イドリブ県の「解放区」で潜伏活動を続けるアル=カーイダ系のジハード調整、グラバー師団、ジュヌード・シャームが相次いで声明を出し、アフガニスタンでのターリバーンによる政権掌握を支持、祝意を示す(2021年8月16日)

シャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県などのいわゆる「解放区」で潜伏活動を続けているアル=カーイダ系の武装組織が相次いで声明を出し、アフガニスタンでのターリバーンによる政権掌握を支持、祝意を示した。

声明を出したのは、ジハード調整、グラバー師団、ジュヌード・シャーム。

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アブー・アブド・アシュダー氏がジハード調整はた声明で次のように表明した。

十字軍に対する偉大な勝利、アッラーのためのジハードから20年を経て、彼らはアフガニスタンから屈辱を味わい、面目を失って出て行った。

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オマル・オムセン(通称ウマル・ディヤービー)を名乗るセネガル出身のフランス人が指導するグラバー師団も声明を出し、以下のように述べ、祝意を示した。

我らがターリバーン同胞よ、シャームのくにぐにのムジャーヒディーンは、長年の忍耐と犠牲を経てこの確固たる勝利を収めたあなた方に祝意を述べる。あなた方は誇りと名誉の源泉であり、イスラームのウンマの手本である。

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ジョージア出身のムラド・イラクリエビッチ・マルゴシュヴィリ(ムスリム・アブー・ワリード・シーシャーニー)が指導するジュヌード・シャームも声明を出し、祝意を述べたうえで、「我々はシャームにおいて自らのジハードを継続し、アッラーに見え、その果実を手にするまで」と決意を示した。

AFP, August 20, 2021、ANHA, August 20, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 20, 2021、Reuters, August 20, 2021、SANA, August 20, 2021、SOHR, August 20, 2021、Syria TV, August 20, 2021などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のダッラール共同議長は、分権化を主唱したアサド大統領の演説を批判(2021年8月16日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のリヤード・ダッラール共同議長は、アサド大統領が8月14日の第3次フサイン・アルヌース内閣の第1回閣議で分権制について言及したことについて、「分権制には深遠な措置が求められる」と述べ、現政権下での分権化の実現に消極的な見方を示した。

ダッラール共同議長の主な発言は以下の通り:

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シリアの問題は経済問題ではなく、社会のニーズだ。大統領の決定ではなく、中央が日々の生活や政治信念を動かすことを阻止するような民主主義に向けた行動だ。

分権制には、地域の住民を代表し、彼らが自らの代表を選ぶ際に、深遠な措置が求められる。中央政府は、国の統合を確実する主権にかかわる省に限定され…、行政サービスにかかる省は、地域の責任、その活動の一部とされるべきだ。

我々は、アサド大統領が行った演説を受けて権限がどのように配分されるのかを注視している…。我々の行政の名前は重要ではない。名前は地方自治体でも、自治政体でもいい。重要なのは、地元議会が…県知事によって管理されず、地方行政省に従属しないということだ。だが、こうしたは、政令第107号(改正地方自治法)の施行後、県知事と(地方行政)大臣がとにかく中央集権的な統治を行うようになったことで実際に起こっている。

地元議会が地域の住民から構成され、地域の住民自身によってその首長が選ばれれば、地域の住民は、直接民主主義やアカウンタビリティの概念を通じて、首長や議会に責任を与えることができるようになる…。こうしたことは、その地方の政治勢力の競争に委ねられ、行政が多様性を持つようにされねばならず、一つの政党、あるいは一つのグループに権利が委ねられてはならない。そして、こうした状態がシリアのすべての地域に適用されねばならない。

政令第107号の目的は正しい。我々はそこから民主的分権制の概念を取り入れ、現在北・東シリア自治局において適用している…。この法律の目的は、権力、責任を分散させ、それらを人民諸集団の手に集中させることになる。これは、人民をすべての権力の源泉とする民主主義の原則を適用することであり、各行政区の議会の権力や権限を拡大し、明確且つ重複しないかたちで確定することを通じて行われる。これにより、各議会は、経済、社会、文化、文明といった面で自らの行政区を発展させる機能や任務を遂行できるようになる。

行政法第107号の目的は至極正しい。だが、実施しようとすると、その目的が失われていってしまう。なぜなら、法律を実施しようとする者たちが分権制を、名前、形式、宣言、スローガンとしてしか望んでいないからだ。実際には、治安機関の権益が生活の節々にまで浸透してしまっている。これこそ中央集権の極みだ。なぜなら、中央の権威が縁故主義や汚職に体現されているからだ。

AFP, August 16, 2021、ANHA, August 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2021、Reuters, August 16, 2021、SANA, August 16, 2021、SOHR, August 16, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ジャズラート村でシリア民主軍の兵士1人がオートバイに乗った2人組に撃たれて死亡(2021年8月16日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるジャズラート村で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士1人がオートバイに乗った2人組に撃たれて死亡した。

AFP, August 16, 2021、ANHA, August 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2021、Reuters, August 16, 2021、SANA, August 16, 2021、SOHR, August 16, 2021などをもとに作成。

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イラクのファイヤード内閣国家安全保障担当顧問兼人民動員​評議会議長がシリアでアサド大統領と会談し、周辺諸国首脳会議での連携の重要性を確認、イラク外務省はアサド大統領招待を否定(2021年8月16日)

イラクのファーリフ・ファイヤード内閣国家安全保障担当顧問兼人民動員​評議会議長がシリアを訪問し、首都ダマスカスの大統領府でアサド大統領と会談した。

SANA(8月16日付)によると、ファイヤード氏は、ムスタファー・カーズィミー首相の親書をアサド大統領に手渡した。

親書は、今月末にバグダードで開催される周辺諸国首脳会議にかかるもので、同会議とその議事においてシリア・イラク両国の連携が重要である旨が記されていた。

会談では、「テロとの戦い」、国境警備などにおける二国間関係を強化するための措置について協議、これらの措置が治安レベルだけでなく、両国通商の継続にも資するもので、両国民に利益をもたらす要素であることが確認された。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/posts/4480985445278586

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アサド大統領とファイヤード氏の会談が報じられた直後、イラク外務省は声明を出し、「人民動員隊によるアサド大統領への招待を関知していない」としたうえで、「正式な招待状はカースィミー首相からの正式に文書で送られるもので、いかなる者にもこうした招待状を送る権限はない」と発表し、アサド大統領の首脳会議に招待していないとの姿勢を示した。

https://twitter.com/Iraqimofa/status/1427200205607346177

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ドゥラル・シャーミーヤ(8月16日付)などによると、イランはシリアのアサド大統領の出席を画策したが、サウジアラビア、UAE、そしてフランスがこれを拒否したという。

AFP, August 16, 2021、ANHA, August 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2021、Reuters, August 16, 2021、SANA, August 16, 2021、SOHR, August 16, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で67人、北・東シリア自治局支配地域で93人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で328人(2021年8月16日)

保健省は政府支配地域で新たに67人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者15人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、8月16日現在の同地での感染者数は計26,409人、うち死亡したのは1,940人、回復したのは22,166人となった。

SANA(8月16日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに93人の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表した。

これにより、8月16日現在の同地での感染者数は計19,080人、うち死亡したのは768人、回復したのは1,912人となった。

新規感染者の性別の内訳は、男性58人、女性35人。

また地域の内訳は、ハサカ県のハサカ市39人、カーミシュリー市20人、マーリキーヤ(ダイリーク)市3人、アームーダー市4人、フール・キャンプ2人、ナウルーズ・キャンプ2人、ロジュ・キャンプ1人、ラッカ県のラッカ市16人、ダイル・ザウル県3人、アレッポ県のマンビジュ市1人。

https://www.facebook.com/smensyria/posts/1664693440387253

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で8月16日に新たに328人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、38人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡3人、イドリブ郡81人、ハーリム郡111人、アリーハー郡29人、アレッポ県スィムアーン山郡2人、ジャラーブルス郡9人、バーブ郡7人、アフリーン郡59人、アアザーズ郡27人。

これにより、同地での感染者数は計28,129人、うち回復したのは23,506人、死亡したのは734人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1644422659095952/

AFP, August 16, 2021、ACU, August 16, 2021、ANHA, August 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2021、Reuters, August 16, 2021、SANA, August 16, 2021、SOHR, August 16, 2021などをもとに作成。

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ダルアー県サナマイン市、シャイフ・マスキーン市で武装集団が女性1人とシリア軍兵士1人を殺害(2021年8月16日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と武装解除を拒否する元反体制武装集団メンバーとの対立が続くなか、武装集団がサナマイン市で女性1人を銃で撃ち殺害、シャイフ・マスキーン市でシリア軍第4師団の兵士を暗殺した。

武装集団はまた、サイダー町にあるシリア軍の検問所をRPG弾で攻撃した。

一方、シリア軍はタファス市一帯を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるマシューン村とマルイヤーン村の間にある住宅を地対地ミサイルで攻撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまたザーウィヤ山地方で「決戦」作戦司令室と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町、カーヒラ村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を23件(イドリブ県11件、ラタキア県5件、アレッポ県3件、ハマー県4件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を8件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, August 16, 2021、ANHA, August 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 16, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 16, 2021、Reuters, August 16, 2021、SANA, August 16, 2021、SOHR, August 16, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民280人と国内避難民(IDPs)5人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は694,029人、2019年以降帰還したIDPsは96,686人に(2021年8月16日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(8月16日付)を公開し、8月15日に難民280人(うち女性84人、子供143人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民280人(うち女性84人、子供143人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は694,029人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者298,781人(うち女性89,797人、子ども152,101人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,775,160人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は923,309人(うち女性277,073人、子供470,592人)となった。

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一方、国内避難民5人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは5人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は5人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は96,686人(うち女性36,750人、子供33,045人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,365,282人(うち女性419,309人、子供676,811人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, August 16, 2021をもとに作成。

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