シャーム解放機構によってイドリブ県の自治を委託されているシリア救国内閣は職員に前線での戦闘に従軍するよう呼びかける(2019年6月16日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構によって、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域の自治を委託されているシリア救国内閣は声明を出し、職員に対して前線での戦闘に従軍し、シリア、ロシア軍の攻撃を撃退するよう呼びかけた。

AFP, June 17, 2019、ANHA, June 17, 2019、AP, June 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 17, 2019、al-Hayat, June 18, 2019、Reuters, June 17, 2019、SANA, June 17, 2019、SOHR, June 17, 2019、UPI, June 17, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー県北部にあるトルコ軍監視所がシリア軍の砲撃を受け、トルコ軍が応戦。ロシアはトルコ軍の応戦を厳しく非難するとともに、シリア軍に応戦しないよう要請(2019年6月16日)

トルコ国防省は声明を出し、ハマー県北部のムーリク市近郊に設置されているトルコ軍の監視所(第9監視所)がシリア政府支配地域からの攻撃を受け、トルコ軍部隊が重火器で直ちに応戦したと発表した。

この攻撃による人的被害はなかったという。

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トルコ軍の反撃に関して、フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍のアレクサンドル・イヴァノフ報道官はテレグラムを通じてコメントを発表、「ハマー県郊外でトルコ軍が行った攻撃は受け入れられない」としたうえで、「トルコ側は、シリア軍による砲撃への嫌疑に基づいて、軍事的報復を行う前に、緊張緩和地帯にある(トルコ軍)監視所にまで攻撃が及んだことについて調査すべきだ」と批判した。

そのうえで「事態の収拾がなされ、シリア・トルコ両軍の戦闘が回避されるよう、うシリア軍に対して、この地域にあるトルコ軍の監視所に対して応戦しないよう指南した」と付言した。

AFP, June 16, 2019、ANHA, June 16, 2019、AP, June 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 16, 2019、al-Hayat, June 17, 2019、Reuters, June 16, 2019、SANA, June 16, 2019、SOHR, June 16, 2019、UPI, June 16, 2019などをもとに作成。

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シリア・ロシア軍による空爆・砲撃が続くなか、シャーム解放機構がアレッポ県ワディーヒー村を砲撃し、民間人12人が死亡(2019年6月16日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア軍が攻撃を激化させてから47日目となる6月16日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より5人(民間人3人、シリア軍兵士および反体制武装集団戦闘員2人)増えて1,643人となった。

うち、428人が民間人(女性90人、子供102人を含む)、548人がシリア軍兵士、667人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は100回を記録、シリア軍地上部隊による砲撃は600発以上におよんだ。

ロシア軍戦闘機の爆撃は記録されなかった。

なお、シリア人権監視団が発表した民間人犠牲者数(3人)のなかに、反体制武装集団によるシリア政府支配地域への攻撃で死亡した民間人12人は含まれていない。

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アレッポ県では、SANA(6月16日付)によると、ハーン・トゥーマーン村やアレッポ市西部のラーシディーン地区を支配下に置くシャーム解放機構がワディーヒー村を砲撃し、民間人12人が死亡、15人が負傷、住宅などに被害が出た(シリア人権監視団によると、18歳以下の4人を含む民間人11人が死亡、16人以上が負傷)。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でICARDA、バウワービーヤ村、アレッポ市西部のムハンディスィーン地区に対して爆撃を実施、地上部隊がカンマーリー村、ジャズラーヤー村、アレッポ市ラーシディーン地区、ハーン・トゥーマーン村、ハーン・アサル村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村、アルバイーン村、アブー・ライーダ村、ムーリク市、サイヤード村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村に対して爆撃を実施、地上部隊がタッル・フワーシュ村、ハミーラート村、カフルズィーター市、ムーリク市、タッル・ミルフ村、ジャビーン村を砲撃した。

一方、SANA(6月16日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のムハルダ市を砲撃し、住宅などに被害が出た。

これに対して、シリア軍はサイヤード、カヌルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村、ハスラーヤー村にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

他方、トルコの支援を受ける国民解放戦線は「必勝」の戦いの一環としてハルダーナー村でシリア軍の車輌3台を破壊したと発表した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でシャフシャブー山、ハーン・シャイフーン市およびその一帯、フバイト村一帯、マアッラト・ヌウマーン市一帯、スィフヤーン村、ハーッス村、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、タッルアース村、ヒーシュ村、カンスフラ村、カフル・ウワイド村に対して爆撃を実施、地上部隊がマアッラト・ハルマ村、ハーン・シャイフーン市一帯、スフーフン村、ファッティーラ村を砲撃した。

一方、SANA(6月16日付)によると、シリア軍がヒーシュ村、アービディーン村、シャイフ・ムスタファー村一帯のシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

これに対して、トルコの支援を受ける国民解放戦線は「必勝」の戦いの一環として、カッサービーヤ村一帯でシリア軍の14.5ミリ砲を破壊、兵士7人を殺害したと発表した。

またシャーム解放機構も同地でシリア軍の砲台を破壊したと発表した。

 

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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月16日付)によると、正体不明の武装集団がフラーク市にあるフラーク区庁舎を襲撃した。

また15日夜にも武装集団がマハッジャ町にあるシリア軍治安部隊の詰所を襲撃したという。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を14件(ラタキア県10件、ハマー県3件、アレッポ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を19件(アレッポ県1件、ハマー県18件)確認した。

AFP, June 16, 2019、ANHA, June 16, 2019、AP, June 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 16, 2019、al-Hayat, June 17, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 16, 2019、Reuters, June 16, 2019、SANA, June 16, 2019、SOHR, June 16, 2019、UPI, June 16, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから329人、ヨルダンから825人の難民が帰国、避難民16人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年6月16日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(6月16日付)を公開し、6月15日に難民1,154人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは329人(うち女性99人、子供167人)、ヨルダンから帰国したのは825人(うち女性248人、子供421人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は263,368人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者89,835人(うち女性27,104人、子ども45,735人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者173,533人(うち女性52,091人、子ども88,489人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 492,648人(うち女性147,853人、子供251,146人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,639,576人(うち女性1,991,890人、子供3,386,212人)。

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一方、国内避難民16人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは6人(うち女性3人、子供2人)、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは10人(うち女性2人、子供4人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は31,381人(うち女性9,850人、子供14,437人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,299,977人(うち女性392,409人、子供658,203人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した10人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 16, 2019をもとに作成。

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