ロシアはトルコとともに、シリア北西部の緊張緩和地帯全域でシリア軍と反体制派を停戦合意させたと発表、反体制派はこれを否定(2019年6月12日)

ラタキア県フマイミーム航空基地に本部を構えるロシア当事者和解調整センターは、ロシアとトルコの後援のもと、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)で戦闘を続けるシリア軍と反体制武装集団が停戦に合意したと発表した。

ロシア当事者和解調整センターのヴィクトール・クプチシン(Viktor Kupchishin)司令官(少将)が発表した声明によると、「ロシアのイニシアチブにより、ロシアとトルコの後援のもと、2019年6月12日深夜(6月13日0時)付でイドリブ県一帯の緊張緩和地帯全域で戦闘を完全に停止することを定めた合意に達した」という。

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トルコの支援を受ける国民解放戦線のナージー・ムスタファー報道官(大尉)は、ハマー県北部でシリア軍と反体制派が停戦に合意したとのロシアの発表に関して、ドゥラル・シャーミーヤ(6月12日付)に対して、「停戦や休戦に関する合意は存在しない」と否定した。

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Reuters, June 12, 2019、RT, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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イスラエル軍はダルアー県にあるシリア軍拠点をミサイル攻撃、シリア軍はこれを迎撃(2019年6月12日)

SANA(6月12日付)は、軍情報筋の話として、シリア軍防空部隊がダルアー県ハーッラ丘に対するイスラエル軍のミサイル攻撃を迎撃、ミサイル多数を撃破したと伝えた。

このミサイル攻撃によって物的被害が出たが、死傷者はなかったという。

スプートニク・ニュース(6月12日付)も、シリア軍防空部隊がハーッラ丘に飛来したミサイルを迎撃、多数を撃破したと伝えた。

SANA(6月12日付)も、ハーッラ丘に対するイスラエル軍の攻撃で物的被害が出たが、死傷者は出なかったと伝えた。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月12日付)は、複数の現地情報筋の話として、イスラエル軍が、クナイトラ県ハーッラ丘、ジャバーブ村一帯に配置されているシリア軍と「イランの民兵」の拠点に対してミサイル攻撃を行ったと伝えた。

SANAによると、イスラエル軍はまた、ミサイル攻撃と合わせて「電子戦」を行い、レーダー波に対する妨害(ECM)を行ったという。

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一方、ナハールネット(6月12日付)によると、イスラエル軍は無人航空機をレバノン領空を侵犯させた。

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Reuters, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、Sputnik News, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はダイル・ザウル県でダーイシュのスリーパー・セルを摘発(2019年6月12日)

ダイル・ザウル県では、ANHA(6月12日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がジャルズィー村でダーイシュ(イスラーム国)のスリーパー・セルを摘発、武器・弾薬などを押収した。

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Reuters, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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トルコ占領下のアフリーン市(アレッポ県)で爆弾が仕掛けられた車が爆発し1人が死亡する一方、国民軍はシリア軍工作員6人を同市で拘束(2019年6月12日)

アレッポ県では、ANHA(6月12日付)によると、トルコの占領下にあるアフリーン市中心街のフィーラート通りで車が爆発し、トルコの支援を受ける反体制武装集団の戦闘員1人が死亡、複数人が負傷した。

爆発したのは武装集団の車で爆弾が仕掛けられていたという。

https://youtu.be/4yfMnVjgUxo

しかし、ドゥラル・シャーミーヤ(6月12日付)によると、爆破されたのは民間のジープで、運転していた男性1人とその妻、近くにいた民間人2人が負傷したと伝え、ANHAの報道内容を否定した。

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アレッポ県では、トルコが支援する国民軍に所属する東部自由人連合が声明を出し、アフリーン市内で、スハイル・ハサン准将指揮下のいわゆる「トラ」部隊の工作員6人を拘束したと発表した。

東部自由人連合は「トラ」部隊の活動を2ヶ月にわたり監視、拘束に至ったという。

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Reuters, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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シリア・ロシア軍がイドリブ県、ハマー県への爆撃を続け民間人7人が死亡(2019年6月12日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから43日目となる6月12日も、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より7人(民間人7人、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて1,515人となった。

うち、399人が民間人(女性84人、子供96人を含む)、507人がシリア軍兵士、609人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は33回以上を、投下した「樽爆弾」の数は68発以上を記録、ロシア軍戦闘機も4回の爆撃を実施した。

また、シリア軍地上部隊による砲撃は450発以上におよんだ。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村、ハスラーヤー村、アルバイーン村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハスラーヤー村、サイヤード村、ラターミナ町、カフルズィーター市に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がムーリク市、カフルズィーター市、サイヤード村を砲撃した。

ロシア軍もカフルズィーター市、ジャビーン村を爆撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハーン・シャイフーン市などに対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでフバイト村、トゥラムラー村、ハーン・シャフーン市、スフーフン村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がシャフシャブー山、タマーニア町、スカイク村、マアッラト・ハルマ村、ハーン・シャイフーン市、カフルナブル市を砲撃した。
一方、SANA(6月12日付)によると、シリア軍がフバイト村一帯、トゥラムラー村にあるシャーム解放機構の拠点、兵站路に対して砲撃を行った。

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アブー・アマーラ特殊任務中隊は声明を出し、ラタキア県のマールーニーヤート村近郊で11日に特殊作戦を実施、第99機甲中隊司令部を爆破したと発表、その映像を公開した。

特殊作戦は6月8日にシリア軍によるアブドゥルバースィト・サールート氏殺害への報復だという。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(アレッポ県2件、ラタキア県9件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を5件(イドリブ県1件、アレッポ県2件、ハマー県2件)確認した。

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 12, 2019、Reuters, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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米占領地に面するヨルダン国境地帯のルクバーン・キャンプからシリア難民数十世帯が新たに帰還(2019年6月12日)

SANA(6月12日付)によると、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに身を寄せていたシリア難民数十世帯が、新たにスフナ市南部のジュライギーム通行所を通過し、シリアに帰国した。

https://youtu.be/YoMP8BrS6yg

AFP, June 12, 2019、ANHA, June 12, 2019、AP, June 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 12, 2019、al-Hayat, June 13, 2019、Reuters, June 12, 2019、SANA, June 12, 2019、SOHR, June 12, 2019、UPI, June 12, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから711人、ヨルダンから632人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年6月12日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(6月12日付)を公開し、6月11日に難民1,038人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは711人(うち女性213人、子供363人)、ヨルダンから帰国したのは632人(うち女性190人、子供322人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は258,416人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者88,369人(うち女性26,664人、子ども44,987人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者170,047人(うち女性51,045人、子ども86,711人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 487,696人(うち女性146,367人、子供248,620人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,638,968人(うち女性1,991,690人、子供3,385,874人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 12, 2019をもとに作成。

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