イドリブ県ザーウィヤ山に設置されているトルコ軍監視所をシリア軍が砲撃、兵士3人が負傷。ロシアは反体制派による砲撃だと主張(2019年6月13日)

トルコ国防省は声明を出し、イドリブ県ザーウィヤ山に設置されているトルコ軍の監視所が12日晩にシリア軍の砲撃を受け、兵士3人が軽傷を負ったと発表した。

監視所に着弾した砲弾は35発におよび、声明では攻撃が意図的なものだとして、ロシア側に抗議を行ったとしている。

なお、トルコ国防省は当初、砲撃を受けたのがハマー県郊外に設置されているトルコ軍の監視所の一つと発表、ドゥラル・シャーミーヤ(6月13日付)などは、狙われたのがシール・マガール村近郊の監視所だと伝えていた。

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砲撃を受け、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が12日晩に緊急閣議を開き、対応について協議した。

イブラヒム・カリン大統領府報道官は報道声明を出し、「イドリブ県で起きていることは我々の懸念をかき立てており、我々は関係各機関に事態についての説明を行った…。我々は、トルコを挑発するようなシリア政府の攻撃を停止させるためにロシアとの連絡を続ける」と発表した。

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しかし、ロシア外務省は13日に声明を出し、イドリブ県ザーウィヤ山に設置されているトルコ軍の監視所がシリア軍ではなく、反体制武装集団の攻撃を受けたと発表した。

声明によると、この攻撃を受けて、トルコ側がロシア側に、トルコ軍兵士の安全確保と武装集団の拠点への攻撃のための支援を要請、ロシア軍が反体制武装集団の拠点複数カ所に対して爆撃を実施、トルコ軍の拠点を砲撃した砲台1カ所、大規模拠点1カ所を破壊した。

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これに対して、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、アンカラでのフランスのジャン=イヴ・ル=ルドリアン外務大臣との会談で、ザーウィヤ山に設置されているトルコ軍監視所への砲撃に関して「意図的なものだ」と厳しく非難したうえで、「トルコは攻撃が続く場合、必要なことを行うだろう…。我々はロシアとこうした攻撃を食い止めるために努力したいと考えている…。戦闘が完全に停止しているなどと言うことはできない」と述べた。
アナトリア通信(6月13日付)が伝えた。

AFP, June 13, 2019、Anadolu Ajansı, June 13, 2019、ANHA, June 13, 2019、AP, June 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 13, 2019、al-Hayat, June 14, 2019、Reuters, June 13, 2019、SANA, June 13, 2019、SOHR, June 13, 2019、UPI, June 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ市で3度にわたって爆発が発生(2019年6月13日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ市で3度にわたって爆発が発生した。

1度目の爆発はフィルドゥースモスク近く、2度目はマシュハダーニー病院近く、3度目はラシード公園内の喫茶点内で発生した。


ANHA(6月13日付)によると、男性1人が負傷した。

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同じく、ラッカ県では、ANHA(6月14日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がラッカ市内で特殊作戦を敢行し、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー7人からなるスリーパー・セルを摘発、武器・弾薬、通信機器などを押収した。

AFP, June 13, 2019、ANHA, June 13, 2019、June 14, 2019、AP, June 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 13, 2019、al-Hayat, June 14, 2019、Reuters, June 13, 2019、SANA, June 13, 2019、SOHR, June 13, 2019、UPI, June 13, 2019などをもとに作成。

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停戦発効にもかかわらず、シリア・ロシア軍の攻撃は続き、民間人26人が死亡(2019年6月13日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから44日目となる6月13日、ロシアとトルコの後援によりシリア軍と反体制派の停戦が発効したものの、戦闘は収束せず、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より26人(民間人7人、シリア軍兵士12人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて1,541人となった。

うち、406人が民間人(女性85人、子供97人を含む)、516人がシリア軍兵士、621人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は106回以上を、投下した「樽爆弾」の数は12発以上を記録、ロシア軍戦闘機も4回の爆撃を実施した。

また、シリア軍地上部隊による砲撃は480発以上におよんだ。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ムーリク市、ラターミナ町、ハスラーヤー村、ザカート村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでラターミナ町に「樽爆弾」を投下した。

この爆撃で、カフルズィーター市では民間人1人が死亡した。

またシリア軍は地上部隊がカフルズィーター市、ムーリク市を砲撃した。

一方、SANA(6月13日付)によると、シリア軍がハマーミーヤート村、ジャビーン村一帯に侵攻しようとした反体制武装集団と交戦、これを撃退した。
https://www.sana.sy/wp-content/uploads/2019/06/483-660×330.jpg

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・スブル村および同地周辺の灌木地帯、カフルバッティーフ村、タフタナーズ航空基地一帯、ハーン・シャイフーン市、フバイト村、ジャバーラー村、マアッルズィーター村、マアッラータ村、ジューズィフ村、マアッラト・ハルマ村、イフスィム町、バアルブー村、マダーヤー村、スフーフン村、シャイフ・ムスタファー村、トゥラムラー村、ハーッス村、カンスフラ村、カフルナブル市一帯、カルサア村、マアッラト・スィーン村、マアッラト・ヌウマーン市一帯に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでトゥラムラー村、マアッラト・ハルマ村、ハーン・シャイフーン市、アービディーン村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がシャフシャブー山、ハーン・シャイフーン市、フバイト村、アーミリーヤ村、マアッラト・ハルマ村、マウカ村、アービディーン村、ナキール村、ウライニバ村、トゥラムラー村、カフルナブル市、カフルサジュナ村、フワイジャ村、ハウワーシュ村、ザイズーン火力発電所を砲撃した。

ロシア軍もトゥラムラー村を爆撃した。

これにより、マウカ村では砲撃で女性1人を含む民間人4人が死亡、ハーン・スブル村では爆撃で1人が死亡した。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月13日付)によると、マウカ村への爆撃でクラスター弾が使用され、死亡したのは国内避難民だという。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がトルコマン山一帯を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を13件(ラタキア県5件、アレッポ県2件、ハマー県6件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を17件(イドリブ県5件、ハマー県12件)確認した。

AFP, June 13, 2019、ANHA, June 13, 2019、AP, June 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 13, 2019、al-Hayat, June 14, 2019、Reuters, June 13, 2019、SANA, June 13, 2019、SOHR, June 13, 2019、UPI, June 13, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから345人、ヨルダンから777人の難民が帰国、避難民822人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者808人)が帰宅(2019年6月13日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(6月13日付)を公開し、6月12日に難民1,122人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは345人(うち女性103人、子供176人)、ヨルダンから帰国したのは777人(うち女性233人、子供396人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は259,538人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者88,714人(うち女性26,767人、子ども45,163人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者170,824人(うち女性51,278人、子ども87,107人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 488,818人(うち女性146,703人、子供249,192人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,638,968人(うち女性1,991,690人、子供3,385,874人)。

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一方、国内避難民822人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは14人(うち女性5人、子供7人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは808人(うち女性270人、子供416人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は44,736人(うち女性14,413人、子供20,398人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,299,954人(うち女性392,126人、子供657,774人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した808人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は808人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 13, 2019をもとに作成。

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