ブルース米国務省報道官:「シリアの暫定政権はテロリズムを全面的に否定・抑圧し、外国人テロ戦闘員をいかなる公職からも排除しなければならない」(2025年3月31日)

米国務省のタミー・ブルース報道官は記者会見で、シリアのアフマド・シャルア暫定政権は外国人テロ戦闘員を公職から排除し、テロを抑えねばならないと述べた。

ブルース報道官は以下の通り述べた。

我々は、土曜日にシリアの暫定政権が移行期内閣の発足を発表したことを承知している。シリアの人々は、アサド体制の専制と抑圧の下で何十年にもわたり苦しんできた。そのような人々の闘いを我々は認識しており、今回の発表が包摂的かつ代表制のあるシリアに向けた前向きな一歩となることを期待している。
だが、シリアの暫定政権は、テロリズムを全面的に否定・抑圧し、外国人テロ戦闘員をいかなる公職からも排除し、イランおよびその代理勢力によるシリア領土の悪用を防ぎ、アサド体制の化学兵器を確実に廃棄するための実質的措置を講じ、米国および他国出身の行方不明者の捜索・回収に協力し、宗派的・民族的少数派の安全と自由を保障しなければならない。米国は今後も暫定政権の行動を評価し、それに基づいて次の対応を判断していく。 シリア暫定政権に対する政策のいかなる見直しも、上述のすべての措置が履行されることを前提とする。

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イスラエル軍地上部隊がクナイトラ県内で砲撃、検問(2025年3月31日)

シリア人権監視団によると、イスラエル軍地上部隊が、ジュバーター・ハシャブ村の坂の中腹に検問所を設置し、通行人や車輌に対して数時間にわたり検問を実施、その後撤退した。

また、西アフマル丘の基地に集結するイスラエル軍部隊は、丘の東側クードナ村一帯を戦車で砲撃した。

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米軍、シリア民主軍が、シリア自由軍とともにダマスカス郊外県のドゥマイル航空基地に進駐(2025年3月31日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、30日にヒムス県のタンフ国境通行所一帯地帯(55キロ地帯)を実効支配する米軍(有志連合)の支援を受けるシリア自由軍がドゥマイル市に進駐し、同市の治安権限と検問所の管理を掌握したのを受けて、米軍の偵察部隊、シリア自由軍とシリア民主軍の戦闘員数百人が、ドゥマイル航空基地に進駐した。

進駐は、ダーイシュ(イスラーム国)に対する追撃を行うための基地を説明するためと見られ、近く、アフマド・シャルア暫定政権の国防省部隊とシリア民主軍による対ダーイシュ合同作戦が実施されるとの情報もあるという。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米軍の車輛30輌からなる車列がイラクとの国境に設置されているワリード国境通行所(スワイディーヤ国境通行所)からシリア領内に新たに進入、ハッラーブ・ジール村の農業空港に設置されている米軍(有志連合)の基地に向かった。

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民主社会連合(TEV-DEM)はシャルア暫定政権が発足させた移行期内閣を拒否(2025年3月31日)

ANHAによると、民主社会連合(TEV-DEM)は声明を出し、29日のアフマド・シャルア暫定政権による移行期内閣発足について、「自由な女性、北・東シリア地域の構成要素、シリア国民の構成要素が加わっておらず、自分たち以外の何者も代表していない」と非難、シリア国内の愛国的・民主的勢力や国連関連機関などに対して、「多元的、分権的なシリアの建設という歴史的責任」を果たすよう呼びかけた。

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シリア人民抵抗は今後民間人に対する攻撃が行われた場合、米国とシャーム解放機構(シャルア暫定政権)の責任を追及すると表明(2025年3月31日)

シリア人民抵抗は声明を出し、今後シリア国内で民間人に対する攻撃が行われた場合、米国とシャーム解放機構(アフマド・シャルア暫定政権)の責任を追及すると表明した。

声明の内容は以下の通り。

シリア人民抵抗は、占領下にあるシリアで、今後民間人や民間施設を標的とする卑劣な攻撃が行われた場合、その全責任がテロ国家である米国と、その犯罪的な手先であるテロ組織シャーム解放機構およびその指導者にあると断言する。 ワシントンとその同盟国は、罪を捏造し、大量虐殺を演出して、自らの侵略を正当化してきた黒い歴史を持っており、それはシリア国家、アサド大統領、シリア・アラブ軍を標的とする口実となった化学兵器攻撃事件でも見られた。今日、同じような汚い手口が再び行われ、シリアおよび地域全体に混乱を引き起こし、状況を攪乱しようとする露骨な試みがなされている。それは、シオニズム・ワッハーブ主義、米、トルコの計略に資するものである。 こうした卑劣な計画を実行しようとする者に対し、我々は警告する。抵抗勢力が気づいていないことなどない。

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ヒムス県とタルトゥース県でアラウィー派が武装集団の襲撃を受け多数死亡(2025年3月31日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のカラム・ザイトゥーン地区で武装した2人組が民家を襲撃し、なかにいた女性1人と子ども3人を銃で撃ち殺害、女性の夫を負傷させた。

殺害されたのはアラウィー派の住民で、また自宅に招待されちたスンナ派の住民2人も殺害された。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、バーニヤース精製所西のジャウバル川で、即決処刑され遺棄されたと見られる住民11人が遺体で発見された。

また、シャース村で10代の若者(高校生1年生)1人が何者かによって銃で撃たれて死亡した。

さらに、ハルフ・バンナムラ村で武装グループがアラウィー派住民を襲撃し、村長を含む6人を殺害、多数を負傷させた。

事態を受けて、内務省総合治安局は容疑者と見られる2人を逮捕した。

2人は国防省部隊の兵士。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、オートバイに乗った2人組の武装グループがハフィール・ファウカー村の床屋で無差別に銃を乱射し、若い男性1人を殺害、3人を負傷させた。

また、ハフィール・ファウカー村では、内務省総合治安局の誤射によって、3人が負傷した。

一方、SANAによると、内務省総合治安局の部隊がサイイダ・ザイナブ町近郊のナジュハー村で治安・安定維持のためのパトロール中に、「旧体制の残党」に属する複数のメンバーから発砲を受け、これに応戦、戦闘となった。

この戦闘で、攻撃を仕掛けてきた残党2人を殺害、複数を負傷させた。

このほか、シリア人権監視団によると、アフマド・シャルア暫定政権がシリア軍の元将兵ら約2,000人の収容に活用しているアドラー中央刑務所に収監されていた16人が新たに釈放された。

アドラー中央刑務所収監者の釈放は29日にも行われていた。

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UAE大統領、EU、ポーランド大使が移行期内閣発足を歓迎(2025年3月31日)

SANAによると、アフマド・シャルア暫定大統領は、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナフヤーン大統領から移行期内閣発足への歓迎の意を示した祝電を受け取った。

また、在シリア・ポーランド大使館、EUも移行期内閣発足に歓迎の意を示した。

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シャルア暫定大統領は首都ダマスカスの人民宮殿でイード・アル=フィトルの集団礼拝:「どのような一歩を踏み出すにしても、全面的な合意を得ることは難しい。だが最低限の合意、そして可能な範囲での一致を目指す必要がある」(2025年3月31日)

シリア・アラブ共和国大統領府国防省SANAなどによると、アフマド・シャルア暫定大統領は、首都ダマスカスの人民宮殿で行われた政権掌握後初となるイード・アル=フィトルの集団礼拝に参加し、会場に招待された国民、政権関係者らと懇談した。



来賓を出迎えるアフマド暫定大統領は、父親フサイン氏と握手する際に、握手をしながら、深く頭を垂れてお辞儀をした。

シャルア暫定大統領はまた、集団礼拝に参加した国民や政権関係者らを前に演説を行った。

演説では、移行期内閣について以下の通り述べた。

我々は昨日、新たな内閣の発足を発表した。可能な限り有能な人物を選ぶよう努め、そのなかでも優先すべき者を選んだ。我々は、閣僚の範囲、分布、各県の代表性を考慮し、またシリア社会の多様性にも配慮した。だが、我々は、割り当て主義を明確に拒否しつつも、参加の原則には則った。すなわち、この省はこの宗派のため、あの省は別の人種のため、といった分配の論理は、完全に拒否した。
しかし、我々は皆で共に取り組み、いかなる分裂の動きにも応じなかった。なぜなら、政治的な分断は、内閣の機能停止を招くことになるからだ。昨日発表された新内閣は、長い時間と多くの努力を経て構成されたものであり、任命された大臣たちには良い働きを期待している。彼らは、有能で経験を持つ人物たちであり、特定の思想的または政治的傾向に偏ってはいない。
彼らの唯一の関心は、この国を築き上げ、祖国を再建することだ。我々は、彼らが成功できるよう、あらゆる手段と可能性を提供していくつもりである。彼らが国民一人一人に、誠実な公共サービスを届けてくれることを願っている。また、願わくば、近い将来、シリアのすべての家庭の扉を叩くように、サービスが各家庭へと届くことをアッラーに願っている。変革と改善こそが我々の目標であり、国家建設こそが私たちの目的である。
むろん、すべての人を満足させることはできない。どのような一歩を踏み出すにしても、全面的な合意を得ることは難しい。それは自然なことであり、当然の反応でもある。しかし、我々は、最低限の合意、そして可能な範囲での一致を目指す必要がある。ありがたいことに、新内閣の発足とその構成、そして大臣たちの選出について、多くの前向きな反応が寄せられている。
我々は、ありがたいことに、前向きで安心できる反応を目にしている。シリアは、誰かの思惑や欲望をぶつけるための市場ではなく、真剣に行動するための舞台である。願望や私的な夢を実現するための場所ではない。今起きている変化を、自分の夢を叶える機会とみなすような姿勢は適切ではない。
唯一実現されるべき夢とは、国民の尊厳を取り戻し、シリアという国の誇りを取り戻すこと、そして世界の中で再び自由で高貴な存在としてのシリアの名が高らかに響くことである。シリアが、影響力ある国家として世界に復活することを願ってやまない。


さらにその後、シャルア暫定大統領は、ラティーファ・ダルービー夫人とともに人民宮殿で、犠牲者の家族と面談した。

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一方、国防省によると、ムルハフ・アブー・カスラ国防大臣は、アリー・ナアサーン参謀総長、アブドゥッラフマーン・アアマー・ヒムス県知事とともに県内の師団の将兵を慰問した。

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