米主導の有志連合がイドリブ県を中心とする反体制派支配地域を爆撃し、新興のアル=カーイダ系組織フッラース・ディーン機構の司令官6人を含む8人を殺害(2019年6月30日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合と思われる航空部隊が早朝(4時20分頃)、県西部のアレッポ市ムハンディスィーン地区郊外を爆撃し、新興のアル=カーイダ系組織の一つフッラース・ディーン機構の司令官6人が死亡した。

爆撃はフッラース・ディーン機構の幹部会合を狙ったもので、8人が死亡、うち2人がアルジェリア人司令官、2人がチュニジア人司令官、1人がエジプト人司令官、1人がシリア人司令官だという。

ANHA(7月1日付)によると、殺害されたのはアブー・フィダー・トゥーニスィー、アブー・アムル・トゥーニスィー、アブー・ドゥジャーナ・トゥーニスィー、アブー・ヤフヤー・ジャザーイリー、アブー・ザッル・ミスリー、アブー・イブラーヒーム・シャーミー。

**

これに関して、反体制派系のドゥラル・シャーミーヤ(6月30日付)は、戦闘機がトルコ南部にあるNATOのインジルリク航空機を離陸し、爆撃を行ったと伝えた。

また、カタールのアル=ジャズィーラ・チャンネル(6月30日付)も、有志連合の複数の情報筋が、シリア北部の複数カ所に対して爆撃を行ったことを認めたと伝えた。

**

ANHA(7月1日付)は、殺害された司令官は、ハマー県北部でシリア軍と戦うことを拒否していために、有志連合の爆撃を受けたと伝えた。

AFP, June 30, 2019、Aljazeera.net, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、July 1, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トランプ大統領「シリア民主軍支配地域へのトルコの侵攻を食い止めた」:エルドアン大統領「シリアでテロ組織を支援している同盟国がある」(2019年6月30日)

ドナルド・トランプ米大統領は、G20に出席するために訪問中の大阪で、シリア情勢について、トルコによるシリア北東部への侵攻を止めさせたと発表した。

トランプ大統領によると「米国は、(人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の支配下にあるユーフラテス川東岸の国境地帯全域を制圧しようとしたトルコの軍事作戦を止めさせた」、「トルコはクルド人を攻撃する用意があったが、私が介入し、トルコの大統領にそうするのを止めさせた」という。

トランプ大統領によると「レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はシリア北東部のクルド人を殲滅しようとしていたが、そのようなことはできないと彼に伝え、彼はそうしたことを行わなかった」のだという。

**

これに対して、大阪に滞在中のエルドアン大統領は記者会見で「トルコの同盟国の一部がシリア国内でのテロ攻撃を支援している」と述べ、米国を暗に批判した。

エルドアン大統領は「我々の同盟国の一部が、民族浄化、住民の強制退去などといった行為を犯してきたクルディスタン労働者党(PKK)、人民防衛隊(YPG)といったグループを支援している…。深刻な問題、深刻な矛盾だ」と述べた。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

クナイトラ県でシリア軍治安部隊がホワイト・ヘルメットの元メンバー2人を逮捕(2019年6月30日)

クナイトラ県では、ハウラーン自由人連合のフェイスブック・アカウント(HFL、6月30日付)によると、シリア軍がラスム・ハラビー村で強制捜査を行い、ホワイト・ヘルメットの元メンバー2人を逮捕した。

強制捜査を行ったのは軍事情報局で、逮捕されたのはビラール・シュバト氏、アラー・シュバート氏の2人。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、HFL, June 30, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ユーフラテス石油会社:2011年3月以降の混乱での石油部門の被害額は145億5000万米ドル(2019年6月30日)

ユーフラテス石油会社は、2011年3月以降の混乱によってシリアの石油部門が直接、間接に被った被害額が145億5000万米ドルにのぼるとする報告書を発表した。

このうち、ダイル・ザウル県南東部のウマル油田とタナク油田が被った物的被害額は2019年第1四半期の段階で3億3200万ドルに達しているという。

なお、同社は2019年の年間計画において、7000バレル/日の石油生産をめざすとともに、ティーム油田、ニーシャーン油田、シューラー油田を緊急に復旧する予定だという。

『ワタン』(6月30日付)が伝えた。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019、al-Watan, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局のアサーイシュは親政権民間テレビ局の記者を放火容疑で拘束(2019年6月30日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月30日付)によると、北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)が、親政権民間テレビ局イフバーリーヤ・チャンネルのムハンマド・サギール記者を拘束した。

サギール記者は県内の麦畑に放火した容疑で拘束されたという。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒムス県タドムル市近郊でアフガン人民兵からファーティミーユーン旅団の戦闘員10人失踪(2019年6月30日)

ヒムス県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月30日付)によると、アフガン人民兵からファーティミーユーン旅団の戦闘員10人が、シリア軍の展開するタドムル市近郊で失踪した。

失踪の理由は不明。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領下のアフリーン郡で反体制派が女性、老人、子供300人以上を拘束、連行(2019年6月30日)

アレッポ県では、ANHA(6月30日付)によると、トルコ占領下のアフリーン郡ムーバーター村でトルコの支援を受ける反体制武装集団が強制捜査を行い、女性、老人、子供300人以上を拘束、連行した。

**

ハサカ県では、ANHA(6月30日付)によると、トルコ軍国境警備隊がダイリーク市近郊のバーティルザーン村で農作業を行っていた住民2人に発砲、重傷を負わせた。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領下のバーブ市で反体制派がダーイシュのスリーパー・セルのメンバー2人を殺害(2019年6月30日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下の県北部(ユーフラテスの盾地域)にあるバーブ市で、反体制武装集団がダーイシュ(イスラーム国)のスリーパー・セルを追跡、戦闘の末に司令官2人を殺害した。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県、ハマー県、アレッポ県、ラタキア県でシリア軍と反体制派の戦闘続く(2019年6月30日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから60日目となる6月30日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より3人(民間人2人、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員1人)増えて2,079人となった。

うち、534人が民間人(女性105人、子供134人を含む)、707人がシリア軍兵士、838人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は64回を記録、ロシア軍も25回の爆撃を行った。

またシリア・ロシア両軍の地上部隊による砲撃は470発におよんだ。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でタフタナーズ市、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、サルジャ村、マダーヤー村、ハーン・シャイフーン市、アリーハー市一帯、カフル・マズダ村一帯、ヒーシュ村、ウライニバ村、カッサービーヤ村、マアッルズィーター村、アービディーン村灌木地帯、ハザーリーン村に対して爆撃を実施した。

ロシア軍もウライニバ村、フバイト村、ハーン・シャイフーン市、アーミリーヤ村を爆撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でアルバイーン村、サイヤード村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県北部および西部の戦闘地帯を砲撃した。

ロシア軍もジャビーン村、タッル・ミルフ村、ジュッブ・スライマーン村、ザカート村、サイヤード村、カフルズィーター市を爆撃した。

一連の爆撃により、アーミリーヤ村で子供2人が死亡した。

一方、SANA(6月30日付)によると、シャーム解放機構がシリア政府支配下のムハルダ市、アズィーズィーヤ村、ブライディージュ村を砲撃し、民家などに被害が出た。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でバウワービーヤ村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊が県西部の戦闘地帯を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯の戦闘地域を砲撃した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(ラタキア県6件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を6件(ハマー県5件、イドリブ県1件)確認した。

AFP, June 30, 2019、ANHA, June 30, 2019、AP, June 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 30, 2019、al-Hayat, July 1, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 30, 2019、Reuters, June 30, 2019、SANA, June 30, 2019、SOHR, June 30, 2019、UPI, June 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから379人、ヨルダンから1,115人の難民が帰国、避難民20人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年6月30日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(6月30日付)を公開し、6月29日に難民1,494人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは379人(うち女性114人、子供194人)、ヨルダンから帰国したのは1,115人(うち女性335人、子供569人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は283,253人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者95,110人(うち女性28,687人、子ども48,427人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者188,143人(うち女性56,477人、子ども95,942人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 512,533人(うち女性153,822人、子供261,291人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,639,576人(うち女性1,991,890人、子供3,386,212人)。

**

一方、国内避難民20人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山の通行所を経由して帰還したのは20人(うち女性3人、子供6人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は44,756人(うち女性14,416人、子供20,404人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,301,293人(うち女性392,537人、子供650,108人)となった。

なお、グラーブ山通行所を経由して帰還した20人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 30, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.