、タブカ・ダム(ユーフラテス・ダム)の管理をめぐってシリア政府とロジャヴァが折衝を行っているとの親政権紙『ワタン』の報道に関して、シリア軍がタブカ市一帯に進駐することはないと述べ、これを否定した。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はダルアー県北西部のアシュアリー丘とジッリーン村を制圧(2018年7月11日)

ダルアー県、SANA(7月11日付)によると、シリア軍が県北西部でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団(南部中央作戦司令室)に対する掃討戦を継続し、アシュアリー丘、ジッリーン村方面に進軍した。

『ハヤート』(7月12日付)によると、シリア軍はアシュアリー丘とジッリーン村を制圧し、支配地域を拡大しているという。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はヨルダン国境の制圧地域で英国製装甲車、米国製武器を発見(2018年7月11日)

ダルアー県では、SANA(7月11日付)によると、シリア軍がナスィーブ国境通行所に至るヨルダン国境の制圧地域で地雷・爆発物の撤去作業を継続、英国製装甲車1輌や米国製四輪駆動車、TOW地対地ミサイルなどの武器・弾薬多数を発見、これを押収した。

https://youtu.be/7FjCaCfgnKU

また、ロシア軍当事者和解調整センターの仲介によるシリア政府と南部中央作戦司令室の停戦合意(6日)を受け、UNESCO世界文化遺産の円形劇場を擁するブスラー・シャーム市で活動していた武装集団がシリア軍に重火器の引き渡しを引き続き行った。

さらに、シリア政府との停戦に応じたダルアー県南部の市町村のうち、シリア軍が進駐せずに、依然として反体制武装集団の支配下にあるタファス市、ムザイリーブ町、ヤードゥーダ村をロシア軍憲兵隊の使節団が視察した。

AFP, July 11, 2018、ANHA, July 11, 2018、AP, July 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 11, 2018、al-Hayat, July 12, 2018、Reuters, July 11, 2018、SANA, July 11, 2018、UPI, July 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは3件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年7月11日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(7月11日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(アレッポ県1件、ラタキア県4件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも3件(イドリブ県)の停戦違反を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 11, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.